ラスベガス — ブランドン・アダムスは、数か月前に
セルヒー・ボハチュク陣営からリマッチの打診を受けたこと自体に感謝している。
アダムスが2021年3月にボハチュクをノックアウトして以来、ボハチュクのキャリアは急上昇した。一方でアダムスは試合数が少なく、スーパーウェルター級戦線の周辺に留まり続けていた。ウクライナ出身のボハチュクは
WBCスーパーウェルター級暫定王座を獲得し、バージル・オルティスとの「年間最高試合」候補にも名を連ね、さらにタイトル戦のチャンスを掴む位置まで来ていた。
しかしボハチュクはオルティスとの再戦も、WBC王者セバスチャン・フンドラとの試合も実現できなかったため、陣営は彼にとって2つあるプロでの敗戦の最初を晴らす舞台を用意した。それが、土曜夜にアレジアント・スタジアムで行われるビッグステージだ。アダムスにとってリマッチは、ボハチュクより優れていることを改めて証明するだけでなく、自身が154ポンド級のトップファイターの一人であることを示す絶好の機会となる。
36歳のアダムスは、その言葉どおり行動で示した。カネロ・アルバレス対テレンス・クロフォードのアンダーカードで、セルヒー・ボハチュクを見事に破ったのだ。
ファンが沸く内容での判定3-0勝利によって(アダムス=26勝4敗16KO)、彼は再びスポットライトを浴び、初戦の勝利がただの“ラッキーパンチ”ではなかったことを完全に証明した。
「ボハチュクはもう俺と再戦したくないと思う。初めて戦ったとき、もし“まぐれ”があるとしたら、あれがそうだったろう。でも今夜、彼もチームも、世界中が知ったはずだ。こっちにはまぐれなんてないって。リマッチを組んでくれたボハチュクのチームには感謝してる。彼が戦士だってことはわかってるからな。ただ、正直言って再戦は実現しないと思ってた。だって彼は知ってるから。初戦で俺のパンチを浴びてるからな」
と、アダムスは試合後の会見で語った。
ちなみに、4年半前のプエルトリコ・グアヤナボでの初戦では、アダムスは8回終了間際に左フックでボハチュクを沈めるまで、3人のジャッジ全員のスコアカードで劣勢に立たされていた(69-63、68-64、68-64)。
ボハチュク(26勝3敗24KO)は今回の10回戦リマッチでは最後まで倒れなかったものの、試合は序盤から終盤までアダムスの支配下にあった。ジャッジ3人、エリック・チーク(99-91)、グレン・フェルドマン(98-92)、パトリシア・モース・ジャーマン(98-92)は全員、少なくとも8ラウンドをカリフォルニア州ウィッティア出身のアダムスに与えた。
ボハチュクは試合前、オッズで4対1以上の有利をつけられてリングに上がった。というのも、アダムスは前戦となる昨年11月22日アトランタでの試合で、無敗のギリシャ人プロスペクト、アンドレアス・カツラキス(当時14勝0敗)にスプリット判定で敗れていたからだ。しかし気迫を前面に出したアダムスは、ほとんど下がることなく接近戦で頭部とボディを叩き続け、手数の多さを誇るボハチュクをその土俵で打ち負かした。
アダムスは徹底してボディを攻め続け、それがボハチュクの動きを鈍らせた。
「自分の方がインサイドで上手く戦えるとわかっていた」とアダムスは語った。
「試合が進むにつれて、彼がやっていることが前回と似ているのに気づいた。でも今回は(前回のような滑るキャンバスではなくて)しっかり踏ん張れた。だから最初の試合のときから、パンチを当てれば必ず効かせられるとわかっていた。実際、俺のパンチがヒットしたときの音は観客も聞こえたはずだ」
「いずれ完全に彼を崩して、やろうとしていることを封じ込めると確信していた。だから彼は必死にサバイバルしようとしたし、しながらも自分のプランを実行しようとした。俺は彼が見せた隙をすべて利用した……ただ研ぎ澄ませて、より効果的に封じて、自分が勝利を掴むために必要なことをやり続けただけだ」
Keith Idecは「ザ・リング・マガジン」の上級ライター兼コラムニスト。Xでは @idecboxing で連絡可能。