無敗のサム・グッドマンは、昨年12月にリング誌と全団体統一王者であるスーパーバンタム級王者・
井上尚弥との対戦に向けて順調に準備を進めていた。しかし、スパーリング中に負ったカットにより試合は1か月延期に。その後、傷口が再び開いてしまい、オーストラリア人にとって大きなチャンスは幻となった。
122ポンド級でリング誌ランキング4位の
グッドマンは、努力を重ねて掴みかけたチャンスを逃したことについて、「やはり悔しさが残る」と率直な思いを語っている。
「これまで経験した中でも最も辛い出来事の一つだった。井上戦は誰が見てもビッグマッチだし、これまでの報酬とは比較にならない額だったのも事実だ」とグッドマン(19戦無敗、8KO)は
『ザ・リング・マガジン』に語った。「あの試合を逃したことで、正直かなりの経済的打撃を受けているんだ。」
「もう1年近く試合ができていない。ファイトマネーも入ってこないし、別の仕事をしているわけでもない。家を買ったけど、ローンの支払いに苦労している。何人かのスポンサーに頼るしかなかった。本当に厳しい時期だった。選択肢は他にないし、プランBなんて存在しない。これでダメなら終わりなんだ。」
昨年7月、チェンノイ・ウォラウットとの試合で拳を骨折し、その後には井上尚弥戦が延期を経て最終的に中止となったことで、グッドマンは約10か月間リングから遠ざかることとなった。
「実質的に2度のトレーニングキャンプをこなしたようなものだった。あのキャンプには何千ドルも費やしたんだ」とグッドマンは明かした。「海外やオーストラリア各地からスパーリングパートナーを呼び寄せて、万全の準備を整えていた。ああいう相手に勝つために、あのキャンプにすべてを注ぎ込んだんだ。でも、結局はカットで全てが崩れてしまった。」
「数日は本当に落ち込んだけど、そこから立ち上がらなきゃいけない。いつまでも沈んでいられないし、次に何をすべきかを考える必要がある。俺にとっては、しばらくはスパーリングや接触のある練習を避けながら、反復トレーニングやコンディショニングを中心に取り組んで、いつでも動けるように準備していた。接触のない期間が長かったけど、今回のキャンプの後半からスパーリングを再開して、今は準備万端だ。拳も問題ない。いよいよ試合に臨める状態になったよ。」
「離れていると想いが募る」とよく言われるが、サム・グッドマンにとっても今回の復帰はまさにその通り。今週水曜、シドニーのホーデン・パビリオンで1敗のセサール・バカと対戦し、リングに戻ってくることを心から喜んでいる。
「こうして自分の仕事に戻ってこれることに、本当に感謝している」とグッドマンは語った。「相手はバランスの取れた選手で、間違いなくスキルもある。伝統的なメキシカンスタイルの要素も持っていて、距離を詰めて打ち合うこともできるし、遠い距離からも良いパンチを打ってくる。自分としては、まずは相手が序盤で見せてくる得意な動きに注意しながら、自分のプロセスを貫くことが大事だと思っている。」
26歳のグッドマンは、長期離脱を経た今、勝利の重要性を誰よりも理解している。
「とにかくリングに上がって、自分のキャリアに再び勢いを取り戻すことが第一だ」とグッドマンは語った。「試合を取り巻く外的な要素なんか気にしていない。大事なのは、自分がこの階級のナンバーワンにふさわしい存在であることを証明し、再びタイトル戦線に名乗りを上げること、そして勝つことだけだ。勝利に全集中している。それがすべてであり、勝つためなら手段は問わない。あとのことは自然とついてくる。何があっても勝つ、それだけだ。」
そして、彼の視線は再び
日本のスーパースターへと向けられる。タイトル挑戦のチャンスを期待しているものの、現時点で自分がその順番のどこにいるのかは分からないと率直に語っている。
「それはチームに任せている。くだらないことにいちいち気を取られたりはしない」と彼は語った。「ボクシングは天気みたいなもので、状況がコロコロ変わるし、毎週のように違う話が出てくる。だから最近はニュースや報道もあまり見るようにはしていないんだ。」
「自分たちはIBFでの指名挑戦者のポジションをしっかり維持し続ける。そのうえでIBFがどう動くかは、様子を見るしかない」と語った。「まず何よりも今週の試合、この目の前の相手を乗り越えることが最優先だ。それをクリアして初めて、チームが自分の立場をさらに押し上げて、タイトル挑戦の道を追いかけてくれる。政治的な駆け引きはチームの役目。自分の仕事はトレーニングに集中すること。それがすべてで、今の自分の焦点でもある。」
バカ(19勝1敗1分、12KO)は2018年2月にプロデビューを果たした。初戦からの17試合で16勝を挙げ、唯一の取りこぼしは引き分けだった。
23歳のメキシコ人ファイター、バカが唯一敗れたのは、エリック・ロブレスとの10回戦(判定負け)。その後は3連勝を飾っており、無敗だったルイス・ロドリゲスとの一戦ではマジョリティ判定で勝利。さらに今年2月には元フライ級世界挑戦者のジョエル・コルドバにも10回判定勝ちを収めている。
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