デビッド・アデレイは、キャリア最大の試練に挑む。
8月16日、サウジアラビア・リヤドでフィリップ・フルゴビッチと対戦するのだ。勝利の本命ではないかもしれないが、もし番狂わせを演じることができれば、その報酬は計り知れない。
アデレイ(14勝1敗、13KO)は、過去に一度サウジアラビアで試合を経験している。2023年10月、タイソン・フューリー対フランシス・ガヌーのアンダーカードで行われた英国・コモンウェルスヘビー級王座戦でファビオ・ウォードリーに7回KO負けを喫した。
その敗戦以降、アデレイは再起を果たし、直近の試合ではロンズデール・ベルトを獲得するなど、再び注目を集める存在となった。しかし、
フルゴビッチ(18勝1敗、14KO)は全く異なる強敵である。
彼は直近の試合でジョー・ジョイスに判定勝ちを収めており、これまでジレイ・チャンにも勝利し、2024年6月の
ダニエル・デュボア戦では終盤にカットでストップされるまで優勢に試合を進めていた。
アデレイは、4月にジェイミー「TKV」チケヴァにTKO勝利した後、リマッチのオファーも受けていたが、中東で開催される「Esports World Cup Fight Week」の舞台でフルゴビッチと戦う道を選んだ。
モーゼス・イタウマ対ディリアン・ホワイト戦のアンダーカードとして
DAZN PPVで中継されるこの一戦は、大きな意味を持つ。
前回の試合:アデレイの直近の試合は、
ジェイミー「TKV」チケヴァを相手にしたものであり、レフェリーの判断に疑問が残る物議を醸す展開の末、第6ラウンドTKO勝利を収めた。それまでのラウンドは全て失っていたと見る向きもあったが、第6ラウンドでレフェリーのロン・カーニーがブレイクを指示した直後にアデレイがチケヴァの顎に左フックを打ち込み、試合を決着させた。
オッズ: アデレイは大きなアンダードッグとされており、勝利オッズは5/1、他のブックメーカーでも9/2や19/5と設定されている。
アデレイがが勝つには:ロンドン出身のアデレイが番狂わせを演じるためには、彼がフルゴビッチに対して持つ唯一の利点──若さ──を最大限に活かす必要がある。アデレイは28歳で、フルゴビッチとはわずか5歳の差にすぎないが、フルゴビッチは長年のアマチュア経験に加え、プロでも苛烈な試合を数多くこなしており、蓄積されたダメージの差は無視できない。ボクシングの技術においてはフルゴビッチの方が優れており、顎も堅く、これまで激しいKO負けを喫したこともない。そのため、アデレイが一発逆転の勝負に出るよりも、フットワークとジャブ、ストレートの右でダメージを積み重ねていく戦術が有効と考えられる。実際、フルゴビッチが唯一敗れた2023年のダニエル・デュボア戦では、蓄積ダメージが決定打となっていた。
さらに、フルゴビッチは試合の中盤でスタミナ切れを起こす傾向があるため、アデレイが第6〜7ラウンド以降も試合にしっかりと留まり、フルゴビッチが疲れ始める場面に持ち込むことができれば、若さが決定的な武器となり、勝負を決める一撃を狙うタイミングを作り出せる可能性がある。
勝利の意味:アデレイがフルゴビッチを破ることができれば、彼はヘビー級における世界レベルの第2グループの一員として認知されることになるだろう。現在、王座はオレクサンドル・ウシクの手中にあり、挑戦の機会は限られているが、王座が分裂すれば指名挑戦者の機会が巡ってくる。フルゴビッチは昨年、空位の世界王座決定戦を戦った実績があるため、彼を破ることはアデレイの評価を大きく高めることに直結する。
選手のコメント:「俺には悪魔なんかいない」とアデレイは
『ザ・リング・マガジン』に語っている。「世の中にはもっと酷いことが起きている。俺にとっては悪魔なんていない。俺はただ、自分のやるべきこと──戦うことをやるだけだ。前回は敗れたが、今回は違う。今の俺は完全に波に乗っている。そして、ビッグファイトに関われる状況にある。相手はただの人間さ。腕が2本、足が2本あるだけだ。神じゃないし、特別でもなんでもない」
放送・配信情報:フィリップ・フルゴビッチ対デビッド・アデレイを含む「Esports World Cup Fight Week」の全試合は、
DAZNペイ・パー・ビューにて生配信される。視聴価格は、イギリスで19.99ポンド、アメリカでは19.99ドル、ヨーロッパでは19.99ユーロ、オーストラリアでは39.99ドル。