オスカー・デ・ラ・ホーヤによる
カネロ・アルバレスへの批判自粛は、長くは続かなかった。
ゴールデンボーイを擁護するわけではないが、土曜夜の
ウィリアム・スカル戦で戦意を見せなかった相手に対して、凡庸な内容しか残せなかったアルバレスには、確かに厳しい評価が必要だ。
デ・ラ・ホーヤは、キャリア最大のチャンスに臨んだ元IBF世界スーパーミドル級王者のキューバ人スカルの消極的な戦い方にも責任があることは認めつつ、それでもアルバレスがそもそもその試合を受けたこと、そして12ラウンドも追いかけ続けたこと自体に非があると主張している。かつての因縁ある元プロモーターとしては当然の意見だろう。
メキシコの英雄カネロは、サウジアラビア・リヤドのANBアリーナでスカルを
定で下判し、168ポンド級のすべての主要タイトルを再統一した。
しかし、アルバレス(63勝2敗2分39KO)とスカル(23勝1敗9KO)の試合はあまりにも退屈で、CompuBoxの統計によれば、12ラウンド戦における両者合計のパンチ試投数は過去最少の445発。アルバレスの試投数は152発にとどまり、これは同社40年の歴史の中で2番目に少ない記録だった。
試合のスコアは119-109、116-112、115-113と、3人のジャッジが全員アルバレスを支持。しかし、4階級制覇王者である彼は、9月12日にラスベガスのアレジアント・スタジアムで予定されているテレンス・クロフォード戦に向けての勢いをつけるには至らなかった。
「カネロよ、ジーザス……頼むよ」と、デ・ラ・ホーヤは日曜に自身のInstagramへ投稿した動画の中で語っている。「逃げ回る相手と試合して、その上で高額ファイトマネーをもらってるって? 相手が逃げるのは分かってたじゃないか。キューバスタイルの選手だってことは分かってたし、選んだのは自分だろ? なのに“逃げる相手とはやりたくない”とか言うなよ。それなら最初から選ぶなって話だ。みんな、お前が誰と戦うべきか知ってる。そう、デビッド・ベナビデスだ。ベナビデスとやれ。あいつは逃げない。いい試合になる。何が問題なんだ? 本当に悲しいよ」
34歳のアルバレスは過去2年間、ジョン・ライダー、ジャーメル・チャーロ、ハイメ・ムンギア、エドガー・ベルランガ、そして今回のスカルといった、比較的リスクの低い相手との試合で巨額の報酬を得てきた。
一方で、クロフォードはパウンド・フォー・パウンドで世界トップ3に数えられる現役最高峰のファイターの一人であり、今回2階級上げてスーパーミドル級に挑み、カネロが保持するThe Ring、IBF、WBA、WBC、WBOの168ポンド級タイトルを狙う。
デ・ラ・ホーヤも、多くのボクシングファンと同様に、アルバレス対ベナビデス(30勝無敗24KO)の実現を望んでいる。しかし同時に、37歳のクロフォードの偉大さをしっかりと認識しており、その豊富な経験と高度な技術を持つ男がアルバレスに挑む構図には大きな関心を抱いている。
「でもさ、クロフォード対カネロがあるわけだからな」とデ・ラ・ホーヤは続けた。「ふたりとももう40歳近いけど、それでも楽しみだよ。いいカードだしね。ただひとつだけお願いしたい。リングに来て、しっかり戦ってくれ。頼むから、きっちり戦ってくれよ」
オマハ出身のクロフォード(41勝無敗31KO)は4階級制覇王者であり、今回の一戦が13か月ぶりの復帰戦となる。現在、The Ringのパウンド・フォー・パウンドランキングでは3位に位置し、154ポンド級(ジュニアミドル級)の1位挑戦者でもある。同階級のザ・リング王座は現在空位。
一方、グアダラハラ出身のアルバレスは、The RingのP4Pランキングで7位にランクインしている。
Keith Idecはザ・リング誌のシニアライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)@idecboxing で連絡可能。