チャンスが巡ってきたとき、
サム・グッドマンはためらうことなく4ポンド増のフェザー級に階級を上げ、WBA王者ニック・ボールとサウジアラビア・リヤドで8月16日に対戦することを選んだ。
「このチャンスは自然と目の前に現れた」とグッドマンは
『ザ・リング・マガジン』に語った。「あの時のカットの影響で、ジュニアフェザー級ではもう出番がないように感じていた。何の話も出てこなかったし、関係者が消極的になるのも理解できるよ。
でも、自分はこの競技に“世界王者になるため”に身を投じた。今回の試合こそ、その夢に到達するための最良のルートだ。8月16日は、長年の夢である世界王者の座に手が届く絶好の機会なんだ。」
キャリアの大半を122ポンド(ジュニアフェザー級)で戦ってきた26歳のグッドマンだが、今回の階級アップについては特に問題を感じていない。
「俺はけっこう大きなジュニアフェザー級選手だからね。日頃一緒に練習する相手はたいていフェザー級よりももっと大きい選手ばかりだ。だから全然問題ない。いつかフェザー級に上がるとは思っていたし、今回は減量も少し楽になるよ。」
グッドマンは、5月下旬からオーストラリア・ウエストゴスフォードでコーチのジョエル・キーガンとともに調整を重ねてきた。
チーム・グッドマンは、時差順応のため8月上旬にドバイ入りし、試合の1週間前にはリヤドに移動する予定である。
昨年12月と今年1月の試合が裂傷により中止となったことに加えて、直近のセサール・バカ戦でもグッドマンは切り傷を負っていた。そのため、今回の試合では同様のアクシデントを防ぐために、さらなる予防策が講じられている。
グッドマンは「スパーリングでは毎ラウンドたっぷりとワセリンを塗っている」と語り、「ヘッドギアにはノーズバーを付けている。以前は付けていなかったけど、顔全体をしっかり保護するために取り入れた」と説明した。
今回のボールは、これまでの対戦相手の中で最もハイレベルだとグッドマンは認めつつも、勝利への準備はできていると自信をのぞかせた。
「100%、実績で見れば彼が一番強い相手だってことになる。でも本番になってみないとわからないよ。彼はフィジカルが強くて、過小評価されがちだけどボクシングスキルもある。小柄でコンパクトだから、自分を小さく見せて的を絞らせないのがうまい。世界王者になるには、それなりの実力が必要なんだ。」
「自分のやるべき仕事に全力を尽くすだけさ。どんな試合でも、常にベストな状態で臨まなければならない。今回も、勝つために自分を最高の状態に仕上げることだけを考えてる。」
オーストラリア出身のグッドマンは、自分の戦術を遂行することでボールの勢いを止められると信じている。
「相手にリスペクトさせる、それも早い段階で。それが今回のテーマだ。だからこそ、俺のスタイルを相手にしっかり押しつけるつもりだ。」
勝利への自信をみなぎらせるグッドマンは、この勝利が「人生を変える」ものであり、将来的にフェザー級で
井上尚弥との対戦につながる可能性もあると見ている。
「この試合に勝てば、俺の世界は大きく広がる」と語るグッドマン。「それだけに、この試合に集中してる。先のことを考えすぎることはないけど、(井上戦は)頭の片隅にはある。目の前にはチャンスが広がってる。」
一方、対戦相手のニック・ボール(22勝0敗1分、13KO)は、フェザー級で『The Ring』3位にランクされている。2017年にプロデビューし、タイソン・フューリー対ディリアン・ホワイトのアンダーカードでアイザック・ロウを6回TKOで下し、WBC地域タイトルを獲得した。これがブレイクのきっかけとなり、その後もルドゥモ・ラマティ(12回TKO)、元ジュニアフェザー級王者アイザック・ドグボエ(12回判定)を破って王座戦線に名乗りを上げた。
体格差の大きいWBC王者レイ・バルガスから2度のダウンを奪い、接戦の末に引き分けに持ち込んだ試合は、多くの人々から勝利に値する内容だったと称賛された。そしてWBA王者レイモンド・フォードとの接戦では、12回スプリット判定で僅差の勝利を収め、現在はロニー・リオス(10回TKO)、TJ・ドヘニー(10回終了TKO)といった実力者相手に防衛戦を成功させている。
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