タイソン・フューリーは、『ザ・リング・マガジン』の2024年プロスペクト・オブ・ザ・イヤーに選ばれた
モーゼス・イタウマに対し、ディリアン・ホワイトとの試合は昨年ジャレッド・アンダーソンがマーティン・バコレに敗れた時のような悲劇になる可能性があると警告している。
イタウマ(12勝無敗10KO)は、
8月16日にサウジアラビア・リヤドで開催される「Esports World Cup Fight Week」のメインイベントで、元世界タイトル挑戦者ホワイトと対戦する。
ホワイト(31勝3敗21KO)は、長年にわたってヘビー級の世界レベルで戦ってきた実力者だが、現在37歳でブランクもあり、キャリアの終盤に差し掛かっている。果たして彼に、まだどれだけの力が残されているのか疑問視する声もある。
「ボディ・スナッチャー」の異名を持つホワイトは、英国ボクシング界において確かな存在感を放ってきた。特にマッチルーム・ボクシングとスカイスポーツの提携末期には、数々のペイ・パー・ビュー大会でメインを務めた実績がある。2022年4月には、タイソン・フューリーとの世界ヘビー級タイトルマッチにも出場。試合は第6ラウンドでKO負けを喫したが、ウェンブリー・スタジアムに9万4千人の観衆を集めた、英国史上最大規模の一戦の一角を担った。
ホワイトに勝てば、すでに「ヘビー級の未来の王者」と目されているイタウマにとって大きな勲章となるだろう。しかし、タイソン・フューリーは2024年8月に
ジャレッド・アンダーソンが
マーティン・バコレ戦で味わったような苦い展開になりかねないと警告している。
当時、アンダーソンは24歳の非常に期待されていたプロスペクトで、まだ世界レベルの相手とは対戦していなかった。その未熟さが露呈したのが、ロサンゼルスで行われたテレンス・クロフォード対イスラエル・マドリモフ戦のアンダーカードだった。そこで彼は、31歳のマーティン・バコレに5ラウンドで残酷なTKO負けを喫した。
「勘違いするなよ。ディリアン・ホワイトは頭にもボディにも強烈なパンチを持っている」と“ジプシー・キング”ことタイソン・フューリーは、トルコ・イスタンブールで行われたIBAのイベントで語った。「彼がこの試合に本気で取り組んでいるのは間違いない。トレーニングキャンプに参加しているタイ・ミッチェルとも話をしているし、この試合を楽しみにしているよ」。
「モーゼスにとっては大きなステップアップになる。なぜなら、これまでにホワイトのレベルと戦ったことはないからだ。昔のホワイトはもう数年前の話だがな。」
「ホワイトにどれだけの力が残っているのか、それを見極めるのは興味深い。これは、マーティン・バコレがジャレッド・アンダーソンにやったような展開になる可能性もある。時期尚早かもしれないし、圧倒的な内容で突破するかもしれない。だからこそ、実際に観て確かめるべきなんだよ。」
ただしフューリーは、イタウマにとってこの試合のタイミングは絶好だとも考えている。イタウマは、フューリーが
オレクサンドル・ウシクとの初戦に向けた準備中、スパーリングパートナーを務めていた。
「モーゼスにとってはいい試合になる。ディリアンと戦うには絶好のタイミングだ。彼はここ数年、リングから離れていたからな」とフューリーは続けた。
「モーゼスについてひとつ言いたいのは、彼は本当に良いファイターで、良いボクサーだということだ。まるでスポンジのように、言われたことを吸収して、ちゃんと耳を傾ける。まだ20歳だし、数年前にこう言ったんだ。『記録を塗り替えることなんて気にするな。キャリアは一度きりなんだから、焦らず楽しめ』って。俺自身が19、20歳だった頃のことを覚えてるけど、今はもう36歳で、その時間はもう過ぎてしまったんだよ。」
イタウマ vs ホワイト戦はDAZNでライブ配信され、同大会のメインイベントとして行われる。この興行では、WBAフェザー級王者
ニック・ボール vs サム・グッドマン、
アンソニー・カカーチェ vs レイ・フォード、
フィリプ・フルゴビッチ vs デビッド・アデレイといった注目カードもラインナップされている。
「ザ・リング・マガジン」のアンバサダーの堤駿斗も、カイス・アシュファクとの一戦に臨む。