オレクサンドル・ウシクがかつて夢中になっていたのは、タイトルを手にし、自らのレガシーを確立することだった。しかし、それらをすべて達成した今、彼は引退する自分の姿を思い描くようになったと明かしている。
アマチュアとして350戦を戦い、プロでは23戦無敗(14KO)という戦績を誇るウシク(38歳)は、まさにその華々しいキャリアの最終章に差し掛かっている。
プロ入りから12年間で、オレクサンドル・ウシクはクルーザー級とヘビー級の両階級で統一王者に君臨してきた。しかし、グローブを吊るすその時が来る前に、ウクライナの英雄にはもう一度それを成し遂げる時間が残されている。
この試合は、2023年8月にポーランド・ヴロツワフで行われた初戦の再戦でもある。あのときウシクは9ラウンドTKO勝ちで王座防衛に成功した。
しかし、彼自身、スポットライトを浴びる時間が限られてきていることを自覚しており、スペインでの合宿中も全力でトレーニングを続けながら、ボクシング引退後の人生について考えるようになっている。
ウシクは
「ザ・リング・マガジン」に対し、次のように語った。「引退について頻繁に考えるわけじゃないが、時々は頭をよぎる。あと何試合できるかなんて、今はわからない。」
「今も夢は続いている。ただ、家族とチームがそばにいてくれることにとても感謝している……でも、まだキエフのオリンピック・スタジアムで試合をしたいという気持ちはある。相手が誰になるかなんて、今はまったく見当もつかないけどね。」
もしその試合が実現すれば、それは彼にとって数多くのスタジアム決戦の最新章となる。そして、そのすべてで彼は勝利を収めてきた。
オレクサンドル・ウシクは、トッテナム・ホットスパー・スタジアムで
アンソニー・ジョシュアに判定勝ち(3-0)を収め、ヘビー級の世界王者となった。さらに、
デュボアとの初戦もスタディオン・ヴロツワフでの一戦だった。
7月19日は、オレクサンドル・ウシクにとってウェンブリー・スタジアムでの初めての試合となる。ただし、2020年にはすぐ隣のウェンブリー・アリーナでデレク・チゾラに勝利している。
「若い頃やキャリアの初期には、ウェンブリーやトッテナムのような大きなスタジアムでボクシングをするのが夢だった」とウシクは語った。
「それが今、現実になっている。アンソニー・ジョシュアとの試合では大きなスタジアムで戦ったし、あれは素晴らしくてビッグファイトだった。」
「でも今は試合のイメージはしていない。集中しているのはトレーニングと休息だけだ。試合のイメージはしていないんだ。ロンドンに行って、リングに上がったときに――そのときに始まる。今はその必要はない。」
デュボア戦での勝利には物議が伴った。第5ラウンド、オレクサンドル・ウシクは強烈な一撃で倒れたが、レフェリーのルイス・パボンはそのパンチをローブローと判定した。しかし、ダニエル・デュボアとプロモーターのフランク・ウォーレンは、それは合法なパンチだったと主張し、実際にベルトライン上にクリーンヒットしているように見える写真を印刷して用意。その写真は、再戦を正式に発表する記者会見の場で配布された。
その話題を振られると、ウシクは笑った。「苛立ちはしない。なぜなら、くだらないと思ってるからだ」と語り、「ただのトラッシュトーク、ナンセンスさ。
自分にとっては何の問題もない。あれは明らかに汚いパンチだった。でももう自分の中では過去のこと。今を生きているだけさ。」