ショーン・マコームは、シェフィールドのパーク・コミュニティ・アリーナでDAZNによって放送された試合で、
ベン・クロッカーに判定で僅差の勝利を収め、キャリアをつなぎとめる。
昨年4月、マコーム(20勝2敗、5KO)はニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでアーノルド・バルボサに対し、物議を醸すスプリット判定で敗れる。彼の巧みで冷静なパフォーマンスは本来ならば次の大きな試合へとつながるはずだったが、結果的にはスーパーライト級の表舞台から遠ざかることになる。
クロッカー(14勝1敗1分、2KO)は、小規模会場での試合を積み重ねてIBFヨーロッパ王座を獲得するまでに至ったが、マコームとの対戦は31歳のウェールズ出身の彼にとって大きなレベルアップの試練となる。
彼は落ち着いた立ち上がりを見せ、マコームのフェイントには引っかからず、タイミングよく放たれた左フックで北アイルランド出身のマコームを第1ラウンド早々にダウンさせる。
マコームは、じっくり構えてカウンターを狙える展開のほうがはるかに得意だが、クロッカーは巧みに後ろに下がり、マコームに先手を取らせる展開に持ち込む。この作戦は序盤で功を奏し、クロッカーが早い段階でリードを奪う。
試合は興奮というよりも緊張感に包まれていた。どちらの選手にも一撃で試合を決めるようなパンチ力はないが、互いに攻撃に対しては積極的で、打ち合いの場面では激しいパンチの応酬が見られた。
徐々に、しかし確実にマコームはペースをつかみ始める。クロッカーの慎重な戦術を逆手に取り、わずかに手数を増やして主導権を握る。時折返ってくる正確な右ストレートには警戒が必要だったが、マコームがジャブを突きながら間合いを測る様子からは、試合の流れを作っているという印象が強まっていく。
クロッカーは鋭いカウンターの右ストレートで引き続き見せ場を作るが、待ちすぎてラウンドを落とす危険もあった。
両者とも試合の主導権を強引に握ろうとはせず、最終ラウンドまで淡々とボクシングを続ける展開に。クロッカーは一発のカウンターを狙い続け、マコームは上下のフェイントを交えながらジャブを突き、ストレートの左を狙う。
試合は判定にもつれ込み、3人のジャッジ全員が96-93でマコームを支持した。
この夜のセミファイナルでは、グラダス・クラウスが自身のキャリアで初めてフルラウンドを戦い抜いたが、スコットランドのスコット・フォレストに対して、一方的な内容の6回戦を制し、無敗記録をキープした。
本来はライトヘビー級のクラウス(8勝0敗、7KO)はこの試合で196ポンドで出場。一方のフォレスト(7勝2敗、4KO)に対し、増量はまったく問題とならず、派手で型破りなスタイルの24歳はそのスピードとテクニックを存分に発揮した。
クラウスは開始早々1分以内に左のショートパンチでフォレストをダウンさせ、その後も自由自在にパンチを当て続ける。
フォレストは勇敢に前に出続けたが、クラウスの多彩な攻撃とスピードに対応できず、試合は何度もストップされるべき状況だった。レフェリーのリース・カーターは60-53でクラウスの勝利を裁定した。
英国・コモンウェルス女子スーパーバンタム級王者の
タイジー・ギャラガー(10勝2敗)は、ドンカスター出身のエリー・ヘレウェル(7勝1敗、1KO)に対し、全10ラウンドを落ち着いて戦い抜き、ユナニマス判定でタイトル防衛に成功する。
ヘレウェルは身長とリーチのアドバンテージを生かすことができず、序盤で打つ手を失う。ギャラガーはサウスポーの相手に対し、動き回りながら攻撃のタイミングを見極め、クリーンヒットを積み重ねて大半のラウンドを制した。
判定は97-93、98-93、97-94でギャラガーの勝利。
ミドル級無敗のシャキール・トンプソン(15勝0敗、11KO)は、グラント・デニス(19勝16敗、3KO)を2ラウンドでストップ。6フィート3インチのサウスポーは、ボディに鋭く右を打ち込み、ベテランのデニスを膝をつかせた。トンプソンは注目株のひとりであり、そろそろ本格的な試練となる試合が求められている。
エド・ハーディ(5勝0敗、2KO)は、スーパーフェザー級6回戦でエルサルバドルのホセ・ペレス(15勝25敗1分、10KO)に余裕の判定勝ちを収める。
ハーディはシンプルな戦術を徹底し、時折ペレスのカウンターを受ける場面もあったが、試合を通して主導権を握り続けた。