どの若手ボクサーも地元の象徴的存在になることを目指すが、その地位がもたらす注目やプレッシャーに耐えられる者はそう多くない。
数年前、サウサンプトン出身の
ライアン・ガーナー(17勝0敗、8KO)は、そのスポットライトに耐えるのに苦労していたかもしれない。しかし、時代は変わった。現在、ヨーロッパ・スーパーフェザー級王者であるガーナーは、自信に満ち、成熟し、十分な技術を備えた状態で街の期待を背負う準備が整っている。
今週末、ガーナーはイギリス・コモンウェルス王者の
リース・ベロッティ(20勝5敗、15KO)と対戦する。三冠を懸けた大一番であり、勝者は世界タイトル挑戦への道を大きく前進することになる。プロモーターはクイーンズベリー、
試合はDAZNにより世界中に配信される。
ガーナーは一夜にして主役に抜擢されたわけではない。プロデビューから9年以上、将来を嘱望され続けてきたが、一時は道を見失いかけた時期もあった。
サウスコーストの街には、この親しみやすい27歳について語れる人々が多くおり、今週末には数千人のファンがボーンマスまでの30マイルの旅に出て、彼を応援するだろう。
「応援されるのが本当にうれしい。この前も店で、レジに並んでいる女性が俺をずっと見てくるから、『何見てるんだ?』って思ってたら、『あなたライアンっていうボクサーでしょ?』って聞かれたんだ」とガーナーは『ザ・リング・マガジン』に語った。
「最近はよく声をかけられるようになったし、自分のやっていることに興味を持ってくれるのはうれしいよ。
別に何かをタダでもらったわけじゃないけど、運が良かった部分もある。サウサンプトンのサッカークラブや市民からずっと支えてもらってる。すべてが完璧にかみ合ってる。俺はこの試合に勝つ運命にあるし、世界タイトルを獲って、セント・メリーズ(サウサンプトンFCの本拠地)で試合をするんだ。
すべては意味があって起きる。俺はこの試合に勝って、もっと大きな舞台へ進む。そう信じてるからこそ、自信を持っていられる。これは運命なんだ。」
ガーナーはベロッティに勝つ自信を持っているが、この週末の試合が簡単ではないことも理解している。
ベロッティはキャリア後期に入ってからむしろ勢いを増している。34歳の彼は、スーパーフェザー級に転向してからの3年間で、数多くの若手挑戦者を打ち破ってきた。
試合発表会見では両者とも敬意をもって言葉を交わしたが、試合が近づくにつれて、ガーナーの自信は日に日に高まっている。
この12か月間で、彼はついにその潜在能力を発揮し始めた。
そして重要なのは、相手が強くなるにつれてパフォーマンスも向上している点である。
「インスタとかで『あと1週間!』みたいな動画が上がることあるだろ?マッチルームが彼(ベロッティ)の映像を上げてたんだけど、それを見て思ったんだ。もちろん、彼はフィジカルが強くて気持ちもあるのはわかってる。でも、あの映像を見る限り、技術的には俺の相手にならないって思ったんだよ」とガーナーは少し照れくさそうに語った。
「彼を見てて思うんだ、『俺の方が上だな』って。もちろんタフな試合になるのは間違いないけど、俺が負ける絵が見えない。
今の俺の勢い、倒してきた相手、連勝中の流れ、そしてこの気持ち、全部が揃ってる。ここ3戦、フルラウンド戦ってきたおかげでスタミナもついたし、すごく強くなったと思う。
スパーリングでもいろんなタイプとやってきたし、それがすべてこのタイミングでうまく噛み合ってるんだ。」
長年、人々から「才能がある」と言われ続けてきたガーナー。しかし、最近では落ち着きを得て父親にもなった。
もし彼がベロッティを破り、英国・コモンウェルス・ヨーロッパの三冠王者としてリングを下りることができれば、かつて多くの人が期待していたステージへ、彼はさらに一歩近づくことになる。
「もうそこまで来てるんだ。それにまだ若い。俺は27歳だよ。今の世界王者たちを見ても、ほとんどが30代だ。
これまででタフな試合といえば、ディロン戦くらいだけど、正直、自分で難しくしてしまったんだ。もっと楽に勝てた試合だった。今の俺の精神状態と経験があれば、簡単に勝ててたはずさ。
自分に才能があることはわかっていた。でも、それを示す機会が必要だったんだ。スパーでは世界レベルの選手たちとも渡り合ってきた。自分の実力はよくわかってる。でも今は、それを大舞台で証明できるチャンスを掴んでいるんだ。」