エドゥアルド・ヌニェスは序盤から終始見事なボクシングを披露し、果敢に立ち向かった
力石政法を寄せ付けなかった。敵地での12回戦をフルに戦い抜き、3-0の判定勝ちで空位のIBF世界スーパーフェザー級王座を獲得した。
世界戦ダブルヘッダーのセミファイナルとして大橋プロモーション主催で行われた横浜での激闘の末、判定は115-113、116-112、117-111となった。
メインイベントでは、武居由樹がユッタポン・トーンディーを初回TKOで下し、WBOバンタム級王座の防衛に成功した。
ヌニェス(28勝1敗, 27KO)は決して一方的な展開ではなかったが、ホームファイターである力石政法(16勝2敗, 11KO)に対して明確な勝者だった。力石にとってはこれまでで最も厳しい試練となったが、最後のゴングを聞くに値する健闘を見せた。
2024年に元王者シャフカト・ラヒモフや長年の実力者ミゲール・マリアガをいずれもストップしてきたエドゥアルド・ヌニェスは、今回の敵地での一戦でもその破壊的なパンチ力を披露する機会を得た。プロモーターのエディ・ハーンは、そのコーナーで誇らしげに見守っていた。
ヌニェスはゴング直後から獲物を追い詰めるように前進し続け、体を低く構えて押し込むことで、両者の明らかな体格差を打ち消した。右を鋭く振り抜き、たとえブロックされてもメキシコ人の有効打として得点を重ねていった。一方、力石はボディへの返しで応戦した。
27歳のヌニェスは、盛り上がった背筋を見せつけ、パンチの源泉を視覚的に示した。2ラウンド序盤、左のボディブローを連打されて力石は後退。地元の期待を背負う力石は、身をかわしてカウンターを狙い、フックを振るいながらも防御に徹したが、ラウンド終了間際に放った右のアッパーカットは空を切った。
ヌニェスはイライラが募った3ラウンドで大振りのパンチを空振りし、その隙を突いた力石がジャブと鋭いアッパーカットを繰り出してリングを回った。30歳の力石は徐々に自信を取り戻し、時間の経過とともに調子を上げていったが、依然として危険は残っていた。
4ラウンドの最初の1分でその様子は明らかになった。ヌニェスはヘッドムーブで中心線を外しながら動き、2発のコンビネーションを的確にヒットさせて力石を徐々に不快にさせた。両者の至近距離での打ち合いは観る者を惹きつける好勝負となった。
5ラウンドでは、ヌニェスは左のボディブローからアッパーカットへのコンビネーションを多用。力石は速く距離を取ることも、的確なカウンターを繰り出すこともできず、若きヌニェスの激しい攻撃を止められなかった。横浜の観客は地元ファイターの奮闘に声援を送り、ラウンド終盤の激しいラッシュで盛り上げた。
疲労の色が見え始めた6ラウンド、力石のボディ攻撃に反応してヌニェスはロープ際に追い込まれながらも連打を放った。連続攻撃の合間に鋭く息を吸う姿がその苦しさを物語り、両者が強烈な一撃を繰り出し合う試合後半戦へと突入した。
ヌニェスがコンビネーションを繰り出すたびに即座に反撃を狙い、メキシコ人の連打を許さずに対抗した。ボディからヘッドへ、またヘッドからボディへと多彩な攻撃が続き、数発は無防備に受ける場面もあったが、そのたびに力石は果敢に応戦した。
彼が放つ一発一発のパンチが、まるでヌニェスの闘志にさらに火をつけるかのようだった。7ラウンドを終える頃には、体格で勝るヌニェスが、このラウンドでは劣勢ながらも最後に力強く締めくくった。
8ラウンド序盤、ヌニェスがよろめく場面で観客の歓声が一気に高まったが、それは単なる足元の乱れとバランスを崩した際に受けたパンチに過ぎなかった。力石はリングを周回し続け、メキシコ人の優れた攻撃を封じるために懸命に動き回った。
勢いに乗るアンソニー・カカセ(24勝1敗, 9KO)がこの熱戦を見ていたら何を考えただろうかと、つい想像してしまう。彼はかつて放棄した王座の争奪戦を見守る中、大橋プロモーション所属の元フェザー級王者
レイモンド・フォード(17勝1敗1分, 8KO)との社内プロモーション対決の話も浮上していた。
ヌニェスのここでの戦いぶりには必然性が感じられ、まだメジャーシーンに躍進していないオールアクションファイターの彼に、今後のスーパーフェザー級での激闘が予感された。
ヌニェスの激しい接近戦は力石を疲弊させ、その背中は真っ赤に染まり、抵抗もわずかに弱まっていった。10ラウンド序盤、ヌニェスは強烈な右の連打で力石をよろめかせた。力石はメキシコ人を押し返して警戒をかわそうとしたが、それも束の間、再び防御を破られた。
終了間際、力石は見事なカウンターの左フックをヒットさせたが、残り2ラウンドで逃げ場のない激しい打ち合いで完全に押されていた。
11ラウンド、ヌニェスは探り合いというより積極的に追い込みをかけた。力石が疲労困憊で硬直し、さらに横の動きも減らしてカウンターパンチ中心の戦術に固執していることを見越しての動きだった。
地元ファイターは激しい最終ラウンドで、フィニッシュに華を添えるためにアッパーカットと払うような左フックを効果的にヒットさせた。しかし、休む間もなく攻撃を続けられ、後ろ足に重心を置きながらも攻め続けた。ラスト数秒に放たれた鋭い右の一撃が、もう一つの素晴らしい敵地でのパフォーマンスに決定的な印を残した。