イングランド・ロンドン――土曜夜、ウェンブリー・スタジアムで
ダニエル・デュボアをストップさせたあのパンチは、あまりにも完成度が高く、
オレクサンドル・ウシクは実は7年前、アメリカでのトレーニングキャンプ中にそのパンチに名前をつけていたという。
その特有の左フックは、大きく振り抜かれるように放たれ、今週ウクライナ各地のアマチュア・ボクシングクラブで練習されているようなフォームではないかもしれない。だが、効果は絶大だ。デュボアに聞けば分かるだろう。
ウシクとそのチームにとっては単純なことだ。頭を下げて全力で振り抜くそのパンチは“ザ・イヴァン”として知られており、ウシクは必要なときにはいつでも繰り出せるように、常に引き出しに入れている。
ウェンブリー・スタジアムでの第5ラウンドが残り1分を切った頃、ウシクはデュボアからこの試合で初めてのダウンを奪った。ロンドン出身のデュボアが立ち上がったとき、自分が生き残るために戦わなければならないことは理解していたが、ウシクに捕まる気配はまったくなかった。
代わりに、デュボアの右が空を切った瞬間、ウシクは頭を下げ、目を閉じて、“ザ・イヴァン”と呼ばれる強烈な左フックをデュボアの顎に叩き込み、即座にダウンを奪った。
そしてその一撃が、ウシクにヘビー級四団体統一王座をもたらした。「ザ・リング・マガジン」はウシクに、そのパンチをなぜ“イヴァン”と呼ぶのか、誰か特定の人物に由来しているのかを尋ねたが、ウシクはそれについてこう答えた――ウクライナの典型的なタフガイが放つようなパンチを表現するために選んだ名前だという。
「“イヴァン”っていう名のパンチなんだ」とウシクは説明した。「普通の左フックもあるけど、ああいうふうに振り抜くやつ、それを俺たちは“イヴァン”って呼んでる。」
「イヴァンはウクライナの男で、村に住んでいて農場で働く大きな男。誰かに『名前は?』と聞かれると、『オレの名前はイヴァンだ!』って答えるんだ。それくらい重いパンチなんだよ。」
2年前、ポーランドでの初戦でデュボアを9ラウンドでストップしたウシクは、ウェンブリーでは再起を図る相手をさらに短時間で片付けた。
彼はすでにデュボアを完全に攻略済みのような動きを見せ、ヴロツワフでの続きをそのまま再開するだけのように見えた。
「チームと一緒にこの試合のためにしっかり準備をしてきた」とウシクは付け加えた。「初戦から多くを学び、この試合には2年という長い準備期間があった。その中で、あの特定のコンビネーションを仕上げてきた。」
「あのパンチは2018年、クルーザー級だった頃にアメリカで生み出して、名前をつけたんだ。」