【モントリオール】
ドミトリー・アサナウは、2016年と2020年の五輪に出場した豊富なアマチュア経験を持つ。
一部では、この135ポンドの有望株はアマチュア的なスタイルだと言われてきた。しかし、9月4日のオスレイス・イグレシアス対ウラジミール・シシキンの興行において、彼はその見方を打ち消すべく最善を尽くした。依然としてフットワークとハンドスピードは健在だが、ここはエンターテインメント・ビジネスであることを理解しており、その意味で、観客が求めて会場に足を運ぶものを提供したいと考えている。
今回の対戦相手で、当時無敗だったレイド・ドゥアディは、紙の上ではアサナウにラウンドを重ねさせるタイプに見えた。だが、だからこそ試合は実際にやってみなければ分からないのである。その意味でアサナウは結果を出し、10回戦として組まれた試合の
第3ラウンドでノックアウトを記録した。
第1ラウンドのゴングから、彼は主導権を握り、落ち着きなく動き回るフランス人の相手との交戦を積極的に求めた。
「彼がかなり動くことは分かっていたので、その準備をしてきた」とアサナウ(11勝0敗、5KO)は『ザ・リング・マガジン』に語った。「サム(・デカリー)と良いスパーリングを積み、的確なゲームプランを用意してきた」
「第1ラウンドはジャブを出して距離を支配する必要があった。相手が空振りしたら、きっちり代償を払わせる。『これが使える』と感じた。スタミナの手応えも良い。トレーニングキャンプではハードに取り組み、タフな相手と10ラウンドのスパー、ドバイでは12ラウンドのスパーもこなした」
ムロジョン・アフマダリエフ、ラサロ・アルバレスら、名の知れた相手にアマチュアで勝利している29歳の彼は、ドゥアディ(27勝1敗1分、3KO)相手に、序盤の取り組みがほぼ直ちに実を結んだと感じていた。
「第2ラウンドの後半、彼のスタミナ、スピード、あらゆる面が落ちていくのを感じた……『よし、今が行く時だ』と思ったが、まだ正しいタイミングではなかった。サムからは『ゲームプランに集中して落ち着け』と言われた」
「頭部に少し効かせた感触があったし、練習でも何度もやってきた“刺し込むようなボディ打ち”で仕留めた。チームとして良い仕事ができた。決まった瞬間に『終わった』と感じた。自分の拳が相手の腹にほとんどめり込んだような感覚だった」
アサナウの内容は見事だったが、ハプニングが皆無だったわけではない。デカリーが檄を飛ばし、気持ちを落ち着かせる場面もあった。
「第1ラウンドには大満足だった。きちんと当てていたし、それがゲームプランの一部だった。ジャブも素晴らしかった」とデカリーは語った。「第2ラウンドで相手を効かせた時、彼はパンチを溜めて倒しに行こうとし、集中を切らしてパンチの応酬になってしまった。
第2ラウンド終了後にコーナーへ戻って来た時に言ったんだ。『ジマ(※愛称)、何をやっている? ゲームプランがあるだろう。上下を散らせ。ジャブに戻せ。そうすれば止められる。ただ、打つべきショットを選べ』と」
「するとまさにその通りにやった。ラウンド開始とともにボディを攻め、ジャブで組み立て、わずかなスリップから完璧な一撃を決めた」
無傷で試合を終えたとはいえ、アサナウはトレーニングが肉体的に厳しいものであると感じており、そのことが次戦の時期を左右する可能性があると語る。
「1週間は回復に充て、膝や体全体のフィジオ(理学療法)を受けたい。キャンプはほぼ12週間と長く、良い仕事ができたし、厳しく鍛えた」と彼は言う。「今後については話し合うが、まずは家族のもとに戻って休養を取りたい。10ラウンドに備える準備を3回やってきた。試合のストップがいつかという問題ではない。厳しく練習すれば、回復が必要になる」
「次は来年初めになるかもしれないが、アイ・オブ・ザ・タイガー(Eye of The Tiger)は今年ここ(モントリオール)で2大会を予定しており、枠はすべて埋まっていると思う。12月2日にドバイで大きなイベントがあり、リッキー・ハットンがボクシング復帰を表明し、13年の引退を終えてリングに戻る。何かやれるかもしれない。なぜだめだ?」
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