初対戦からほぼ2年、オレクサンドル・ウシクとダニエル・デュボアが再び激突する。今回の試合は
DAZNのPPVでライブ配信される。
今回の舞台はこれ以上ないほどの大一番だ。
ウシクと
デュボアは、ボクシング界の最高栄誉である4団体統一世界ヘビー級王座をかけて、英国ウェンブリー・スタジアムで土曜に激突する。ウシクは『The Ring』誌、WBA、WBC、WBOの王座を保持し、デュボアはIBF王座を携えてリングに上がる。
初対戦は2023年8月26日、ポーランド・ヴロツワフで行われ、ウシクが試合を支配して2度のダウンを奪い、9回KOで勝利した。ただし、この試合には物議を醸す場面もあった。第5ラウンド、デュボアの右アッパーがウシクのベルトライン下に当たり、ウシクは崩れ落ちてキャンバスに倒れ込んだ。レフェリーのルイス・パボンはこれをローブローと判定し、ウシクに5分近い回復時間を与えた。
この一件は現在に至るまで議論の的であり、デュボア陣営はあのパンチは合法で、自分たちがKO勝ちしていたと主張している。
その後ウシク(23勝0敗、14KO)は、2024年5月18日にタイソン・フューリーにスプリット判定で勝利し、4団体統一世界ヘビー級王者となった。続く12月21日の再戦では、ウシクがより明確な内容でフューリー(34勝2敗1分、24KO)に判定勝ちし、『The Ring』誌、WBA、WBC、WBOの王座を防衛した。
一方のデュボア(22勝2敗、21KO)は、その間に3連勝すべてをストップ勝ちで飾り、ウシクがフューリー戦後にIBF王座を返上したことで空位となった王座を獲得。その唯一の防衛戦では、2024年9月21日にウェンブリー・スタジアムで元統一世界ヘビー級王者アンソニー・ジョシュアを5回KOで沈め、自身最高の勝利を挙げた。
今回はデュボアのリベンジとなるか、それともウシクが再び勝利して3度目の4団体統一王者となるのか。
以下は、両者が勝利するための鍵となるポイントである。
オレクサンドル・ウシク
デュボアを動かし続けること
初戦でも見せたように、ウシクのフットワークとステップスピードはデュボアを大いに苦しめた。再戦でもこの要素は彼のゲームプランの中核をなすだろう。
デュボアは基本的に、足を止めて強打を狙うタイプのパワーパンチャーである。構えが決まっていない状態では、バランスを崩しやすく、パンチの威力も半減する。
ウシクは初戦で右方向へ動き、デュボアの左手の外側にポジションを取ることで、危険なゾーンを避けた。再びこの戦術を用いることで、デュボアがどれほど対応力を備えているか、リングカットができるのかを試すことになるだろう。
もしデュボアがウシクの動きを封じ込めることができなければ、ウシクにとって2度目のIBF王者撃破、そして自身3度目の4団体統一王者達成の道筋は、初戦と同じ展開を辿る可能性が高い。
打ち合いを避けること
デュボアはまさに「一撃必殺のパンチャータイプ」の象徴だ。だからこそ、ウシクは不用意な打ち合いを避けるべきである。
純粋なボクシング能力では、ウシクに肩を並べられる選手はほとんど存在しない。しかし、試合が混沌とし、ラウンドを通じて何度も打ち合うような展開になると、ウクライナの英雄にとっては不必要なリスクが増してしまう。
試合をクリーンかつ冷静にコントロールできれば、ウシクはリマッチ3戦無敗という記録をさらに伸ばす有利な立場に立つことができる。
試合序盤で主導権を握る
試合が進むにつれてデュボアの自信が高まってくるようであれば、ウシクにとって勝利は難しくなる。
それを避けるためには、ウシクが序盤から主導権を握ることが重要だ。試合開始直後から攻勢を仕掛けられれば、デュボアにとっては前回の記憶がよみがえり、不安が心を支配する可能性がある。また、観客の多くがデュボア支持に回ると予想される会場の雰囲気も抑えることができるだろう。
ウシクは序盤から積極的にジャブを放ち、右方向へのフットワークでデュボアを動かし続ける必要がある。そこから頭部とボディを織り交ぜた攻撃を重ね、デュボアが遅れを取り戻そうとする中でより大きなパンチを打ち込む展開に持ち込めれば理想的だ。
もしウシクがこの流れを維持できれば、再びデュボアをKOで沈める可能性も十分にある。
ダニエル・デュボア
ジャブで主導権を握る
ジョシュア戦では試合開始直後から強烈なジャブを繰り出し、デュボアが主導権を握った。ジャブは距離感を早く掴む上でも、ジョシュアのリズムを崩す上でも重要な要素となった。
今回の試合でも番狂わせを狙うなら、序盤からジャブを確立させることが絶対条件だ。たとえ的中率が高くなくても、その存在だけでウシクの攻めを慎重にさせ、適切な距離を保つことができれば、デュボアにとって有利なレンジでの展開が生まれる。
ジャブはデュボアにとって重要な武器だが、継続的に使い続けなければ意味がない。そうでなければ、ウシクにすべての攻撃を見切られてしまい、有効打を与えるチャンスは極めて少なくなる。序盤から積極的にジャブを打ち続け、一定の確率で的中させることができれば、ウシクのリズムを乱し、後半に向けてより大きなパンチを打ち込むための布石となる。
右アッパーでボディを攻める
デュボアは初戦で、ウシクの動きを鈍らせるためのボディ攻撃をほとんど行わなかった。8ラウンド以上を戦って放った47発のパンチのうち、ボディへの打撃はわずか10発だった。
同じ過ちは、今回繰り返してはならない。
フューリーやジョシュアがウシク相手にある程度成功を収めたときは、いずれもボディへの攻撃が鍵となっていた。特にフューリーは、第1戦の中盤で主導権を握った際、右アッパーをボディに打ち込み続けていた。
今回の再戦では、デュボアはウシクのガードの下を狙って右アッパーを打ち込むことに重点を置き、それを試合を通じて継続しなければならない。それができなければ、初戦と同じ結末を迎えるリスクがある。
戦いを泥仕合に持ち込む
体格とフィジカルでは、明らかにデュボアがウシクを上回っている。土曜の試合では、その強みを最大限に生かす必要がある。
クリーンなボクシングを目指すのではなく、インサイドで荒々しい展開に持ち込むことを恐れてはならない。体重をウシクに預けたり、頭をウシクの顎下に押し込んだりと、あらゆる手段を使ってウシクのペースを乱し、疲労を誘うことが求められる。
もし接近戦に持ち込めず、フィジカルで優位に立つことができなければ、デュボアにとって厳しい夜となるだろう。しかし、インサイドに入り込み、身体的アドバンテージを存分に活かすことができれば、試合後半で大きな成果を得る可能性がある。