ラス・アンバーは10年以上にわたって
カラム・スミスのセコンドを務めてきた。
リバプール出身のスミスの拳にテーピングを施し、的確な助言を与え、時には話を聞く役として、アンバーは3つの大陸にわたるスミスの栄光と挫折を共にしてきた。
スミスの3人の兄弟を除けば、元WBA世界スーパーミドル級王者でありリング誌の王者でもあったカラム・スミスにとって、アンバーほどその必要とするものを理解している人物はいないと言ってよい。
本人は今もジムでトレーニングを続けながら次戦に備えているが、ここ数ヶ月、対戦日程はまったく決まっていない。
デビッド・ベナビデスやアンソニー・ヤードとの対戦が取り沙汰されたこともあったが、現在この二人は11月22日にサウジアラビア・リヤドで開催される
大型イベント「Ring IV」での対戦が決定している。
今年2月22日、
年間最高試合候補とも称された試合でジョシュア・ブアツィに勝利し、WBO暫定世界王座を獲得したスミスだが、そのブアツィもすでに次戦が決まっており、11月1日にクイーンズベリーでのデビュー戦としてザック・パーカーと対戦する。
では、35歳となったスミスに次に何を望むのか?
「彼には少し休んでほしい。彼はいつも“巨人殺し”のような相手ばかりと戦ってきた。カネロ・アルバレス、アルトゥール・ベテルビエフ、無敗のブアツィ…。
毎回が激戦で、もしベナビデス戦が決まっていたとしても同じだっただろう。また一人の怪物と戦うことになっていた。たまにはもう少し楽な試合をしてもいいと思うが、彼は常にアクションを見せる戦士だからな。国内のヤードとの再戦なんかも面白かったと思うよ」とアンバーは『ザ・リング・マガジン』に語った。
スミスは今週、地元リバプールで開催されているアマチュア世界選手権を支援しながら、BoxingSceneの取材に応じ、自身の復帰時期についてこう語った。
「自分もみんなと同じ状況にいるよ(待っている状態)。試合は命じられているが、いつになるのかはわからない。毎日チームに連絡を取ってアップデートを求めているが、そう簡単には進まないんだ。思ったようなスピードで進展しない時もある。ただ、今は待つしかない」
「ジムには通っているし、いい生活も送っている。だから試合日程の連絡が来たら、すぐにギアを上げて準備万端で臨めるようにしているよ」
ベナビデス対ヤード戦の展望について尋ねられた際、アンバーは2023年1月にヤードが強打者ベテルビエフと戦った際のことを思い出さずにはいられなかった。ただし、
ヤード(27勝3敗、24KO)は同じ戦い方をしてはならないとはっきりと述べた。
「ベナビデスは特別な存在だ。ヤードも優れた選手だよ、誤解しないでくれ。でも彼はベテルビエフと戦った選手の中で一番ダメージを受けた選手だった。それでも打ち返して、8ラウンドも打ち合いを続けたんだ。大したものだ。あのビボルでさえそんなことはできなかった」
「でも、ベナビデス相手にあの戦い方は通用しない。彼はベテルビエフ以上の手数を誇る。特別な選手というのは存在するんだ。スーパーミドル級を完全に制し、175ポンドに上げても全く問題なく支配している。特別な選手は、別次元のことをやってのける。そして、デビッドは神に選ばれた才能を持っている」