ラスベガス発――
ティム・チューの視点からすれば、
セバスチャン・フンドラが勝てたのは15か月前、本当に運が良かっただけだ。
2024年3月、髪の生え際の中央付近に深く切り裂かれるような裂傷を負っていなければ、元WBO世界ジュニアミドル級王者チューはフンドラに完勝していたはずだと確信しており、もしかするとノックアウトで終わらせていたかもしれないと考えている。
オーストラリアのチューは、試合の最初の2ラウンドで右のパンチを的確に当てていた。しかし、試合の流れは第2ラウンド終了直前、フンドラのヒジが30歳の頭部をかすめ、大きく裂けた傷口から大量の出血が始まったことで一変した。
チューは出血と痛みに耐えながら最後のゴングまで戦い抜いたが、試合はラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われ、フンドラがスプリット判定で勝利を収めた。 無敗のIBF世界ジュニアミドル級王者
バフラム・ムルタザリエフは、その7か月後、2023年10月19日にフロリダ州オーランドでティム・チューを相手に壮絶な試合を展開し、3回TKO勝ちを収めた。
この試合でチューは4度のダウンを喫している。154ポンド級の王座統一を目指すティム・チューは、この2つの敗戦の雪辱を果たすことを誓っている。コスチャ・チューの息子のひとりである彼は、その第一歩として、今週土曜の夜に再びフンドラとの12回戦に臨む。この試合は、MGMグランド・ガーデン・アリーナで行われるマニー・パッキャオ対マリオ・バリオスのPPV興行のアンダーカードとして行われ、27歳のフンドラが保持するWBC王座がかけられる。 (
8 p.m. ET; 5 p.m. PT; $79.99)。
「前回の試合で俺を完全に仕留めておくべきだったな」とチューは木曜の記者会見で語った。「今回はまったく違う展開になるぞ。」
もちろんフンドラ対チュー第2戦は、プレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)のメインイベントになっていてもおかしくないカードだ。しかし、コーチェラ(カリフォルニア州)出身のフンドラ(22勝1敗1分、14KO)とシドニー出身のチュー(25勝2敗、18KO)は、46歳のマニー・パッキャオが約4年ぶりに復帰する興行の豪華なアンダーカードの一部として登場する。
プロ9年目のチューは、今回の再戦ではより良いパフォーマンスを見せられると確信している。その理由は、サウスポーで身長198センチのフンドラと対戦するにあたり、前回のようなカットなしで戦えることを願っているからだけではない。フンドラは右構えのチューよりも8インチ(約20センチ)背が高い。
また今回は、異例の長身を誇るフンドラに向けて、キャンプ期間をフルに使って準備を重ねてきた。前回は、本来対戦予定だった
キース・サーマンがトレーニング中に上腕を負傷して試合を回避したため、チューはわずか11日前のオファーで急遽フンドラ戦を引き受けていた。
「しっかりとしたキャンプと準備を経て、何が有効で何が通用しないのかを見極められるようになった」とチューは語った。「今回はまったく違う、より知的な試合を見せることになる。」
初戦の後、チューのトレーニングチームは批判を受けた。というのも、レフェリーのハーヴィー・ドック、あるいはネバダ州アスレチック・コミッションのドクターに対し、第4ラウンド終了前に試合を止めるよう求めなかったからだ。もしそのタイミングで試合がストップされていれば、チューのカットはパンチによるものではなかったため、フンドラ対チューはノーコンテストとなっていたはずだった。
誇り高きチューは木曜、あの夜に頭頂部に深刻なカットを負いながらもなぜ戦い続けたのか、その理由を語った。
「リングに上がるとき、俺はこのリングで死ぬ覚悟で戦うという気持ちで臨んでいる」とチューは語った。「時にはそれが問題になることもあるし、セコンドが『試合を止める』なんて言うのは、俺のスタイルにはまったく合わない。俺はリングに上がったら、最後まで戦い抜く。それがKOされる結果になったとしても、それが俺のやり方なんだ。」
「何度でも立ち上がろうとする、それが俺の流儀だ。もしセコンドがあの試合を止めていたら、俺は連中に対してブチ切れていたと思う。なぜなら、俺は自分の本当の限界を知らないまま生き続けることになっていたからだ。だからこそ、セコンドが試合を止めなかった理由はそれで説明がつく。」
フンドラは木曜、チューがあのカットを負いながらも10ラウンドを戦い抜いたことから、会場やテレビで見たほど本当にあの傷が深刻だったのか疑問を呈した。
「集中を欠いてしまった」とチューは続けた。「コーナーに戻って試合のことを考えるべきところを、カットのことばかり考えてしまっていた。トップレベルの戦いになるほど、そうした心配は大きな障害になる。」
「セバスチャンは、俺がはっきり見えていると思っていたと言っていたが、実際はまったく見えていなかった。でも、それが再戦が組まれた理由だ。答えを出さなければならない疑問は俺だけでなく、両者にある。間違いなく答えは出るだろう。」
Keith Idec は「ザ・リング・マガジン」のシニアライター兼コラムニスト。Xでは@idecboxingで連絡可能。