アンディ・リーがベン・ウィテカーのそばに立ち、その欠点を受け入れつつ危険から守る姿は、多くの人々が彼こそがライトヘビー級の有望株を導くにふさわしい人物だと感じる理由を体現している。
ウィテカー(9勝0敗1分、6KO)はオリンピック銀メダリストであり、今月行われた注目の再戦で
リアム・キャメロン(23勝7敗1分、10KO)に2ラウンドTKO勝ちを収めた。この勝利は、6か月前のリヤドでの試合での惨敗と、その年に急上昇した評価を十分に活かすという野望が頓挫した後の復活劇でもあった。
ウィテカーのプロモーターでBOXXERの代表ベン・シャロームは、27歳の彼の次戦を9月に設定しており、元欧州王者ダン・アジーズ(21勝2敗1分、13KO)や現英国王者ルイス・エドモンドソン(11勝0敗、3KO)らが対戦候補として挙がっているという。
試合後の会見では感情をあらわにしたウィテカーが主役となった。彼は、地元の教会で過ごす中で神への信仰を新たにし、多くの関係者から批判を受けるなかで、アンディ・リーからの一本のメッセージが信頼を取り戻すきっかけになったと語った。
「彼は僕に『アイルランドへ来い。君の中にある本来のベン・ウィテカーを取り戻せると本気で信じている』と言ってくれた。僕は行って、互いに正直に話し合い、厳しく練習した」と彼は語り、ダブリンでの歓迎に感謝を述べながら、「今では名誉アイルランド・トラベラーだよ」と冗談を交え、スパーリングパートナーたちへの感謝を口にした。
元クルーザー級世界王者トニー・ベリューらを指導したことで知られるデイブ・コールドウェルは、アンディ・リーとベン・ウィテカーの両者の今後に大きな期待を寄せていることを明かした。
ウィテカーとリーのコンビがどう機能すると考えているか尋ねられると、ロザラム拠点のコーチであるコールドウェルは、その決断を最大限に称賛した。
「素晴らしいことだよ。ベンには、リング内でのボクシングの成長はもちろん、リング外での人間性やキャラクターの形成という面でも、考えうる限り最高の人物がついている」とコールドウェルは『ザ・リング・マガジン』に語った。
「アンディは、この競技で最も人間的に優れた人物の一人で、彼が成し遂げてきたこと、関わってきた人々を見れば分かる。ベンの派手なスタイルとスキルに、アンディの知識と経験が加われば、キャリアの次の段階は本当にワクワクするものになるはずだ。」
そう考えているのは彼だけではない。今年2月にWBC世界ミドル級王者カルロス・アダメスとの世界タイトル戦でスプリット・ドローに終わったハムザ・シーラズ(21勝0敗1分、17KO)も、リーと新たに弟子入りしたウィテカーのトレーニングを見て、自身もダブリンのバリブラック・ボクシングクラブに拠点を移した判断が正しかったと確信したと語っている。
先週末に行われたクリス・ユーバンクJr対コナー・ベン戦のDAZN中継で、7月12日にエドガー・ベルランガを相手にスーパーミドル級デビューを果たす予定の25歳(※ハムザ・シーラズ)は、長年師事していたリッキー・フネスとの決別を経て、「これがキャリア最後のトレーナー交代になる」との思いを語った。
「ハムザも同じさ。彼はすごく優れたプロスペクトで、本当に良い奴だ。シーラズ、ウィテカー、ジョセフ・パーカー、パディ・ドノバン──アンディは素晴らしいジムを築いていて、みんなが互いに良い影響を与え合っている」とデイブ・コールドウェルは続ける。
WBOヘビー級暫定王者ジョセフ・パーカー(36勝3敗、24KO)は、リーの指導のもとで再び活気を取り戻しており、他の選手たちも元WBO世界ミドル級王者であるリーの知識を吸収しようと列をなしている。
では、アンディ・リーが特別とされる理由は何なのか?
「彼は非常に落ち着いた態度の持ち主で、ただ『こうしろ』と命令するのではなく、なぜそうするのかを説明し、教えてくれる。僕はそういうタイプのコーチが好きなんだ。ただ指示を与えてロボットのように動かすのではなく、選手自身が考え、理解できるよう導く」
「パーソナルな対話も大きい。彼は本当にクールな人間だから、選手の個性を引き出すのがうまい。選手が自分を偽らず、リラックスして本音を言えるようになると、『緊張してる』『不安だ』と伝えてくれるようになる。そうすれば、そこをサポートできるし、結果的に彼らのパフォーマンスも良くなるんだ」