かつて
ムロジョン・アフマダリエフは、自らの「ゴールデンチケット」を失ったかのように見えた。
マーロン・タパレスはアフマダリエフに番狂わせの勝利を収め、その後2023年に
井上尚弥と対戦。ウズベキスタン出身のアフマダリエフは、自身を下した相手が日本のスターに止められ、スーパーバンタム級の4団体統一王者となる様子を、怒りを抑えきれない表情で見届けていた。
静かにではあったが、ムロジョン・アフマダリエフ(14勝1敗、11KO)は井上への対戦要求を続けていた。しかし、それだけでは足りないことも理解していた。ふてくされることなく、自らを奮い立たせてリングに戻り、3試合連続ストップ勝ちを挙げた。そして今、その努力がついに日本の男を引き寄せる材料となったようだ。
正式な発表はまだないが、井上尚弥とプロモーターのエディ・ハーンは、
これが次戦になると何度も明言している。アフマダリエフのパフォーマンスが決定要因の一つとなったが、エディ・ハーンの働きも高く評価されるべきだ。何年にもわたり、彼は井上を挑発し、あれこれと罵り、執拗にプレッシャーをかけ続けた。そして今、その狡猾な言葉の数々が実を結び、ついに自身の選手に念願の一戦を引き寄せたようだ。
「井上対MJは、ボクシング界でも最高のカードの一つだ」とハーンは記者団に語った。「井上がこの試合を受けたことには敬意を表する。彼の周囲の人間はこの試合を望んでいなかったからね。私は彼らを十分に挑発したつもりだし、それが効いたと感じている。彼らがこの試合を受けたことを非常に嬉しく思っている。」
もちろん、井上が有利と見られるのは当然だ。彼はパウンド・フォー・パウンドのスターであり、現在
ザ・リングのランキングで2位に位置している。そして、彼はまさに“モンスター”のような存在だ。皮肉なことに、それが彼のニックネームでもある。
直近の試合でラモン・カルデナスを圧倒した後、井上は今後の対戦候補として複数の名前を挙げた。しかし、アフマダリエフを突破できなければ、それらのプランはすべて意味をなさない。そしてハーンによれば、井上がその壁を越えられるかどうかはまだわからないという。
「これは五分五分の勝負だと思っている」とハーンは続けた。「この階級で最高の2人による、最高の試合になる。9月にその試合のために日本へ行くのを楽しみにしているよ。」