バフラム・ムルタザリエフは、
ジェロン・エニスとエディ・ハーンが土曜夜に自分の名を挙げ、エニスが無差別に倒していく候補の一人として、自身を言及したのを耳にした。エニスは将来的にスーパーウェルター級(ジュニアミドル級)の完全統一王者になる道を歩むつもりだという。
元『ザ・リング』誌王者であり、IBFとWBAのウェルター級王者でもあったエニスが、次戦でライバルの
バージル・オルティス・ジュニアと対戦しないのであれば、ムルタザリエフは喜んでエニスと戦うつもりである。ただし、長らくリングから遠ざかっているIBF世界スーパーウェルター級王者である彼は、エニスが本当に自分との対戦に関心を持っているのかについては懐疑的である。
エニスがフィラデルフィア出身者としての“お膝元”での階級初戦で、
力の差が大きいウイスマ・リマを選んだ事実は、ムルタザリエフにエニスの意図を疑わせるに十分であった。ドラフトキングスは、この試合でエニス(35勝0敗、31KO、1NC)を30対1の大本命とし、対するアンゴラのリマ(14勝2敗、10KO)は2度のダウンを喫した末、フィラデルフィアのエックスフィニティ・モバイル・アリーナで行われた12回戦のWBA“暫定”世界スーパーウェルター級タイトル戦で、初回1分58秒にストップ負けとなった。
「もしエニスが俺と戦いたかったのなら、彼は今戦った相手なんか選ばなかったはずだ」とムルタザリエフは
『ザ・リング・マガジン』に語った。「あの[リマ]が誰なのかなんて、誰も知らない。戦いたいなら、リマじゃなくて俺を選んだはずだ」
「彼は下の階級でIBFの王者だったが、階級を上げてきた。ならば、俺と戦うこともできたはずだ。俺かオルティスと戦いたいというのなら、なぜ[リマ]を選ぶ?」
28歳のエニスは、総合的な才能と多面的なスキルを兼ね備えた、現ボクシング界で最も天賦の才に恵まれた選手の一人と広く評価されている。しかし、対戦相手の選定には(状況的な事情があるにせよ)批判の声もあり、苛立つファンや懐疑的な識者が望むほどの強豪とは対戦していないという指摘も受けている。
一方、32歳のムルタザリエフは、昨年10月19日にフロリダ州オーランドで当時のWBO王者
ティム・ツィューを圧倒して以来、ほぼ1年も試合から遠ざかっていることに強いフラストレーションを抱えている。ツィュー(25勝3敗、18KO)は試合前オッズで7対1の大本命と見られていたが、ムルタザリエフ(23勝0敗、17KO)は彼を4度倒し、3回TKOで沈めた。
ツィューを粉砕して以降、オルティスを含む数多くのタイトル級の相手との提案試合が浮上しては消え、最終的に実現していないのが現状である。
ロシア生まれの王者であるムルタザリエフは、次戦で
イングランドのジョシュ・ケリーと王座防衛戦を行う可能性があるが、IBFランキング3位のケリー(17勝1敗1分、9KO)陣営との交渉はまだ最終合意に至っていない。IBFは、双方がそれまでに合意できない場合に備え、火曜日に入札を設定している。
エニスはIBFのスーパーウェルター級ランキングで現在5位に位置する。同団体のトップ15のうち、1位と2位は空位だが、仮にエニスが指名挑戦者の地位を得たとしても状況は変わらないだろう、とムルタザリエフは見ている。
「誰もが試合後には俺の名を口にする」とムルタザリエフは言う。「[セバスチャン]フンドラもそうだった。だが、いざビジネスの段になると、みんな姿を消すんだ」。
『The Ring』誌のジュニアミドル級王座は現在空位である。
154ポンドの『The Ring』誌トップ10では、オルティス(23勝0敗、21KO)が1位、フンドラ(23勝1敗1分、15KO)が2位、ムルタザリエフが4位に位置する。ランキング5位の
エリクソン・ルビン(27勝2敗、19KO)は、11月8日にテキサス州フォートワースのディッキーズ・アリーナで、オルティスのWBC暫定スーパーウェルター級王座に挑戦する。
エニスは今週、『The Ring』誌のジュニアミドル級トップ10に7位で新たにランクインした。7ポンド上の階級へ上げる前は『ザ・リング』の王者であったが、土曜夜に対戦した相手のレベルを踏まえ、同誌のレーティングパネルはエニスを7位以上に置くべきではないと判断した。
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライターおよびコラムニストである。X(旧Twitter)@
idecboxingで連絡可能。