ラスベガス発 — ラモン・カルデナスは日曜夜、T-Mobileアリーナで井上尚弥に強烈な一撃を浴びせ、歴史的番狂わせをあと一歩のところまで演じかけた。
しかし、第2ラウンドの残り時間が足りず、それ以上の展開を見ることはできなかった。
そしてその後、ジュニアフェザー級4団体統一王者の井上が衝撃的なダウンから立ち直ると、カルデナスは猛攻に巻き込まれることとなった。その左カウンターはラウンド終了間際に炸裂したが、すぐにトーマス・テイラー主審が8カウントを数え終え、ゴングが鳴ると、井上はそれ以上の打撃を受けることなく自陣のコーナーへ戻った。
「問題はパワーそのものじゃなかった。他の選手のほうが少し強く打ってきたこともある」とカルデナスは試合後の記者会見で語った。「圧倒的な6発、7発、8発の連打がきたんだ。俺はただ『クソっ!』って思ったよ。ホテルの部屋でトレーナーのジョエル・ディアスに言ったんだ。『もしやられるとしても、最後まで戦い抜くつもりだ』って。それをやったと思うよ」
「彼はタイミングが良かった。俺は打ち終わりを狙おうとしていた。パンチを打つときに手が下がるのは分かっていたから、狙いはその合間だった。そして実際に倒した。でも彼が立ち上がることは分かってた。戦士だから、簡単には倒れないってことは分かってたよ」
井上は最初の3ラウンドで39発のパンチを当てた後、プレッシャーを強め、次の13分間で137発を浴びせた。その多くがコンビネーションで決まり、勇敢なカルデナスを襲った。カルデナスも果敢に応戦し、一時は成功を収めたが、「モンスター」を抑えることはできず、次第に押し込まれていった。
第7ラウンド終了間際にダウンを喫したカルデナスは、第8ラウンド開始から45秒、コーナーで連打を浴びているところでテイラー主審によりストップされた。
「止められたとき、俺は大丈夫だって伝えたよ」と、試合中も重いパンチを受けながら何度か笑顔を見せたカルデナスは語った。「でもレフェリーは『自分自身から君を守らなきゃいけない』って言ったんだ。失望したけど、言い争うつもりはない。彼には俺に見えない何かが見えたのかもしれない」
トレーナーのジョエル・ディアスは、試合中にコーナーで双方向のコミュニケーションを重視したと語り、ダウンを奪われた後には「次のラウンドで勝負をかけろ。動きが鈍ってきてるから、もう1ラウンドしか与えない」と伝えたという。
「ラモンはどれだけの戦士かを見せてくれた」とディアスは言った。「彼は自分の持てる力を示した。たとえ負けても、得るものはある。多くの人がラモンの名前を覚えたはずだ。
パンチを受ける耐久力があるのは分かっていた。彼は普段からライト級の選手とスパーしている。タフなんだ。…ラウンドが進むにつれて押し込まれ、動きが鈍った。作戦通りに動いた場面も多かったけど、ボディへの攻撃がもう少し必要だったね。井上には大きな敬意を表したい。素晴らしいファイターだ」
大番狂わせを狙ってリスクを取ったカルデナスは、オッズで-10000と圧倒的有利とされていた井上をあと一歩のところまで追い詰めた。プロモーターのサンプソン・レウコウィッツも、カルデナスの粘り強い戦いぶりに対し、今後の展望があることをほのめかした。
「ファンを少しは増やせたと思う。悲しくはないけど、がっかりはしてるよ。これがボクシングなんだ」とカルデナスは語った。「負けることを気にしたことは一度もない。大事なのは、ベストがベストと戦うこと。子供の頃から、ラスベガスの大舞台で何千人もの前で戦うのが夢だった。俺は戦うのが好きなんだ。この瞬間を楽しんでいたよ」
カルデナスは今や、
ほとんど無名のタクシー運転手からWBA世界ランキング1位の挑戦者となり、高い評価と尊敬を集めるファイターとして、胸を張ってキャリアを続けていくことができる。
「みんな俺のことをLyftの運転手って呼ぶけど、クソ強いLyftの運転手だぞ」とカルデナスは語った。「誰とでも戦う。相手が誰だろうと関係ない。ここから先どうなるかは分からないけど、考えていくさ。でもまずは、日本でゆっくり休暇を楽しむよ」
Manouk Akopyan はザ・リング・マガジンの主任記者。X(旧Twitter)およびInstagramで @ManoukAkopyan をフォロー。