ウラジミール・シシュキンが最後にキューバ人選手と対戦したのは、ウィリアム・スカルとの試合だった。だがその時は、スカルがまともに戦おうとしなかったため、ロシア人スーパー・ミドル級コンテンダーのシシュキンを苛立たせた。
それでもシシュキンは、木曜夜に再び無敗のキューバ人と拳を交えることに前向きだ。なぜなら、
オスレイス・イグレシアスとの試合ではそのような問題は起こらないからだ。スカルとは違い、強打のサウスポーであるイグレシアスは、相手を破壊しにかかるタイプだからである。
“最も避けられている危険な挑戦者の一人”と評されるイグレシアスは、ほとんど常に前に出て戦うスタイルを貫いており、それによってシシュキンは自らの能力を発揮するチャンスを得られるはずだ。昨年ベルリンでのスカル戦のように、相手に逃げられて潰されることはないだろう。
シシュキンは、当時空位だったIBF世界168ポンド王座を賭けてウィリアム・スカルと戦った際、自分は十分以上に勝っていたと考えている。しかし判定は説得力に欠ける3-0の判定負けとなり、スカルが王座を獲得。
その後スカルは、5月3日にサウジアラビア・リヤドでカネロ・アルバレスとの対戦を実現させ、キャリア最高額のファイトマネーを手にした。現在IBFランキング2位のシシュキンと、同3位のイグレシアスは、ニュージャージーに本部を置くこの認定団体の指名挑戦権を懸けて対戦する。勝者はアルバレス、あるいはテレンス・クロフォードへの挑戦権を手にすることになる。
イグレシアス対シシュキン戦は、カジノ・ド・モントリオールから全6試合構成の興行のメインイベント(12回戦)として行われ、
Punchinggrace.comで配信される予定(米東部時間午後6時30分/英国時間午後11時30分)。
「彼の試合は見たことがある」とシシュキンは『
ザ・リング・マガジン』に語った。「パンチ力はあるが、攻撃的で前に出てくるのがいい。スカルは逃げ回ったが、イグレシアスのスタイルなら自分のベストスキルを見せられる試合になると思う。フットワークも技術も自分の方が上だと思っている。」
『The Ring』誌は、イグレシアス(13勝0敗12KO)を
アルバレス王座の挑戦候補トップ10で3位にランクしており、シシュキン(16勝1敗10KO)は9位に位置している。なお、シシュキンはスカル戦以降、約10か月半試合から遠ざかっている。
シシュキンの弁護士は、スカル戦での高くついた敗北を受け、ドイツ・プロボクサー協会に抗議を申し立てた。判定は覆らなかったものの、IBFはシシュキンをランキング2位に据え置いた。
「スカルと戦った後だと、『またキューバ人は嫌だ、逃げ回られるだけだ』と思うんだ」と、シシュキンのマネージャー兼アシスタントトレーナーのミック・ホバートは『ザ・リング』誌に語った。「でも俺が『映像を見てみろ。彼は前に出てくるし、全部見られるぞ』と言ったら、ウラジ(シシュキン)は『完璧だ。俺にピッタリだ』と答えた。そもそも彼はそういうタイプの相手が好きなんだ。」
ホバートは、イグレシアスを特別な存在にするかもしれない特質を理解している。同時に、シシュキン(34歳)はスパーリングでも試合でも一度もダウンしたことがなく、ケベックを拠点とする27歳のイグレシアスにとって、これまで14戦のプロキャリアで最も手強い相手になるだろうと指摘する。
「イグレシアスは全てのパンチに力を込め、特に右フックではしばしば踏み込み過ぎる」とホバートは語った。「だから彼は大振りのパンチを振ってくるだろうし、ウラジミールはそれを空振りさせ、逆に彼を痛めつける場面が見られるかもしれない。
最悪なのは、見えていないときに、大振りして体勢を崩したところで打ち込まれることだ。逃げ回る相手より、こういうスタイルの方がシシュキンに合っている。階級最強のカネロですら、それを嫌がっていた。逃げ回るファイターを好む人間なんていないんだ。」
Keith Idecは『ザ・リング』誌の上級ライター兼コラムニストです。Xでは @idecboxing で連絡できます。