イシュマエル・デイビスと
カオイムヒン・アギャルコは、ボクシングのスペクトラムの正反対から歩んできたが、スーパーウェルター級の両挑戦者はまさに絶好のタイミングで出会ったのかもしれない。
デイビスとアギャルコは互いを必要としている。土曜の夜、両者は12ラウンドで激突し、その結果は二人のキャリアの行方に大きな影響を与えるだろう。
試合はDAZNで生中継され、舞台はベルファストのウィンザーパーク。メインイベントは、
ルイス・クロッカーとパディ・ドノバンによる空位のIBFウェルター級王座決定戦だ。
性格、アプローチ、そしてバックグラウンドにおいて、この二人はこれ以上ないほど対照的だ。
アギャルコ(17勝0敗7KO)は、長く成功したアマチュアキャリアを経てプロ入りした。国内タイトルを獲得し、国際舞台でもアイルランド代表として戦った経験を持つ。
その後28歳となった今までに、彼は複数のプロモーターや放送局を渡り歩いてきたが、確かな才能を本当に意味のある勝利に結びつけることはできていない。キャリア8年目に入ってなお、
トロイ・ウィリアムソンに対するスプリット判定勝が彼の最も大きな成果として残っている。
一方、デイビス(13勝2敗6KO)は全く異なる道を歩んできた。11歳のときに一度だけアマチュアの試合を経験した以外は、ジムと小規模会場で腕を磨き、どんなに無謀でも厳しいチャンスでも掴み取らざるを得なかった。
2024年9月、デイビスは突如として大きなチャンスを手にする。わずか1週間足らずの準備期間で、ダニエル・デュボア対アンソニー・ジョシュアによるIBF世界ヘビー級タイトル戦の前座で
ジョシュ・ケリーとの対戦を任されたのだ。
判定は多数決で敗れたものの、デイビスの健闘は評価され、リング誌ジュニアミドル級6位の
セルヒー・ボハチュクとの代打チャンスを再びつかむことになった。だがウクライナ人は格段に手強く、デイビスは6ラウンドを耐え抜いた末にコーナーで棄権を余儀なくされた。
アギャルコがプロキャリアを通して様々な扉をノックしてきたとすれば、デイビスはその扉を蹴破り、中にある現実と対峙してきた。
「彼は自分のことを三人称で話すんだ」とデイビスは
ザ・リングに語り、アギャルコとの違いを指摘した。
「それを見ればわかるだろ。頭の中で自分をすごく高く見積もっている。だから “いや、それはやらない。こっちをやる。こうするんだ。全部こう進むべきで、もしそうならないなら関わりたくない” って考えてるんだよ。」
「人生をそんなふうに見ない。人生はそうじゃない。ボクシングじゃなくても、物事は思い通りには進まないんだ。
時には人生をすり抜けるように立ち回らなきゃならない。何かが来たら全力を尽くす。扉を突破できたら、そのまま前に進む。時間が経つにつれて、自分を積み上げていくんだ。」
ティーン時代のデイビスは、自分の人生がどんな道を辿るか想像することすらできなかった。彼はわずか14歳で双子の父となり、金を求めてリーズのストリートに身を投じ、深くギャングの世界に染まっていった。
青春時代は路上で過ごし、その終着点は刑務所だった。
デイビスはケリー、ボハチュクに敗れたが、その闘志と努力に見合う敬意を勝ち取り、しっかりと報酬も手にした。
人生で初めて、腰を落ち着けて次の一手を考えるだけの時間と余裕を手にしたのだ。
その成功に甘んじたり、次のチャンスを待つだけでなく、デイビスは稼いだ金を自分自身に投資した。最近ではアメリカで2か月間の武者修行を終えて帰国している。
デイビスはギジェルモ・リゴンドーや
キーショーン・デイビスと時間を共にし、ブライアン “ボー・マック” マクイントイアやシュガー・ヒル・スチュワードの前でトレーニングを積んだ。さらにブレア・コッブス、トロイ・アイズリー、ウラジミール・シシキンともスパーリングを重ねた。
滑らかでリラックスしたスタイルは好評を博したが、一流の才能たちがどのように動いているかを目の当たりにしたことで、自分にどんな可能性があるのか大きく視野が開けた。
「そうだ、一人で行ったんだ。2か月間離れて、いい仲間たちに出会えたよ」とデイビスは語った。
「わかるだろ?みんなネットで誰かを見てるけど、実際に会ってみると “ああ、みんな普通の人間なんだ” って気づくんだ。俺たちは同じ人間で、それぞれ違う夢を追いかけてるだけなんだよ。」