WBCフェザー級世界王者のスティーブン・フルトンには複数の選択肢があり、近日中に試合に関する発表をほのめかしているものの、次戦では予想外の展開が待っているかもしれない。
そう語るのは、フルトンのトレーナーであるデリック“ボージー”エニスだ。フルトン(23勝1敗8KO)は、2月半ばにブランダン・フィゲロアとの再戦で12ラウンド判定勝ちを収め、2階級制覇を達成している。
エニスはBoxing Sceneの取材に対し、元スーパーバンタム級統一王者のフルトンが、3階級目の世界王座を狙ってWBCスーパーフェザー級王者オーシャキー・フォスター(23勝3敗12KO)に挑むと予想していると語った。
WBCの1位コンテンダーであるブルース・キャリントン(15勝0敗9KO)からは名指しで対戦を求められ、WBA王者のニック・ボール(22勝0敗1分13KO)は、自身こそがそのタイトルにふさわしいと信じており、統一戦を歓迎する姿勢を公にしている。一方、休養王者のレイ・バルガス(36勝1敗1分22KO)は、1年のブランクを経ての復帰を控えて待機している。
今月初め、
ザ・リングのキース・アイデックは、もしフルトンが再び階級を上げる場合、WBCがキャリントン対バルガスの126ポンド王座決定戦を指令する可能性があると報じた。ただし、トップランクはその試合が暫定王座ではなく、正規王座を懸けたものになることを求める見通しだ。
フィラデルフィアにあるネクスト・チャンプ・ジムで、息子ジャロン・エニスやキューバ出身のライト級有望株アンディ・クルスの指導も行うデリック・エニスは、フルトンの再浮上の鍵は規律の強化にあり、彼のスタイルにも新たな一面が見られるようになったと語っている。
キャリア初黒星から2年を3カ月後に控えた今も、スティーブン・フルトンには身体能力の低下やモチベーションに対する疑問が根強く残っている。彼が敗れたのは、東京で行われた井上尚弥(29勝無敗26KO)との試合で、第8ラウンドKO負けを喫し、スーパーバンタム級4団体統一王座を明け渡した時だった。
その後の再戦で相まみえたブランダン・フィゲロアは、3連勝中で、そのうち2試合はストップ勝ちを収めていたこともあり、試合前は有利と見られていた。しかしフルトンは、初戦以上に明確な差を見せてフィゲロアをアウトボックスし、完勝を収めた。ただし、試合内容は盛り上がりに欠け、前哨戦で多くを語っていたフィゲロアのアクションが少なかったことに、ファンの期待は裏切られた。
一方、オーシャキー・フォスターは昨年11月、ロブソン・コンセイサンとの再戦で判定勝ちを収め、物議を醸したスプリット判定でWBC王座を失った5カ月後に雪辱を果たした。デリック・エニスは、トップランクが後押しするこの王者がフルトンの次戦の相手になると見ており、それは本人との会話を通じて確信しているという。
「次はそれだと思う――彼は階級を上げるよ、たぶん近いうちにね。ジムで話してたんだけど、それが今のプランにある。いい試合になると思うよ。あのフィゲロア戦の勝利で、彼は一気に注目される存在になった。これからもっと大きなチャンスが巡ってくるはずだ。
彼がうちのジムに来たとき、“ブーツ(ジャロン・エニス)がやってること”をやり始めたんだ。俺は言ったんだよ、『タイトル獲った後に遊び歩いてる場合じゃない、ジムに通い続けなきゃダメだ』って。彼は週3回ジムに来るようになった。試合がなくても、ちゃんと来てるんだ。『あいつらがやってることを、俺もやらなきゃ』って言ってたよ。そこからすべてが変わった。今では俺たちのやり方――もっと努力して、常にジムにいること――をしっかり守ってる。」
先週末、ジャロン・エニスはアトランティックシティで無敗のエイマンタス・スタニオニスを6ラウンドTKOで下し、IBFとWBAのウェルター級王座を統一すると同時に、空位だったリング誌の王座も手にした。また、2020年東京五輪ライト級金メダリストのアンディ・クルス(5勝無敗2KO)は、IBFライト級王座挑戦者決定戦で日本の三代大訓(17勝1敗1分6KO)との対戦が決定している。