マンチェスター(英国)――若く爆発力のあるヘビー級と共に仕事をすることは、あらゆるプロモーターにとって夢である。しかし、ボクシングの花形階級の頂点へ導く旅路は、決して平坦ではない。
モーゼス・イタウマ(13勝0敗、11KO)は、当初2025年の最終戦を12月13日に予定していたが、ケント州チャタム出身の危険な20歳に対し、適切かつ対戦を受ける意思のある相手を見つけるのは困難だった。
最終的にクイーンズベリーがアメリカのジェーメイン・フランクリン・ジュニア(24勝2敗、15KO)を確保し、
両者は1月24日にマンチェスターのコープ・ライブ・アリーナで対戦することになった。
「これはモーゼスにとって重要な試合だ」と、イタウマのプロモーターであるフランク・ウォーレンは月曜日の記者会見で語った。
「彼は20歳の若者で、このイベントが行われる頃には21歳になっている。わずか13戦でWBAとWBOのランキング1位だ。シニアとしてのアマチュア経験は無いにも関わらず、素晴らしい成長を見せてきた。そして今回は、経験豊富なジェーメインとの試合だ。相手は24勝2敗で、その2敗は非常に優れたディリアン・ホワイトとAJ(アンソニー・ジョシュア)によるもので、しかも二人とも彼を倒せず判定までいっている。では、モーゼスは彼らができなかったことをできるのか?」
「ジェーメインはこの試合をやりたがっている。だから彼はここにいる。若いモーゼスにとってキャリアの大きな瞬間だが、私は彼を信じている。彼はステップアップし、この試練に応えてくれると確信している」
近年、エキサイティングかつ予測不能な試合が続き、ヘビー級は常にニュースの中心にあった。しかし現在、この階級は世代交代の真っ最中である。
月曜日だけを見ても、38歳の統一王者で『The Ring』誌チャンピオンの
オレクサンドル・ウシクが
WBO王座返上を発表し、二度の統一王者アンソニー・ジョシュアは12月19日に
ジェイク・ポールと対戦し、引退資金を増やすことを明らかにした。『The Ring』誌1位のタイソン・フューリーは公式には“引退中”である。
プロモートされたばかりのWBO王者で『The Ring』誌2位の
ファビオ・ワードリーや、同3位の
アギト・カバイェルらが力をつけてきているが、将来のヘビー級を担う存在として最も広く認識されているのはイタウマである。
世界中の野心あるヘビー級は全員、一撃で人生を変えるチャンスを狙っている。しかし、イタウマのような危険な相手と戦って地位を失うなど、莫大な報酬でもなければ誰もリスクを負いたがらない。
『The Ring』誌ヘビー級9位のイタウマは、まだ超一流の相手と戦って大きな興行収益を生み出せる段階には達していない。一方、プロモーター側もランキング下位の選手に“身代金”のような高額要求をされる状況を当然避けたい。
その点、頑丈なフランクリンは理想的な“時期と相手”を兼ね備えているように見える。名声ある殿堂入りプロモーターのウォーレン氏は、イタウマのマッチメイクが難しい綱渡りになっていると認めるが、決して近道はしないと断言する。
「確かに難しいが、彼にはシニアでのアマチュア経験が一切ない。これは尿比べでも短距離走でもない、マラソンなんだ。正しいタイミングで正しい試合を選ばなければならない。ただ、この試合は彼の現在地を測る試合だと思っている」とウォーレン氏は『ザ・リング・マガジン』に語った。
「彼は今年3ラウンドしかガチの試合をしていない。それだけだ」
イタウマはジュニアやユース世代で多くのタイトルを獲得したが、そのアマチュアキャリアはわずか24戦。そしてプロでは合計26ラウンドしか戦っていない。
当初、世間はイタウマがマイク・タイソンの「史上最年少ヘビー級王者」記録を破るという夢に強く惹かれていた。しかし、その期限はすでに過ぎている。それでもイタウマは“観るべき選手”として存在感を急速に高めており、ファンは彼が特別なものを見せてくれると期待して試合を観たりチケットを買ったりしている。
彼はまだリング内で学び、成長している段階だが、“主役”として戦うことは当然ながら大きな期待と重圧を背負う。
「もちろんだ。彼には多くのプレッシャーがかかっている。その一部は彼自身が作ったものでもある。自分で『最年少で世界王者になる』と言ったからだ」とウォーレン氏。
「彼は12月28日で21歳になる。でも『史上最年少の英国人世界王者になる』という目標をまだ持っている」
「もしこの試合を突破したら、来年には世界タイトル戦に臨むと思っている」