【BP PULSE LIVE・バーミンガム】――リー・カットラーのキャリア最高の舞台は、ほろ苦い結末を迎えた。リングサイドドクターが、8ラウンド終了時点でサム・エギントンの続行不可能を判断。試合は採点にもつれ込み、経験豊富なエギントンが3–0(87–85、90–83、87–85)の判定で勝利を収め、やや拍子抜けの結末となったセミファイナルだった。
全7試合が組まれたこの興行のメインは、ベン・ウィッテカーとリアム・キャメロンによるライトヘビー級再戦。イギリスではSky Sports、アメリカではTrillerTV+で放送され、最初の3試合はSky Sports BoxingとYouTubeで配信された。
サム・エギントン(36勝9敗、20KO)は「
勝つために来た」と明言しており、その言葉通りリー・カットラー(15勝2敗、7KO)を封じ込めた。レフェリーのマーク・ベイツは、予定されていたWBCインターナショナル・シルバータイトル10回戦の2ラウンドを残して試合をストップした。
リングへ向かうカットラーは、昨年12月に無敗だったスティーブン・マッケナを破ったキャリア最高の勝利を経て自信をみなぎらせていたが、この試合が全く異なる試練であることは承知していた。ありふれた表現かもしれないが、タイトル初防衛は常に最も難しいもの。2ラウンド目に入ってわずか1分、エギントンの連打を被弾したカットラーは、落ち着かない様子で自陣コーナーに視線を送った。
エギントンには地元のアドバンテージがあり、マッケナに欠けていた手数と経験を武器に、カットラーにとって過酷な夜を演出した。ジョシュ・プリチャードの指導を受ける王者カットラーは、序盤リズムを掴めず、その間にエギントンがジャブを織り交ぜて確実にヒットを重ねていった。
カットラーは、レフェリーが「ブレイク」と指示した直後にパンチを放ち注意を受ける場面も。両者ともにクリンチ際で最後の一発を狙い、ポケットでの打ち合いでも一歩も譲らず。リングサイドではシェーン・マクギガンが立ち上がって指示を飛ばし、父バリーと真剣な表情で言葉を交わす様子が映し出され、カメラもそれを追っていた。
3ラウンド、カットラーのジャブによってエギントンの右目上に傷ができたが、ベテランは動じることなくアッパーカットやフック気味のパンチを繰り出し、内側の攻防で王者にプレッシャーを与え続けた。
両者の激しい打ち合いは4ラウンドに突入しても続き、カットラーはボディを狙い、口を開けながら応戦するエギントンも強烈なパンチを返していく。
5ラウンド、エギントンがこの試合で最も鮮烈な一撃を決めると、会場からは大歓声が沸き起こった。だが、カットラーも依然として足を使いながら胸元で打ち合いを続け、6ラウンドではクリンチや荒れた攻防が目立ち、試合が一時中断される場面も。互いにダメージを与え合った証として、エギントンの右目は大きく腫れ、カットラーの顔にもこぶが浮かんでいた。
王者カットラーは引き続き、ダブル・トリプルの連打とディフェンスの両立を求められた。やがて両者が攻撃のタイミングをうかがう静かな展開の中、鋭い右をヒットさせた。ラウンド終盤には、カットラーがコンビネーションに対し的確な単発カウンターで応戦した。
その展開は8ラウンドも続き、カットラーがカウンターで優位に立つ場面では観客席から口笛も聞こえた。そして間もなく、リングサイドドクターがエギントンの続行を不可能と判断し、場内には戸惑いの声が広がった。
エギントンの右目の腫れは、少なくとも3ラウンド前から悪化の一途を辿っていた。両者が健闘を称え合う中、判定を待つ時間はいつものように長く感じられた。Sky Sportsが表示した視聴者採点は77–77のドロー。どちらも接戦を制した実感があったのか、口々に「十分やっただろうか」と呟き合っていた。
接戦の末に迎えた煮え切らない結末――不可解な採点が一枚あったとはいえ、再戦の可能性は現時点では不透明なままだ。カットラーにはもっとできたはずだ。そして、試合後の彼の表情がすべてを物語っていた。