トーマス・ラマンナは、何ヶ月にもわたって
ジャーマル・チャーロの試合映像を見続けた。あまりにも単調な映像に眠気をこらえることもあったが、それでもやるべきことだと信じていた。
ラマンナ(39勝6敗1分、18KO)はこれまでに多くの強豪と拳を交えてきたが、その中でもチャーロ、そしてエリスランディ・ララは別格だったと言っても過言ではない。
相手の実力を理解していたラマンナは、チャーロに関するあらゆる映像をチェックし、狂ったようにトレーニングにも打ち込んだ。汗をバケツのように流し、映像を何時間も見続けた末に頭痛に悩まされても、それでも結果には結びつかなかった。
約2年間リングから遠ざかっていたチャーロだったが、ブランクの影響は微塵も感じさせなかった。
開始直後からラマンナを圧倒し、3、4、5ラウンドと3連続でダウンを奪い、6ラウンドで試合を終わらせた。
一瞬にして、ラマンナの9連勝は水の泡となった。いま彼は、この敗戦の意味を受け止めようとしている。
ラマンナはこれまで“真の世界ランカー”として見なされてきたわけではないが、それでもトップ選手たちと競り合えるだけの経験は持っていた。だが、現役・元王者たちとの対戦を重ねてきた33歳は、チャーロが持つ“特別な武器”にはどうしても対策を練ることができなかったと感じている。
「ジャーマル・チャーロのジャブは、俺が今まで見てきた中でも最高クラスだった」とラマンナは『Tha Boxing Voice』に語った。「あのジャブはエリート級だったよ。」
アウトボクシングで距離を取っても、クリンチ狙いで接近戦を仕掛けても、ラマンナには解決策が見つからなかった。ネバダ州ラスベガス、ミケロブ・ウルトラ・アリーナには、チャーロの拳がラマンナの頭蓋骨を打ち抜く鈍い音が何度も響き渡った。
チャーロのジャブが突出していたのは事実だが、それだけが敗因だったのか? そうかもしれない。だがラマンナの視点からすると、本当に厄介だったのはパンチそのもの以上に、チャーロの精神的な落ち着きと戦略的なアプローチだったという。
「あいつのタイミングも落ち着きも、完全に別次元だったよ。」