サム・ノークスがWBOライト級王座をかけて
アブドラ・メイソンに挑み、勇敢ながらも届かなかったあの夜から、10日が過ぎた。
打撲や傷の痛みは和らぎつつある一方で、初の世界タイトル挑戦を逃した悔しさはまだ消えない。
空位となっていた王座を争うこの一戦は、サウジアラビア・リヤドで開催された豪華カード「Ring IV」のオープニングを飾った。メイソン(20勝0敗、17KO)もノークス(17勝1敗、15KO)も世界レベルでは無名に近い存在だったため、後に続くビッグネームや注目の試合に埋もれてしまってもおかしくなかったが、この無敗ライト級同士の一戦は大会の主役をさらうほどの熱戦となった。
両者は互いに限界まで押し合う死闘を演じたが、より正確でクリーンなヒットを積み重ねたメイソンが、
激戦の末にユナニマスデシジョンで勝利を手にした。メイドストーン(ケント州)出身の28歳ノークスは、talkSPORT の出演で、今回のパフォーマンスが大きな反響を呼んでいることを明かした。
「この試合に関して悪いコメントは一つも見ていない」とノークス。
「普通はちょっとしたネガティブ意見が出るもんだけど、アメリカのファン層にも“タフな男だ”“鉄は鉄を鍛える”みたいな称賛ばかりだった。」
「試合後はめちゃくちゃ痛かったよ、本当に。今だから笑って話せるけど、日曜日は『もうカフェで働く仕事でも探そうかな。ボクシングってマジでキツいわ』って思ったくらいだ。」
ノークスとメイソンはファンから称賛を浴びただけでなく、12ラウンドの激闘を通じて互いへのリスペクトも深めた。
両者には試合前から“本物なのか”という疑問符もついていたが、試合が終わるころには、どちらも“世界レベルの実力者”であることを証明してみせた。
「自分の持てるものは全部リングに置いてきたし、アブドラ・メイソンには本当に敬意を払うべきだ。あいつはマジで強い。終盤で少し落ちるかと思っていたけど、全然だった」とノークスは続けた。
「確かに彼は以前の試合で被弾して効かされていた場面もあったけど、それでもしっかり立っていた。12ラウンド前にアル(スミス/ノークスのトレーナー)が“倒すしかないぞ”って言ってきて、俺は“ずっと狙ってるよ、アル。本気で狙ってるんだよ”って返したのを覚えてる。」
ノークスはWBOランキングを上げるため、2023年12月から2024年12月の間に5試合をこなした。その期間に英国王座と欧州ライト級王座を一気に獲得し、イヴァン・マンディやライアン・ウォルシュといった経験豊富な相手とのラウンドで大きな経験値を積んだ。
メイソン戦は今年わずか2試合目だった。
世界タイトルが懸かった試合だったため、ノークスとしてはじっくり待つ姿勢でも納得できたが、いまや名前を世界に知らしめたことで、サウジでの激闘が生んだ勢いを活かし、再びリングに戻って前進したいと強く思っている。
次に望む相手について聞かれると、ノークスはこう答えた。
「具体的な名前は言えないけど、大きい試合なら間違いなくやりたい。
もう英国レベルには戻りたくないし、できれば別の団体の世界タイトルにも挑戦したい。そこでベルトを獲れたら、今度はメイソンとの統一戦としてリマッチっていう流れもあり得る。それって最高じゃないか?」