ラスベガス――2か月前、
ロランド“ロリー”ロメロが
ライアン・ガルシアを破る番狂わせを起こしたとき、
アイザック・クルスは誰にも負けないほど、いや、それ以上に驚いていた。
クルスは、“ピットブル”の異名を持つ自分が2024年3月のWBA世界スーパーライト級タイトルマッチでロメロを徹底的に叩きのめした後、ロメロはもう以前のようなファイターには戻れないと思っていた。パワフルなクルスは、セバスチャン・フンドラ対ティム・チュー戦のアンダーカードとしてラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われたタイトル戦で、ロメロを一方的に打ちのめし、試合は第8ラウンド、レフェリーのトーマス・テイラーによってストップされた。
ノースラスベガス出身のロメロ(17勝2敗、13KO)は、その5か月後にリングへ戻り、9月14日、T-モバイル・アリーナで行われたカネロ・アルバレス対エドガー・ベルランガ戦のアンダーカードで、マヌエル・ハイメス(16勝3敗1分、11KO)に10ラウンドのユナニマス・ディシジョン(判定3-0)勝ちを収めた。 一方、ガルシアは1年間リングから遠ざかっていたにもかかわらず、ドラフトキングスのオッズでは、5月2日にニューヨークのタイムズスクエアで行われたウェルター級12回戦において、11対1の圧倒的な有利とされていた。
復活を遂げたロメロは、第2ラウンドにライアン・ガルシア(24勝2敗、20KO、1ノーコンテスト)からダウンを奪い、それ以降ガルシアは慎重になり攻めあぐねたまま終始した。ロメロは余裕を持ってポイントを重ね、『ザ・リング』主催のPPV興行「FATAL FURY: City of the Wolves」の
メインイベントで判定勝利を収めた。
クルス(27勝3敗1分、18KO)は、今週土曜夜にMGMグランド・ガーデン・アリーナでメキシコ人ライバルの
アンヘル・フィエロ(23勝3敗2分、18KO)との
12回戦で再戦を控えているが、あの夜の光景を目の当たりにして信じられなかったという。実際、クルスは自分に敗れた後でロメロが再びリングに戻ってきたこと自体に驚いていた。
「あんな形で立ち直るとは、正直言って本当に驚いたよ」とクルスは『ザ・リング』に語った。「俺があれだけ叩きのめしたんだから、てっきり引退すると思ってた。でも、ただ戻ってきただけじゃなく、あの内容でやり返したんだから大したもんだよ。脱帽だ。素晴らしいパフォーマンスだった」
クルスは、ロメロから奪ったWBA王座を次戦で失っている。昨年8月3日、ロサンゼルスのBMOスタジアムで行われた試合で、メキシコ人サウスポーの
ホセ・バレンスエラ(14勝3敗、9KO)に12ラウンド・スプリット判定で敗れた。
元王者のクルスは、2025年のベストバウトのひとつとも称される試合で、2月1日にアンヘル・フィエロをユナニマス・ディシジョン(判定3-0)で下し、再起を果たした。両者は今週土曜夜、マニー・パッキャオ対マリオ・バリオス戦のアンダーカードで再び拳を交える。
身長5フィート4インチ(約163cm)のクルスは、これまで本気でウェルター級(147ポンド)での戦いを検討したことはない。しかし、今回の140ポンドでの再戦で再びフィエロに勝利すれば、復活を遂げたロメロとの再戦が商品価値のある一戦となった今、クルスも再戦の可能性を否定しない姿勢を示している。
「それは本当に、チームと一緒に腰を据えてじっくり考えたうえで、やるかどうかを決めるべきことになるだろう」とクルスは語った。「俺たちはいつもチームで決断しているし、それも例外じゃない」
メキシコシティ出身のクルス(27歳)は、ティフアナ出身のフィエロ(26歳)との再戦で6対1の有利と見られている。両者の再戦は、米国内のすべてのケーブルおよび衛星放送事業者を通じて視聴可能な
プレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)のペイ・パー・ビュー興行で行われる(東部時間午後8時/太平洋時間午後5時、料金は79.99ドル)。
Keith Idec は『ザ・リング』の上級記者兼コラムニスト。Xでは @idecboxing で連絡を取ることができます。