ラスベガス発 —— 土曜の夜、
マリオ・バリオスのボクシングスタイルが慎重すぎたと感じた観客に対し、バリオスは試合後の記者会見でその理由を説明した。
WBCウェルター級王者のバリオスは、試合開始から終了のゴングまで、
マニー・パッキャオのパワーを常に意識していた。その結果、MGMグランド・ガーデン・アリーナで行われた接戦は、12ラウンド終了後、マジョリティ・ドロー(判定引き分け)という結果に終わった。バリオスは、147ポンド級のこのタイトル戦で、46歳という高齢で2021年8月以来の実戦であったにもかかわらず、相手が“年齢相応のボクサー”ではないことをすぐに悟った。
マニー・パッキャオは、そのトレーナーであるフレディ・ローチとジャスティン・フォーチュンが再三主張していたように、今の彼がいかにスピードとパワーを兼ね備えたサウスポーとして、当時無敗だった
キース・サーマンを2019年7月にスプリット判定で破った時の姿に匹敵することを
証明してみせた。
「リスペクトの問題というわけではない」とバリオスは語った。「ただ、彼にはまだパンチ力があるんだ。年齢の割にすごく爆発力があって、トリッキーでもあったし、はっきりしないパンチに深追いしてミスするのは避けたかったんだ」
パッキャオのパワーが、バリオスにとって“不要なリスク”を冒すことをためらわせた。
パッキャオより16歳若く、6インチ(約15センチ)も背の高いバリオスが、もっと積極的にプレッシャーをかけていれば、ユナニマス・ディシジョン(3者一致判定)で勝利を収めていたかもしれないし、パッキャオを倒すこともできたかもしれない。その一方で、逆にバリオスがノックアウトされていた可能性もあった。
打ち合いではなく、ボクシングに徹した結果、バリオス(29勝2敗2分、18KO)は2試合連続のドローに終わった。
判定結果は、フィリピンの英雄パッキャオを支持する観客の期待を裏切るものとなった。彼らはパッキャオのパンチすべてに歓声を上げ、たとえ空振りであってもそれを称えた。パッキャオ(62勝8敗3分、39KO)は自身の試合後会見で「8ラウンドは取ったと思う」と発言している。
判定は、ジャッジのマックス・デ・ルカが115-113でバリオスを支持。一方、ティム・チータムとスティーブ・ワイスフェルドは共に114-114でドローとした。これはパッキャオにとって4年ぶりの試合であった。
バリオスは当然ながら、パッキャオの採点に対する見解には同意していない。ただし、30歳の現王者として、年齢を超えてトップレベルで戦えるパッキャオの能力には敬意を示し、再戦の可能性も歓迎する姿勢を見せた。
「最高の状態のパッキャオを想定して準備してきた」とバリオスは語った。「でも、彼はやっぱりリングの中でトリッキーで、豊富な経験を発揮していた。それが今夜の試合でもよく分かったよ。とても良い学びになったし、自分ができたことには誇りを持っている」
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライターおよびコラムニストである。X(旧Twitter)@idecboxingで連絡可能。