モレルは10ラウンドのスプリット判定で勝利を収めたが、DAZNの解説を務めたアントニオ・ターバーやセルヒオ・モラを含め、多くの人々がイマム・ハタエフの勝利だったと感じていた。しかし、シールズはその見解に同意しなかった。
「いや、私はハタエフが勝ったとは思わない。ジャッジの採点通り、デビッドが明確に勝ったと感じた」とシールズは『
ザ・リング』誌に語った。「みんな同じものを見ているけど、当然ながら見方が違う。ボクシングって昔からそういうものだ。確かにいい試合だったけど、デビッドの勝利だと私は思ったよ。」
試合前、ハタエフはオッズでマイナス350のアンダードッグとされていた。しかし、名伯楽ロニー・シールズは、この評価がオーストラリアを拠点とするロシア人の実力を過小評価していると考えていた。ハタエフはプロ転向前、輝かしいアマチュア経歴を持つ選手である。
「ハタエフは本当にいい選手だと思った。手に入る限りの試合映像を観たが、優れたファイターだった」と、シールズは語る。「ブックメーカーの評価は正確じゃなかったと思う。みんなデビッドの勝ちを予想してたけど、俺はこの若者を高く評価していたよ。」
シールズは、モレルが序盤に苦戦を強いられたことも認めている。
「最初の2~3ラウンドは(ポイントを)落としてたと思う」と語る。「デビッドは相手の出方を探っていたが、コーナーに戻ってきたときに『もっと前に出て、パンチを多く出して押し返していけ』と伝えた。そこから彼はその通りに動き出し、だいぶ楽になったと思う。」
「我々の作戦はリング中央をキープして、相手を後退させることだった。デビッドが前に出てプレッシャーをかけたとき、きれいで有効なパンチを当てられていたし、それが理想の展開だった。しばらくその形ができていたが、途中でハタエフが盛り返して前に出てきた。二人がリング中央でぶつかり合う展開になってからは、互いに打ち合いになった。」
5ラウンドにダウンを喫したモレルだったが、その後のラウンドで粘り強さと闘志を見せ、後半に盛り返した。
「下がりながらの動きで捕まったんだ。バランスを崩して倒れたけど、すぐに立ち上がって問題なかった」とシールズは振り返る。「実際あのラウンドは勝っていたと思ったよ。コーナーに戻ってきたとき、『気にするな。次のラウンドに集中しろ』と伝えた。彼はその通りにして、強く出て、最後までしっかり戦い抜いた。それが本当に良かった。」
最終ラウンドを迎えるにあたって、シールズはモレルに明確な指示を与えた。
「接戦だと感じたから、デビッドに『この最終ラウンドを取ってこい』と伝えた」と語る。「俺はジャッジじゃないけど、見た限りでは拮抗した内容だった。だからこそ“強く締めろ”と求めた。彼は実際にそうしてくれたし、それが勝利を引き寄せたと思う。」
「デビッドがリードしているとは思っていたが、それでも最終ラウンドでリスクを取るようなことはしたくなかった。2ラウンドほどリードしていると感じていたよ。」
スーパーミドル級では圧倒的な強さを見せていたモレルだが、ライトヘビー級ではそれほどの印象を与えていない。
「まだこの階級に慣れている最中なんだ」とシールズは語る。「問題は、いきなりトップレベルから始めているってことだ。ライトヘビー級初戦はフロリダ出身の選手(
ラディボイェ・カラジジック)との試合だったし、その後はデビッド・ベナビデス、そして今回はハタエフ。チャンピオン以外のこの階級の強豪たちといきなり対戦してるんだよ。」
「彼はライトヘビー級で、すでに3人の強豪と戦ってきた。それが彼がトップクラスのライトヘビー級選手であることの証明だよ。下から積み上げてきたんじゃなく、最初から上のレベルでやってるんだからね。」
シールズは、モレルが今後もハイレベルな試合に挑み続けると見ている。
「WBO暫定王座をかけたカラム・スミス戦の話を耳にしたし、誰かがモレルに“ハタエフとの再戦は?”と聞いたら、『やる』と答えていた」と語る。「俺としてはどっちでもいい。デビッドが進みたい道なら、どちらにしても自信がある。」
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