アブドゥラ・メイソンの父でありトレーナーでもあるヴァリアント・メイソンは、土曜夜の
サム・ノークス戦で足とスキルを使ってアウトボックスするよう息子に望んでいた。
しかし“火の出る打ち合い”を好む息子は、まったく別のプランを持っていた――タフで骨のあるコンテンダーとの空位WBOライト級タイトルをかけた12回戦を、真っ向勝負の殴り合いで制するというものだった。気迫を前面に出したメイソンは深いところまで踏ん張り、ノークスの苛烈なボディ攻撃に耐え、無敗だった英国勢との打ち合いを上回り、サウジアラビア・リヤドのANBアリーナで行う「
ザ・リングIV:ナイト・オブ・ザ・チャンピオンズ」カードで3者一致の判定勝ちを収める。
ベノワ・ルーセル(117-111)、ダンレックス・タプダサン(115-111)、レシェク・ヤンコウィアク(115-111)の3ジャッジは、観客を沸かせた激戦をそろってクリーブランド出身のメイソンに振る。
21歳のメイソンは、現役男子世界王者として最年少となり、初めて6ラウンドを超える戦いを経験する。28歳のノークスは、プロ6年目で迎えた初の世界タイトル戦で悲願を逃す。
メイソン(20勝0敗、17KO)は12ラウンドを通してノークス(17勝1敗、15KO)にプレッシャーをかけ続け、ボディと顔面にパンチを叩き込み、ノークスのベストショットにも耐えながらゴングまで押し切る。
11ラウンドの残り1分では、メイソンとノークスが互いにクリーンヒットを返し合う打ち合いを展開。ノークスは11ラウンド残り1分あたりで右のボディショットを決め、メイソンを後退させる。
10ラウンド残り35秒では、メイソンの右アッパーがノークスのボディをとらえ、バランスを崩させる。メイソンは仕留めにいくが、ノークスは気迫で押し返して11ラウンドへ生き残る。
10ラウンド半ばでは、ノークスが内側から左をヒットさせる。
アブドゥラの父でトレーナーのヴァリアント・メイソンは、これまでのラウンドより9ラウンドの内容に満足しており、ジャブを使い分け、頭部へのパンチを決めながらノークスを回し込む動きを評価する。
8ラウンド半ば直前には、メイソンの左ボディがノークスを効かせる。さらに8ラウンド後半には、ノークスをロープへ押し込み、左を上に伸ばしてヒットさせる。
ノークスのボディ攻撃が効き始めたメイソンは、7ラウンド後半でボディ打ちを返し、その後は残り1分で互いにクリーンヒットを交換する。7ラウンド開始40秒弱では、ノークスの左ボディがメイソンを後退させる。
6ラウンド開始1分過ぎには、メイソンが左でノークスを押し下がらせる。6ラウンド後半にはノークスの右をかわし続ける。
5ラウンド残り1分強では、ノークスの右がメイソンの頭を跳ね上げ、観客を沸かせる。このラウンドでノークスの左目上のカットは激しく出血を続ける。
4ラウンド後半では、ノークスがメイソンの動きを鈍らせようとボディを攻める。ラウンド序盤には、メイソンのパンチに反応してノークスが右をカウンターで決める。
3ラウンド残り2分10秒あたりでは、メイソンの左アッパーがノークスを後退させ、その直後の偶発的なバッティングでノークスの左目上にカットが生じる。
2ラウンド残り20秒強でノークスの右がヒット。2ラウンド半ば直前には、メイソンのストレート左がノークスの脚をぐらつかせる。続いてノークスはメイソンをロープへ押し込み、残り2分弱で強烈な右を決める。
1ラウンド終盤には、ノークスの右がメイソンの左グローブ越しにヒット。残り40秒強ではノークスの右アッパーがメイソンのガードを割って入る。
1ラウンド中盤ではノークスが右を2発当てる。どちらもメイソンに大きなダメージは与えなかったが、ディフェンス強化の必要性を浮き彫りにする内容となった。
WBO1位のメイソンと、同2位のノークスは、
5か月前にキーショーン・デービスから剥奪された135ポンド王座をかけて戦った。
無敗のデービスは6月6日、ドミニカ共和国のサウスポー、エドウィン・デ・ロス・サントスとの任意防衛戦を前に、リミットを4.3ポンドオーバーして計量に失敗する。デービスの地元バージニア州ノーフォークのスコープ・アリーナで、6月7日に行う予定だったデービス対デ・ロス・サントス戦は、直前で中止となる。デ・ロス・サントスの元プロモーターであるサンプソン・レウコウィッツが、より重いデービスが減量していない状態では試合が危険だと判断したためだった。
Keith Idecはザ・リングの上級ライター兼コラムニストで、Xでは @
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