統一ヘビー級王者
オレクサンドル・ウシクにとって、もはや登るべき山はそう多くは残されていない。
ウシクは過去に
アンソニー・ジョシュアと
タイソン・フューリーという元王者を2度ずつ下しており、7月19日にイングランド・ウェンブリー・スタジアムで行われるIBF王者
ダニエル・デュボアとの再戦でも、同じ歴史を繰り返すことを狙っている。試合はヘビー級の4団体統一戦として実施される。
2012年ロンドン五輪金メダリストであり、元クルーザー級およびヘビー級の4団体統一王者でもあるウシクは、来年1月で39歳を迎える。プロキャリアは12年に及び、アマチュア時代も含めて2階級で数々の偉業を成し遂げてきた。
引退が近づいていると考えるのも不思議ではない。
「(まだボクシングを続けているのは)イエスがこの機会を与えてくれているからだ。そのチャンスを自分は受け入れている」とウシクはDAZNのインタビューで語った。「今の目標は、史上初の3階級での4団体統一王者になること。ボクシングが好きだし、トレーニングも全力でやっている。多分、残りはあと2試合──デュボア戦と、もう一人誰かになるだろう。誰になるかはわからないが、この試合のあとに話そう。これは自分の人生だ。」
リング誌認定王者のウシク(23勝0敗、14KO)は現在、WBA、WBC、WBOの3団体王座を保持している。一方、ダニエル・デュボア(22勝2敗、21KO)がIBF王者としてこの試合に臨むのは、ウシクが2024年5月19日のフューリー戦直後に王座を返上したため。これによりIBF暫定王者だったデュボアが正規王者に昇格し、9月にアンソニー・ジョシュアとの英国人対決に臨んだ。デュボアはこの一戦を5回TKO勝ちで飾っている。
ウシクにとって、3度目のフューリー戦が
再び現実味を帯びてきたのは先週のことだった。「ジプシー・キング」ことタイソン・フューリーが短期間の引退からの復帰を発表し、「ラビット」ことウシク、そしてリング誌のパウンド・フォー・パウンド1位の座を狙う意思を明かしたためだ。
ウシクは、「強欲なお腹」と揶揄したフューリーとの初対戦を、自身のヘビー級戦歴の中で最も厳しい戦いだったと振り返っている。
とはいえ、まずは目前の課題に集中しなければならない。対戦相手デュボアの精神的な強さには、いまだ疑問符が付く。ウシクがデュボアについて「途中で諦める弱さがあるのでは?」と問われた際、こう答えている。
「少しはあると思う。彼は若い選手だから、分からないけどね。ダニエルは少し怖がっている。僕も怖いよ。でも、その“怖さ”の種類が違うんだ。」
2023年8月、ウシクはストレートの右で疲労の色が濃いデュボアを仕留めた。ダウンしたデュボアはカウント10で立ち上がったが、試合続行の意思を示さず、ストップの判断に抗議することもなかった。
この場面は、多くの人々に2020年11月の
ジョー・ジョイス戦を思い起こさせた。あの試合では、デュボアが2者の採点でリードしていながら、左眼窩底骨折と神経損傷を負い、12回戦の途中で膝をつき、そのまま試合を止められている。
しかし、デュボアはウシクに敗れて以降、粘り強さを見せてきた。無敗だった
ジャレル・ミラーと
フィリップ・フルゴビッチをいずれもKOで下し、キャリア最高の勝利としてアンソニー・ジョシュア戦へとつなげた。
「イギリス人の対戦相手は大好きだ」とウシクは語った。「ダニエルは優れたアスリートで、良いボクサーだし、スキルも高い。ここ最近の3試合では素晴らしい勝利を挙げてきたし、素晴らしいファイターだと思う。ダニエルには(再戦の)資格があるよ。」
Manouk Akopyanは『ザ・リング』誌の主任ライター。X(旧Twitter)およびInstagramでは @ManoukAkopyan をフォロー。