アベル・サンチェスは、階級が存在するのには理由があると理解している。そして不運にも
テレンス・クロフォードは、その厳しい現実を身をもって知ることになると考えている。
アルバレスは2階級上で戦う選手だ。それでも、自分のほうが優れたファイターであることを証明したいクロフォードは、2018年以降はウェルター級(147ポンド)で戦い、昨年は1試合だけスーパーウェルター級(154ポンド)を経験しただけにもかかわらず、アルバレスの本拠地であるスーパーミドル級(168ポンド)への挑戦を決断した。
『The Ring』誌パウンド・フォー・パウンド3位のクロフォードは勝機を感じているが、アルバレスをよく知るベテラントレーナーのアベル・サンチェスはそう考えていない。
アルバレスと2度戦い、スプリットドローとマジョリティ・デシジョン負けという結果を残したゲンナジー・ゴロフキンを指導したサンチェスは、2022年にはライトヘビー級王者
ドミトリー・ビボルがアルバレスに大きなダメージを与えられなかった試合も見ている。
「テレンス・クロフォードは素晴らしいファイターだが、だからこそ階級が存在するんだ。カネロは階級を上げるごとに、その階級のトップと渡り合ってきたことを証明している」と、土曜日に
DAZN PPVで
行われるデビッド・アデレイ戦でヘビー級フィリップ・フルゴビッチのセコンドを務めるサンチェスは、『The Ring』のルイス・ハートに語った。「ビボルと戦ったが、ビボルは彼を痛めつけることができなかった。私の教え子とも戦ったが、2度の試合で彼を痛めつけることはできなかった。」
37歳のクロフォードは、これまでほとんど危ない場面すらなく戦ってきた。昨年カリフォルニア州ロサンゼルスでイスラエル・マドリモフを下しWBAスーパーウェルター級王座を獲得した後、階級を上げた。154ポンド級の全ベルト統一は現実的だったが、その階級には、アルバレスに勝った場合ほどの高額報酬や信頼をクロフォードにもたらす相手はいなかった。
しばらくの間、アルバレス(63勝2敗2分、39KO)はこの試合に興味を示さなかったが、度重なる挑発と無視できない金額のオファーにより、ついにクロフォードに意識を向けた。ただし、この対戦が現実になる前に片付けるべき試合があった。
ウィリアム・スカルは動きを止めなかったものの、アルバレスは5月3日にサウジアラビア・リヤドのANBアリーナで判定勝ちを収め、2度目のスーパーミドル級4団体統一王者となった。
アルバレスの動きは決して完璧ではなかったが、サンチェスは自らの評価に十分な確信を持つだけの材料を見ている。つい最近までクロフォードはスーパーライト級(140ポンド)だった。アルバレスは2005年にその階級でプロデビューしている。
「カネロがやったように3〜4年かけて、筋力だけでなく体格も正しい方法で作り上げていれば、もっとチャンスがあっただろう」とサンチェスは語った。「クロフォードがそれを14〜15カ月でやってきたことを考えると、これは厳しいだろう……。
「クロフォードは体重の影響でかなり動きが遅くなるはずだ。[カネロがタイミングをつかんだら]、最近の4〜5試合と同じように、カネロにとってはスパーリングセッションになると思う。5回か6回を過ぎれば、まるでスパーリングのように見えるだろう。彼は好きなように試合を運ぶはずだ。」