キャノン・メディカル・アリーナ(シェフィールド)WBCランキング1位のスーパーライト級コンテンダーであるダルトン・スミスは、カナダのマチュー・ジェルマンとの一戦を“調整試合”と軽視しないと強調した。その結果は3試合連続ストップ勝利こそ途切れたが、スミス(18勝0敗13KO)がジェルマン(26勝3敗1分11KO)から3度のダウンを奪った。
判定は117-107、119-105が2者。地元シェフィールド出身のスミスは、2回に最初のダウンを奪って以降もカナダ人を何度もキャンバスに沈め、期待されたノックアウトこそ逃したものの、危なげなく勝利を収めた。
この12回戦のスーパーライト級マッチは、マッチルームが主催した全7試合のメインイベントであり、最後の4試合はDAZNでライブ配信された。スミスにとっては、待望の世界タイトル挑戦を前にした“ラストステージ”と位置づけられた一戦だった。前戦のワリド・ウイッザ戦とはまったく異なる試合展開となった。
マッチルーム代表のエディ・ハーンは、スミスがウイッザを難なく下した1月25日のダブルヘッダー興行の際、ラスベガスの陽光の下からその試合(わずか3分間)を観戦し、アメリカ拠点の自社の選手たちに対して28歳のスミスを絶賛した。
新王者となったWBC王者アルベルト・プエジョ(24勝0敗10KO)は、指名試合の前に1戦だけ任意防衛戦が許されており、その後スミスとの対戦が義務付けられる見通しだ。今回もスミスはシェフィールドでメインを務めたが、13か月前のホセ・セペダ戦での劇的なストップ勝利とはまったく異なるシチュエーションだった。
ウイッザはスミスにリズムをつかませてしまったが、ジェルマンは同じ過ちを犯すわけにはいかなかった。とはいえ、スピードとパワーを兼ね備えた技巧派相手にそれを実行するのは容易ではなかった。序盤にはレフェリーのビクター・ローリンから、スミスの脚をつかんだとして注意を受ける場面もあった。
ジェルマンの探るようなジャブは伸びきってしまい、スミスに鋭い右のカウンターを打ち込む隙を与えた。これはカナダ人が最も避けるべき展開だったが、それを防ぐことはできなかった。スミスは動き回る相手に対して前に出続け、ジェルマンは反撃することなく押され続けた。
左の一撃でジェルマンは崩れるようにキャンバスに沈み、レフェリーのカウントを聞いて立ち上がった直後、幸運にもラウンド終了のゴングに救われた。
右をクリーンヒットされるたびにジェルマンはまるで毒蛇に噛まれたかのような反応を見せ、3回中盤にはスミスのアッパーカットが顔面をまともにとらえた。逃げ腰になっていたカナダ人にとって、この一撃は致命的だった。ハーンは後にこのパンチがジェルマンの顎を骨折させ、彼が“サバイバルモード”に切り替わったきっかけになったと明かしている。
「そんなの与えるな!」ダルトンの父でありトレーナーでもあるグラント・スミスがコーナーから怒鳴った。息子があまりにも簡単にパンチを当てていたため、守備面で油断しているように見えたからだ。
スミスはそのラウンドの終盤、鋭いワンツーコンビネーションを2度にわたって叩き込み、ジェルマンの顔色は変わり、リングドクターがコーナーで注意深く様子をうかがう場面もあった。
ジェルマンは危険な距離から十分に離れることができず、ロープ際で追い詰められると、5回には2度にわたってダメージを負った。一方でスミスもボディに低く打ちすぎたとして、この回2度目の注意を受けた。
6回、スミスのベストショットのひとつは、かすめるような左だった。ジェルマンはそれを浴びるたびにその場で動きを止めたが、直後にはまた動き回るスタイルに戻った。
ジェルマンの連打はスミスに潰されるか、空を切るだけで、スミスは慌てることなく時間をかけて展開を見守った。8回の序盤には、ブレイクの指示があったにもかかわらずスミスのパンチを受けてリング外に倒れたジェルマンが体勢を立て直す中、レフェリーのローリンがスミスに注意を与える場面もあった。
9回と10回は、カナダ人にとってダメージを抑えることが主眼となったラウンドだったが、スミスがリングカットできなかった点は気がかりだった。ジェルマンがダメージを負うたびに、35歳のベテランは巧みに危機を回避した。だが、最終回の一つ前――11回には、スミスのワンツーで再びダウンを奪われる結果となった。
クリーンヒットをもらったことに苛立ったジェルマンは、元のスタイルに戻り、外側での動きでスミスを翻弄した。ラウンド終了のゴング後にスミスが反則気味のパンチを当てた場面では、地元の人気者に対するローリン主審も思わず笑みを浮かべたが、最終回に再びローブローを打ち込んだスミスには、今度は減点が科された。
36分間の戦いにおいて、勝敗に影響するような危険はなかったとはいえ、この内容は“我慢強さ”の表れか、それとも“もたつき”だったのか――その判断は読者に委ねられる。