サウル「カネロ」アルバレス対
テレンス・クロフォードの対決の意義を語る上で、ジム・ランプリーほどふさわしい人物はほとんどいない。
ランプリーは1988年から2018年までHBOボクシングの実況を担当した人物で、カネロ対クロフォードを同時代における最も優れた、そして最も頭脳的なファイター同士の対決と見ている。両者はリングで向かい合い、互いに知略で張り合える数少ない相手を前にすることになる。
しかし、クロフォードが2階級上げてカネロに挑むという課題を踏まえれば、ランプリーはハリスコ州グアダラハラ出身のカネロが正当に本命視されるべきだと考えている。この一戦の勝者には、その世代最強を名乗るに十分すぎる理由が与えられることになる。
「このスポーツにおける最高で最も知的な2人だ」とランプリーは
「ザ・リング・マガジン」に語った。「彼らの立場にまで到達するには、深い思考力と自分自身を明確に見つめる力がなければならない。カネロは自己認識とボクシングへの取り組み方の理解という点で比類なき存在だと思う。この2つの領域でカネロと同じレベルにいる者がいるとすれば、それはテレンス・クロフォードだ」
ランプリーはさらにこう付け加えた。「素晴らしいマッチアップで、本当に待ちきれない。クロフォードは大好きだが、この試合の本命を挙げろと言われれば、カネロ以外を選ぶ理由はどこにもない」
現在ドラフトキングスのオッズでは、カネロが-165の本命、クロフォードは+135のアンダードッグとなっている。
カネロ(63勝2敗2分、39KO)とクロフォード(41勝無敗、31KO)は、カネロの世界スーパーミドル級4団体統一王座を懸けて、土曜日にラスベガスのアレジアント・スタジアムで激突する。この試合はNetflixを通じて世界中に配信される。両者とも前戦以上のインパクトある勝利を狙っている。クロフォードは2024年8月、
イスラエル・マドリモフに僅差のユナニマスデシジョンで勝利した一方、
カネロは5月3日にサウジアラビアで行われた試合でウィリアム・スクールを退けたが、内容は精彩を欠いたものだった。
4階級制覇、かつ2度の4団体統一を成し遂げた王者同士の対決を前に、物語性や疑問符に事欠くことはない。その中でも最大の焦点は、37歳のクロフォードが154ポンドから168ポンドへの階級上げにどう対応するかという点だ。
ネブラスカ州のオマハ出身のクロフォードが挑むこの大幅な階級アップにもかかわらず、ランプリーの長年の同僚であり国際ボクシング殿堂入りしているラリー・マーチャントは、かつての名勝負『シュガー・レイ・レナード対マーベラス・マービン・ハグラー』がその証明になると考えている。
レナードは1987年4月、ハグラーにスプリットデシジョンで勝利した。
「親友で長年の同僚でもあるラリー・マーチャントに聞いたんだ。『ラリー、テレンス・クロフォードがカネロ・アルバレスに勝つチャンスはあると思うか?』と。するとラリーはこう答えた。『ジム、シュガー・レイ・レナードはマーベラス・マービン・ハグラーに公式判定で勝ったじゃないか?』私は『ああ、そうだ』と答えた。すると彼は『レナードがマービン・ハグラーに公式判定で勝てたのなら、クロフォードにもカネロに勝つ道はある』と言ったんだ。」
「もしそれを手本にするなら、出入りを繰り返し、飛び込み、ダメージを与えては離れる。常に角度をつけ、カネロの正面には決して立たないことだ。カネロに常に左右へ動いて位置を探させ、スタミナの戦いで上回る。試合を通してより多くのエネルギー、集中力、積極性を示し、カネロを苛立たせることを狙うんだ。」
「レナードはハグラー戦でそのすべてをやり切り、ジャッジから有利な評価を得た。クロフォードもカネロ戦で同じことをやり、ジャッジから有利な評価を得られれば、勝機はある。」
35歳のカネロはスーパーミドル級で11戦全勝を記録しており、そのうち4試合はストップ勝ち。直近のストップ勝ちは2021年11月、11ラウンドで
カレブ・プラントを下し、メキシコ初の4団体統一王者となった一戦だった。
カネロに勝ち、レガシーを決定づけるような勝利を得るには、クロフォードの前に大きな試練が立ちはだかっていることに異論の余地はない。結果がどう転ぼうとも、クロフォードが最高のパフォーマンスを見せることにランプリーは疑いを持っていない。ただし、それが十分かどうかについては依然として不確かさが残っている。
「テレンスは素晴らしい試合をするだろう」とランプリーは続けた。「それが勝利を意味するのか?必ずしもそうではない。相手は偉大なファイターだからな。だがテレンスが全力を尽くしてリングに立つことに疑いの余地はない。」
「テレンスは知的に、計算された動きをし、自分のボクシングスキルをすべてリングに持ち込むだろう。チャンスがあればカネロを痛めつけにかかる――素晴らしい試合をするはずだ。だが勝つのか?本命は彼ではなく、カネロだ。」