シャフラム・ギヤソフが次戦で義務付けられているWBAウェルター級タイトルショットを強く求める理由は、きわめて個人的で深いものがある。
無敗のウズベキスタン人コンテンダーである彼は、3月19日、希少な脳疾患で亡くなった娘マリアムに対し、「いつか必ず世界王者になる」と約束していた。ギヤソフは、4月12日に行われた
フランコ・オカンポ戦での4ラウンドKO勝利を娘に捧げたが、彼女に誓った“チャンピオンになる”という約束は、毎日心に重くのしかかっている。
だからこそ、2016年リオ五輪銀メダリストの彼には、WBA世界ウェルター級王者
ロランド「ローリー」ロメロがより高額で注目度の高い試合に進むための“ステップアサイド料”を再び受け入れるつもりはない。ギヤソフは、元WBA王者
エイマンタス・スタニオニスがIBF王者
ジャロン・エニスと対戦する4月12日の王座統一戦を認め、そのために一度順番を譲っている。
しかし、あれからの7カ月はギヤソフにとって極めて感情的な日々であり、彼はこれ以上の時間の浪費を望んでいない。
「このタイトル戦は娘のためなんだ」とギヤソフは
『ザ・リング・マガジン』に語った。「勝ったらベルトを娘に捧げる。それが俺の約束だ。……娘のためなら何でもできると思っている。」
3カ月前に生まれた次女ハデジャの存在は、ギヤソフと妻にとって深い悲しみから立ち直る一助になった。
また、ウズベキスタンでのトレーニングも気を紛らわせている。しかし、32歳のギヤソフ(17勝0敗、10KO)は、ロメロ(17勝2敗、13KO)が
マニー・パッキャオ、または他の選手とばかり噂され、自分と対戦する気配がないことに強いフラストレーションを抱いている。
「本当に辛い状況だ。俺は2年間ずっと“指名挑戦者”なんだ」とギヤソフは言う。「ずっと試合を待ってきた。ずっと世界タイトルのチャンスを待ってきた。長い時間待ってきた。プロとしてのキャリアを始めたのは2018年。7年間ずっと待っている。今、俺はタイトル戦の準備ができている。チャンスをくれ。」
エディ・ハーン(ギヤソフのプロモーター)は、ギヤソフのタイトルショットに関してWBAに回答を求め続けている。ギヤソフ自身は、ロメロが自分と戦いたがらないのは、ニューヨーク・タイムズスクエアで行われた5月2日の『ザ・リング』誌主催興行の12ラウンド・メインイベントで、ロメロが
ライアン・ガルシアを
ダウンさせ、さらに判定で圧倒して起こした“大番狂わせ”によって、大きく稼げる試合を優先したいからだと感じている。
ロメロとガルシアは、WBAのセカンダリータイトル(レギュラーベルト)を懸けて戦った。ネバダ州ノースラスベガス出身のロメロは、その後、ジャロン・エニスがジュニアミドル級へ階級を上げるために『The Ring』誌、IBF、WBAのベルトを返上したことで、
“正規王者”へと昇格した。
「彼は俺から逃げていると思う」とギヤソフは語る。「俺はこの試合の準備ができている。すべての試合、タイトル戦に向けて準備ができている。彼が準備できているなら、俺はいつでも準備万端だ。……これは俺にとっても彼にとっても良い試合になる。ファンにとっても面白い試合だ。俺は行く。俺の才能もスピードも見せる。ロメロがパワフルなのは分かっている。でも俺も強い。人生すべてを賭けて世界タイトル戦に向けて準備してきた。毎日練習している。難しいのは分かっている。でも俺にはできると分かっている。」
ギヤソフは、タイトル戦を待つ間に“調整試合”を受けたくはないが、一方で活動休止状態も望んでいない。
「この状況は良くない」と彼は言う。「でも、俺のチャンスはもうすぐ来ると信じている。準備はできている。」
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライターおよびコラムニストである。X(旧Twitter)@idecboxingで連絡可能。