ボクシングの歴史を語るなら、デトロイトがこのスポーツに与えた影響を抜きに語ることはできない。
“モーターシティ” は、〈ブラウン・ボンバー〉ジョー・ルイス、〈ヒットマン〉トミー・ハーンズ、エマニュエル・スチュワード ら、多くの偉人が腕を磨いた地だ。
ルイス はヘビー級王座を11年間にわたり25度防衛。ハーンズ は史上初の4階級制覇王者となり、伝説のクロンカ・ジム──40人以上の世界王者を生み出したスチュワード の手腕のもとで絶頂に到達した。
そんなデトロイトを現代ボクシングの中心に再び引き戻しているのが、サリタ・プロモーションズを率いる ドミトリー・サリタ だ。3階級で“全統一”を果たしたク
ラレッサ・シールズ がその象徴的存在になっている。
サリタ・プロモーションズは12月19日、デトロイトのフォックス・シアターに再び戻り、全10試合のイベントを開催。メインはオリビア・カリー vs ケイ・スコット のミドル級WBA&WBCの空位王座決定戦で、
DAZNで独占生配信される。この大会には、元WBCスーパーウェルター級王者の
トニー・ハリソン も登場し、ブライアン・ダミアン・チャベス(15勝7敗、6KO)とセミファイナルで対戦する。デトロイト出身のハリソン は、サリタ・プロモーションズ参戦は今回が2度目。12年のプロ経験を誇るサリタ が、デトロイトのボクシング復活に果たしている役割はもっと評価されるべきだと語る。
「サリタ は本来受け取るべき評価を全く受けていないと思う」とハリソン は『
ザ・リング』に語った。「サリタ は“最強のマーケット”──デトロイトという街にちゃんと目を向けた。ここは昔から、良いファイター、クロンカ、最高の選手たち、タフな奴らで知られてきた場所なんだ。
長い年月を経て、人々はデトロイトを信じなくなっていた。でもサリタ は来て、この街が本来受け取るべき光を持ち込んだ。彼がデトロイトを代表して、象徴的な場所で象徴的な選手を使って大会を開き、クラレッサ・シールズ とともにリトル・シーザーズ・アリーナを満員にした。あの働きは本当に十分な評価を受けていない。
俺は彼に敬意を表する。俺たちはサリタ のような存在をもっと必要としているし、俺みたいな選手からもすごく感謝されているよ。」
ハリソン(30勝4敗1分、21KO)にとって、今回は 2014年以来わずか2度目の地元デトロイトでの試合 となる。35歳の彼は7月26日、
リトル・シーザーズ・アリーナでエドワード・ウロア・ディアスに10回戦のユナニマス判定勝ちし、2年間のブランクに終止符を打っていた。2011年から2014年の間に、ハリソン はプロ最初の17戦中 7試合をデトロイトで戦っている。
「俺にとっては象徴的なんだ」とハリソン は続ける。「昔デトロイトで戦っていた頃は、もっと古い会場とか、いわゆる地元の小さな場所ばかりだった。でも今のこの流れは本当に特別だ。フォックス・シアターなんて、テンプテーションズ がステージに立っていた場所で、ボクシングが行われたことなんてなかったんだ。
そこや、建設されてまだ8年くらいのリトル・シーザーズ・アリーナで俺が戦えるなんて、全部が象徴的な瞬間に感じるし、その一つ一つを楽しんでいる。」