ロンドン(イングランド)発 ー ヘビー級のレジェンド、レノックス・ルイスが、
ダニエル・デュボアに対し、
オレクサンドル・ウシクに勝利し英国ボクシング史に残る偉業を達成するためには、試合の立ち上がりが極めて重要だと語った。
IBF王者であるデュボアは、1999年にエヴァンダー・ホリフィールドを破って4団体統一ヘビー級王者となった
レノックス・ルイス以来、英国初の統一ヘビー級チャンピオンとなるチャンスを掴んでいる。
しかしそのためには、ウェンブリー・スタジアムで、
『The Ring』誌パウンド・フォー・パウンド1位かつ2階級統一王者であるウシクを下さねばならない。
無敗のウクライナ人であるウシクは、すでに一度デュボアをストップしており、今回の再戦でも圧倒的な有利と目されている。
もちろん、デュボア陣営は、ロンドン出身の強打者がポーランド・ヴロツワフでの一戦以来、別人のように成長したと主張しており、トレーナーのドン・チャールズは「
これは運命であり、宇宙が導いている」と語っている。
だが現在59歳のルイスは、もっとシンプルにこう言い切る。
「試合は“努力”で勝つんだ」と、金曜にウェンブリー・スタジアム隣接のホテルで語った。
「やるべきことをやらなければならない。
タイソン・フューリーがウシクと戦った時、私は少し失望した。あの試合では勝つための“努力”が足りなかった。ただ生き残るために動いていたように見えた。
ダニエルがウシクと戦う時は、“勝つため”に動かなければならない。すべては各ラウンドの積み重ねだ。ウシクに好き勝手にリングを回らせてはいけない。ラウンドごとにしっかり取りにいき、KOはその上に乗る“おまけ”でしかない。
オレクサンドル・ウシクは非常に高いリングIQを持っているが、彼は“本来の”ヘビー級ではなく、階級を上げてきた選手だ。ダニエルは生粋のヘビー級であり、その体格差を特に序盤に活かしてウシクをロープ際に追い込むべきだ。
私はウシクを“ラビット(ウサギ)”と呼んでいた。ピョンピョン跳ねるように動くが、それをさせてはいけない。足でプレッシャーをかけ、ロープに押し込め、コンビネーションは“最初に打ち、最後も打つ”のが肝心だ。
この試合は最高の雰囲気になるだろうし、スタートダッシュが命だ。デュボアは試合序盤にウシクに自由にさせてはいけない。最初から押し切る姿勢が必要だ。」
第5ラウンドにレフェリーのルイス・パボンがローブローと判定した場面でウシクが大きく崩れ落ちたという有名な“問題の瞬間”を除けば、初戦はほぼ一方的な展開だった。第9ラウンドのストップ時点でのスコアカードは、78-73および79-72(2者)と、ウシクの優勢を如実に示していた。
ルイスは、英国の後輩に対し、ウシクをアウトボクシングしようとはせず、体格差を活かして“圧倒せよ”と呼びかけている。
「優れたボクサーとボクシングで競うのは良いアイデアではない。ウシクをアウトボクシングできないなら、パンチで圧倒すべきだ。
君は大きなヘビー級選手なんだから、そのように戦わねばならない。リングの主導権を握り、小柄な相手をロープに追い込み、自由に走り回らせてはいけない。」
ルイスは史上最高の英国人ヘビー級ボクサーと称されており、1999年のホリフィールド戦での勝利は、英国ヘビー級史における最重要の勝利とも言われる。
2003年に41勝2敗1分(32KO)の戦績を残して引退した東ロンドン出身の英雄は、今回の試合と両者の意義を歴史的観点から語るにふさわしい立場にある。
まずはウシクについて。クルーザー級とヘビー級の両方で統一王者となった無敗のウクライナ人。「彼は確実にアリや私、その他の偉大なファイターたちと“同じ部屋”にいる」とルイスは語った。
ではデュボアについては? 英国では、歴史的な来訪者に対して地元選手が勝利を挙げた例がいくつかある。1951年にはロンドンのアールズ・コートでランドルフ・ターピンがシュガー・レイ・ロビンソンを破った。また近年では、2005年にマンチェスターでリッキー・ハットンがコスタ・チューを倒した一戦も高く評価されている。
「もしデュボアがウェンブリーで9万人の前でウシクに勝てば、それは英国ボクシング史における偉業の中でもかなり上位に入るだろう」とルイスは語った。「史上最高とまでは言えなくとも、確実に“その一角”には入る。」