フリオ・セサール・チャベス・ジュニアとその伝説的な父は、
ジェイク・ポールには絶対に負けないと何度も何度も誓っていた。
しかし、彼らにとって不運だったのは約束というものが破られるために存在することもあるという現実だった。
元世界王者として、そして記憶も曖昧なほど長くこの競技に身を置いてきたチャベスだったが、今回ばかりは何の打開策も見いだせなかった。先週土曜の夜、リング中央で対峙した両者の攻防では、終始ポールが主導権を握っていた。
試合の大半で、チャベスはまるでポケットに手を突っ込んでいるかのような戦いぶりだった。本気で流れを変えようとしたのは、最後の2ラウンドに入ってからだった。
ようやく「自分は今、戦っているのだ」と思い出した39歳は、そこからは悪くない動きを見せた。しかし、その終盤の2ラウンドだけでは判定を覆すには不十分で、
結果は大差の判定負けとなった。試合の大部分で無気力かつ精彩を欠いた姿を見せたことから、ボクシング関係者の間では引退すべきだという声も上がっている。だが、グローブを置くことはチャベスの頭にはまったくないようだ。さらに偶然にも、次戦の相手として“本職のボクサー”を望んでいるわけでもない。
「たとえばトミー・フューリーとか、KSIとかかな」とチャベスは、次の対戦相手について問われた際にFight Hub TVに語った。
KSI(本名:オラジデ・ウィリアム・オラトゥンジ)は、ジェイク・ポールと同じく“元祖YouTuberボクサー”のひとりだ。2人ともボクシングに転向するはるか以前から、YouTubeを通じてその名声を築いてきた。一方のフューリーは、ボクシング一家の出身ながらもインフルエンサー・ボクシングの世界にも足を踏み入れており、KSIとポールの両者に勝利している。さらにポールとの再戦を狙う姿勢も見せている。
誰が相手になるにせよ、チャベスはKSI、フューリー、あるいはポールとの再戦を含め、そのいずれかのカードに食い込みたいと考えている。