イングランド・ロンドン発 — 元スーパーミドル級世界王者ジョージ・グローブスは、2019年1月にグローブスを脱いで以来、メディアの世界で積極的に活躍している。31歳の誕生日の2か月前のことだった。
イギリスのトップで最も認知度の高い選手の多くが30歳以上であることを考えれば、グローブスのキャリアは同世代の中でも特に注目されるものであり、元対戦相手である
クリス・ユーバンク・ジュニアや
カラム・スミスもその一例だ。
会った時、彼は夏の陽気を楽しみながら、デール・ユース出身の
ダニエル・デュボアが挑んだヘビー級4団体統一戦を心待ちにしていたが、その試合は
計画通りにはいかなかった。グローブスはこれまで複数のインタビューで、戦績5勝(2KO)のクルーザー級有望株ルーカス・レーレリヒと本格的に関わるべきか葛藤してきたことを語っており、最終的には22歳のこの若手をトレーニングするだけでなく、マネジメントも担うことを選択した。
さらなる指導者としての役割を引き受け、自らの陣営を拡充する意欲について問われると、グローブスはその葛藤の中身をさらに掘り下げた。
「しゃべる仕事は大好きだよ。放送とかポッドキャスト、解説、それにイベント出演――時々バッティングしちゃうこともあるけどね。生でボクシングを観るのも大好きだし、そういう試合を観ることでコーチとしても良くなれる。だから、もし誰かが声をかけてきたとしても…時間の使い方はちゃんと選ぶつもりだ」と
「ザ・リング・マガジン」に語った。
「もし自分が相手をもっと良くできて、うまく噛み合えると思えたら、絶対やらないなんてことはないよ。アンディ・リーとかベン・デイビソンみたいなコーチとジムで時間を過ごせたら最高だね。
シェーンとは一緒にやったこともあって、どう動くのかも見てきた。昔から選手とコーチを観るのが好きで、できるだけいろいろ吸収したいと思ってる。でもこの競技ってエゴが強い世界だからさ。コーチが『ジムで一緒にやらせてもらえますか?』なんて、そう簡単には言えないんだよ」
グローブスの人脈は広く、そのつながりを生かして、レーレリヒをプロキャリア初期にはなかなか経験できない環境に身を置かせてきた。
レジャーセンターやサッカーのカンファレンス会場で6回戦を戦い、印象的な勝利を重ねてきた一方で、IBF・Ringクルーザー級王者
ジャイ・オペタイア(28勝無敗, 22KO)とのスパーリングや、海外でのビッグファイトのリングサイドにも足を運んでいる。
「サウジアラビアでオペタイアと一緒にいて、彼の父親がコーチを務めていたんだ。俺はそれを見て、耳を傾けていた。相手の考え方が正しいと思うか間違っていると思うかに関係なく、その頭の中をのぞけるなら、そうすることは大事なんだよ」
続いてグローブスは、プロとして初めて危うい場面に直面した時のエピソードを明かした。2010年11月、マンチェスターのM.E.N.アリーナで行われたプロ11戦目、ケニー・アンダーソンとコモンウェルス・スーパーミドル級王座をかけて戦った試合だ。これは当時、同階級の長年のライバルであるジェームズ・デゲールが保持していた英国タイトルの最終挑戦者決定戦でもあった。
「当時のコーチはアダム・ブースで、俺は彼がボクシングのことを何でも知っていると思っていた。チーフセコンドはデイブ・コールドウェルで、ヘイメーカー・ボクシングの代表を務める経験豊富なボクシングマンだった。3ラウンドにダウンを喫して、ブースからは“動け、スリップしてかわしていけ”と怒鳴られたんだ」
「コールドウェルには『組み付けろ』と言われて、もしそうしなかったら、多分ノックアウトされていただろうし、俺のキャリアは今とは全く違っていたはずだ。振り返ってみると、ブースは『俺は世界ヘビー級チャンピオン(当時WBA王者デビッド・ヘイ)を指導しているんだ、お前は誰を教えてる?』くらいに思ったかもしれないけど、結果的に彼の判断は正しかったんだ」