ジャロン・エニスがウェルター級を離れたことは、ブライアン・ノーマン・ジュニアの“ボクシングの147ポンド級王座を完全統一したい”という願望を弱めることはなかった。
ノーマンは
エニスとの対戦で自分の実力を証明したいと強く望んでいたが、エニスがジュニアミドル級で戦う決断を下した今、ノーマンは“自らの王座と、エニスが返上することになるリング誌、IBF、WBAのベルトを懸けて戦っていればどうなっていたか”という「たられば」を嘆くつもりはない。
ノーマン(28勝無敗、22KO、1無効試合)は、木曜夜に東京で行われた
佐々木尽(19勝2敗1分、17KO)との
激闘を5回KOで制した直後、『ザ・リング』誌に対し、「次は
マリオ・バリオス対
マニー・パッキャオの勝者と戦いたい」と語った。サンアントニオ出身のバリオス(29勝2敗1分、18KO)は、
7月19日にラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで、フィリピンのパッキャオ(62勝8敗2分、39KO)を相手にWBCウェルター級王座の防衛戦を行う予定となっている。
「俺はまだ全てのベルトが欲しいんだ」とノーマンは語った。「中でも一番欲しいのはWBCのベルトだって、みんなにはっきり言っておきたい。俺が一番欲しいのはWBCだ。でも“本物”になるには全てのベルトを持っていなきゃいけない。だから全部手に入れるつもりだよ」
ほとんどのブックメーカーは、バリオスをパッキャオに対して4対1の有利と見ている。46歳のパッキャオは、2021年8月を最後に公認試合から遠ざかっており、同年9月に引退を表明した。引退のきっかけとなったのは、その1カ月前にラスベガスのT-モバイル・アリーナでキューバの
ヨルデニス・ウガスに判定で敗れた試合だった。
「マリオ・バリオスでも、偉大なマニー・パッキャオでも、勝ったほうが誰であれ、WBCのベルトは俺のものだ」とノーマンは語った。「だから勝者には敬意を表するけど、この競技には“若い銃”がいるんだ。さあ、やろうじゃないか」
仮にノーマンがバリオスかパッキャオに勝利したとしても、4団体時代のウェルター級で2人目の“完全統一王者”になるためには、エニス(34勝無敗、30KO、1無効試合)が返上するIBFとWBAの王座も手に入れる必要がある。ただし、それらの王座を巡って誰が戦うのかは、現時点では明らかになっていない。
ウズベキスタンの
シャフラム・ギヤソフ(17勝無敗、10KO)はWBAの指名挑戦者であり、エニスの持っていた“スーパー”王座への挑戦権を持っていた。また、元ライト級の4団体統一王者
デビン・ヘイニー(32勝無敗、15KO、1無効試合)は、147ポンド級でWBAランキング2位につけている。一方で、
ロランド “ロリー” ロメロ(17勝2敗、13KO)は、WBAのセカンダリー王座を保持しており、それは5月2日にニューヨーク・タイムズスクエアで開催された『ザ・リング』主催の「FATAL FURY: City of the Wolves」で
ライアン・ガルシア(24勝2敗、20KO、1無効試合)に番狂わせの判定勝ちを収めて獲得したものだ。
ルイス・クロッカー(21勝無敗、11KO)はIBFのランキングで1位に位置しており、同3位のパディ・ドノバン(14勝1敗、11KO)との即時再戦に進む可能性がある。
北アイルランド出身の
クロッカーは、3月1日にベルファストで行われた試合で、アイルランド出身の
ドノバンとの対戦中、3者の採点で劣勢に立たされていた。しかし、8ラウンド終了後にドノバンがゴング後に右フックでクロッカーを倒したため、反則負けとなった。ドノバンはすでに
第6ラウンドと第8ラウンドで、故意のバッティングによりマーカス・マクドネル主審から減点を受けていた。IBFのウェルター級ランキングでは現在2位の枠が空位となっており、クロッカーとドノバンが同級で最上位に位置する2人の挑戦者ということになる。
Keith Idec は『ザ・リング』誌の上級ライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡可能。