ロンドン発――
シャンテル・キャメロンは、今週から自らがWBC女子スーパーライト級王者としてスタートすることを予想していた。
WBCは、統一王者
ケイティ・テイラーに対して暫定王者キャメロンとの防衛戦を命じ、入札回避のために両陣営へ8月28日までに合意するよう指示した。
しかし、両陣営の間でこの対戦に関する話し合いは一切なく、キャメロンは、来年の復帰を見据えるテイラーが緑と金のベルトを返上すると予想していた。
ところがテイラー陣営は交渉期間の土壇場延長を要請し、
WBCはこれを承認。新たな期日は9月18日に設定された。
キャメロンは昨年7月に暫定王座を獲得して以来、2度の防衛に成功してきたが、テイラー側からの連絡が一切ない状況での延長要請には困惑した。さらに、プロモーターのエディ・ハーンが「テイラーは引退するかもしれない」と示唆していたこともあり、なおさら不可解だった。
もちろんテイラーとキャメロンには因縁がある。2023年には2度の激闘を繰り広げている。5月20日、ダブリンの3アリーナで行われた初戦では、キャメロンが保持していた140ポンドのベルトを多数決判定で防衛。しかし、その6カ月と5日後、再戦ではテイラーが激闘を制し、同じく多数決判定で雪辱を果たした。
時に苦々しいライバル関係となってきた両者だが、今回キャメロンは39歳のテイラーを「無意味な遅延で自分のキャリアを危険にさらしている」と非難した。
「彼女は私との試合を望んでいない。彼女のチームも同じだと思う。これは全部、策略でありゲームにすぎない。おかしい話だ。もし私と戦いたくないなら、それで全然構わない。でも、お互い別々の道を進めばいいだけのことだ」
「この遅延は必要ないし、完全に無意味だ。単なる駆け引きで、人間性が透けて見える。なぜ他人のキャリアを邪魔しようとするのか。ライバル関係があるのはいい。でも、いずれ返上すると分かっているなら、他人のキャリアを危うくするようなことはすべきじゃない」
「自分が正式な世界王者に昇格すると思っていた。けれどマネージャーから電話が来て、悪いニュースを聞かされた。冗談かと思ったら本気だった。てっきり『お前がチャンピオンだ、初防衛戦ができるぞ』と言われると思っていたのに、現実はさらに待たされるだけだった」
キャメロンの直近の試合は、7月11日に
マディソン・スクエア・ガーデンで行われたテイラーのアマンダ・セラーノ撃破の大舞台アンダーカードだった。彼女はジェシカ・カマラに対して3-0の判定勝利を収め、
新たにモースト・バリュアブル・プロモーションズと契約しての初戦でもあった。しかしキャメロンは、現在のWBCの停滞が次戦へ進むことを妨げていると訴えている。
彼女はこう付け加えた。
「本当に厄介な状況。先を計画できない。泥沼にハマっているみたい。世界タイトルを懸けて戦うことだけは分かっているけど、ベルトの行方がはっきりしないから対戦相手とまともに交渉することもできない。
だから、あと数週間は待つしかない。でもそれは耐えられる。もう十分長く待ってきたから」
今週『リング』のインタビューで、エディ・ハーンはテイラーとキャメロンの三度目の対戦よりも、34歳のノーサンプトン出身キャメロンに元ウェルター級王者
サンディ・ライアンとの英国人対決を勧めた。しかし、キャメロンは同意しなかった。
「それは歓迎できない試合。サンディは
ミカエラ・メイヤーに2連敗したばかり。そんな相手に勝っても私に何の意味があるの?」
「エディはいつもそのカードの話をするけど、まずはケイティ・テイラーをくれ。その後でライアン戦を引き受けてもいい。でも今の時点でサンディは私のレーダーに入っていない」