ルーカス・ローリグは、自らの運命を自分の手で切り開くことを好む。
無敗のクルーザー級ボクサーであるローリグは、かつてはティーンエイジャーのバスケットボール選手だった。しかし、ボクシングならではのスリルと達成感に魅了され、次第にコートよりもジムで過ごす時間の方が長くなっていった。
「今まで経験してきたどんなスポーツとも、勝ち負けの感情はボクシングとは比べものにならない」とローリグ(4勝無敗、2KO)は
『ザ・リング・マガジン』に語った。
「ボクシングはその点で本当に美しいスポーツだ。だからこそ、バスケットボールの試合に勝ったときの気持ちと、ボクシングの試合で勝ったときの気持ちは全然違う」
「より肉体的なスポーツの方が、俺の性格や気質に合っていたと思う」
「すべてが自分にかかっているというのは素晴らしいことだ。チームやセコンド、トレーナーはいるが、リングの中ではすべてが自分次第だ。ボクシングはある意味で人生を象徴している。努力した分だけ、その結果が現れる」
リングに上がりパンチを受けるのはローリグ自身だが、そこに至るにはチームの力が不可欠である。
22歳のロンドン出身のローリグは、元スーパーミドル級世界王者のジョージ・グローブスによりトレーニングおよびマネジメントされており、
最近ワッサーマンとのプロモート契約を結んだ。
ここ6ヶ月は、ローリグにとってプロボクサーとしての生活を一気に学ぶ期間となった。
プロデビュー前には、IBFクルーザー級王者
ジェイ・オペタイアのスパーリングパートナーを務め、オペタイアは彼の力に感銘を受けたことで、クリスマス直前に再びサウジアラビアに招いてスパーを行った。
これまで4つの異なるプロモーターのもとで試合を重ねてきたことで、ボクシング界の下層構造についての理解を深めつつ、現在4連勝中である。今週末、ローリグはワッサーマンとの契約後初の試合に臨む。
激動の中に身を置いてきたローリグだが、この契約によって落ち着いて取り組む余裕が生まれた。グローブスとワッサーマンが適切に試合を組み立て、活動の場を提供してくれるという安心感があるため、ボクシングに集中できる。
「多くのプロボクサーは常に不安を抱えている。『次はいつ試合できるんだ?』とずっと追いかけている」と彼は語る。
「でも、ワッサーマンとの契約で、夏に2試合が保証されている。それだけで大きな安心感がある。あとは集中してトレーニングに打ち込み、試合後に休養を取り、またすぐに再始動できる」
「プロとしての生活をとても楽しんでいる。もちろん簡単じゃない。トレーニングはハードでスピードも速い」
「リカバリーもしっかりしなきゃいけないし、私生活に余計なものがあるとプレッシャーになってパフォーマンスに影響する」
「でも、間違いなくこれが自分のやりたい道だと実感している。優れたトレーナーがいて、いい仲間に囲まれている。継続的に試合があり、名前も知られるようになってきた。強敵相手に試合を重ねて、少しずつ、でも着実にブレイクスルーに近づいていると思う」
グローブスはパワフルで勇敢なファイターだったが、リング内外を問わず非常に賢く計算されたスタイルでも知られていた。
彼はキャリア初期からリスクを取り、3戦目では強打のポール・サミュエルズ、9戦目では経験豊富なガーナ人チャールズ・アダムを相手に選んだ。
グローブスは早い段階でメインイベンターとして活躍し、その厳しい戦いへの準備は、精神的・肉体的な耐性を養う糧となった。
今、その戦略をローリグに応用している。
デビュー戦で無難な相手と戦わせるのではなく、2023年12月に2度のイングランド・ライトヘビー級王者ジョエル・マッキンタイアとのマッチアップを敢行。ローリグは期待に応え、マッキンタイアをカットさせ、第3ラウンド終了時にTKO勝利を収めた。
「ジョージは俺の能力を信じてくれているし、それは後々大きな結果につながると思っている。いざレベルアップした相手と対戦する時に、自分が戸惑うことはないと思う」と語る。
「格下や負け越しの選手ばかりと戦ってきて、いざ本気で倒しにくる相手と対戦したときに固まってしまう選手って多いんだ。完全に不意打ちを食らった感じになる」
「だから俺にとっては、今のうちから強敵と戦っておくことが、タイトルマッチやさらなる上位戦で絶対に役立つ」
「デビュー戦のときも、ジョージは『ジョエル・マッキンタイアがいる。2度のイングランド王者だけど、お前がインパクトを残すには最高の相手だと思う』って言ってくれた」
「他の候補も挙げてくれたけど、最終的には自分の判断に委ねてくれた。彼がそう判断するなら、それで行こうって思ったんだ」
「そうやってキャリアを築いてきたし、彼のマネジメントとトレーニングの両方が理想的に進んでいると思う。10試合、12試合とキャリアを重ねていけば、その成果がはっきり見えるはずだ」
ローリグはグローブスと同じく、デール・ユースABC出身である。グローブスはアマチュア時代の古巣を定期的に訪れており、ローリグの成長を見て彼の可能性を見逃すわけにはいかないと判断し、ジムでの指導に本格的に乗り出すことになった。
グローブスがトレーナーとして自らのスタイルを確立するには時間がかかるかもしれないが、彼が選手時代に成功を収めた要素は、トレーナーとしての指導にも色濃く表れている。
「彼はとても計算高くて賢い。今日のスパーリングでも9ラウンド目、10ラウンド目にミスをして、前足に乗りすぎたりしていたんだけど、コーナーに戻るとすごく厳しく言ってくれるんだ」とローリグは語る。
「彼は取り繕ったりせず、本音で言ってくれる。それこそがボクシングコーチに必要なことだ」
「間違ったことを続けて、自分に言い訳ばかりしていたら、いつか大ケガをする。だからこそ、厳しさは必要だし、彼はそれを持っている」
「必要以上に自信を持たせたりしない。ただ正直な意見をくれるからこそ、彼は理想的なコーチだと思う」