WBC王者
スブリエル・マティアスのプロモーターが先週の入札で190万ドル(140万ポンド)のオファーを提示し落札したことにより、
ダルトン・スミスは目前に迫った世界タイトル戦の日程と会場の正式発表を待つばかりとなっている。
フレッシュ・プロダクションズは、
当初11月22日の「The Ring IV」興行への組み込みを検討していたが、両陣営の交渉が不調に終わったことから、マティアスの“地元凱旋試合”を11月または12月に単独開催する方向で調整している。
これによりスミスは、母国から約4000マイル離れたプエルトリコへと渡ることになる。今夏にニューヨークでマティアスの試合を視察したスミスにとって、ヨーロッパ外での“ビジネス旅行”は再びの挑戦となる。
「挑戦者として、しかもアンダードッグの立場で臨むのは今回が初めてだ。でも、すごくワクワクしている」とスミスは
『ザ・リング・マガジン』に語った。
「『相手はホームで、ファンもジャッジも味方だ』って言う人もいるけど、そんなこと気にしても仕方がない。自分は“ベストなダルトン・スミス”であることだけを考えて、それ以外の判定はジャッジに任せる。コントロールできないことを心配しても意味がないからね。」
マティアス(23勝2敗、22KO)は、昨年6月にリアム・パロに判定で敗れIBF王座2度目の防衛に失敗して以降、3連勝を挙げている。直近では7月12日、
アルベルト・プエージョとの接戦をマジョリティ判定で制した。
なお、ウェルター級に階級を上げたパロは、当時+500のオッズを背負ったアンダードッグとしてマティアスを破ってみせた。
技巧派のオーストラリア人であるパロは、自身最高のパフォーマンスを発揮し、2020年2月にペトロス・アナニアンに敗れて以降、米国で無類の強さを見せてきた2度目の王者マティアスの“人間味”を引き出すことに成功した。
スミスはすでに、パロのパフォーマンスがマティアスの弱点を露呈した試合だったと指摘しており、現IBF王者
リチャードソン・ヒッチンズもここ数カ月、マティアスに対して批判的な見解を示している。
一方でスミスは、実力者たちが147ポンドに階級を上げていることで相対的に弱体化しているこの階級で、自らの存在感を示そうとしている。
『The Ring』誌とWBOの王者であるテオフィモ・ロペスも同階級での試合に意欲を見せており、最近対戦した元暫定王者アーノルド・バルボサ・ジュニアは、140ポンドに体重を落とすのは限界だと明言している。
ヒッチンズ以外には“突出した名前”が見当たらないこの階級で、スミスが世界的な知名度を獲得するには今回の試合は大きな意味を持つ。
シェフィールド出身のスミスは、今年3月に長年のコンテンダーであるホセ・セペダをボディブローで5回KOした際には、一気にブレイクすることを期待された。しかし、その後は上半身の故障や欧州圏での“盛り上がりに欠ける”相手との試合が続き、勢いに乗り切れなかった。
この試合でスミスはカナダ人のジェルマンを3度倒しながらも、ローブローで減点を受け、119-105×2、117-107の判定勝利を収めた。これはタイトル戦の発表を待ちながら“現役維持”のために行った試合だった。
「目の前のスタイルに対応するしかないし、リングを走り回られるとやりにくいけど、チャンピオンシップラウンドを経験できたのはよかった。しばらく12ラウンド戦っていなかったからね。良い機会だったよ」と当時を振り返った。
2022年11月にはマンチェスターで行われたBOXXER主催の興行でカイシー・ベンジャミンの13連勝をストップし、続く翌年2月にはビリー・アリントンを下して英国王座を防衛した。
スミスがアリントンを下した翌週、マティアスはSNSを沸かせた。第1~3ラウンドでフルパワーのジェレミアス・ニコラス・ポンセを迎え撃ち、第5ラウンド終了後にはポンセ陣営がタオルを投入して試合を止めた。
月日は流れた。マティアスはその間に世界トップに到達し、挫折し、そして再起を果たした。一方、スミスはこの2年半で何が変わったのか。
「今はキャンプにより投資している。スパーリング相手を呼ぶために海外からも人を招く予定だ。日程が決まればまた呼ぶ。マティアスのスタイルを再現するのは簡単じゃないけど、得られるものでベストを尽くす。とにかく最善の準備をするだけだ。」