【ニューヨーク発】──
ブライアン・ノーマン・ジュニアにとって、
デビン・ヘイニーとのささいなフェイスオフが、なぜ木曜日に物理的な衝突にまで発展したのか、その理由はまったく理解できていない。
両者は
11月22日にサウジアラビア・リヤドで行われるウェルター級タイトル戦のプロモーション活動の一環として、タイムズスクエア近くのホテルで対面した。その際、ノーマンがヘイニーの胸に指を当てたことに対して、ヘイニーが強く反応。しかし騒動が拡大したのは、ヘイニーのボディガードのひとりが過剰に反応し、ノーマンに手を出した瞬間だった。
その身元不明のボディガードはノーマンともみ合いになり、WBO世界ウェルター級王者のシャツを頭上まで引っ張り上げ、2人はもつれ合って床に倒れた。ノーマンに怪我はなかったが、その一部始終を映した映像がSNS上で拡散された。
『
ザ・リング』の取材によれば、同日夜、両陣営の代表者同士が会談を行い、今後のプロモーション期間中の対応について、より慎重に進める方針で合意したという。
両者の147ポンド契約・12回戦は、「Ring IV」の共同メインイベントとして、DAZNペイパービューで配信されるリヤドのANBアリーナにて実施予定。「The Ring IV」の記者会見は、7月12日金曜午後、タイムズスクエア内のハードロック・カフェ・ニューヨークにて開催予定で、前夜にはクイーンズのルイ・アームストロング・スタジアムで「
Ring III」のセレモニー計量が行われる。
ノーマンは木曜夜、『ザ・リング』とのインタビューで、ヘイニーおよびそのボディガードとの一件について自身の見解を語った。
「俺はただの仕事人だって言いたいよ」とノーマンは冗談交じりに話した。「ただ巻き込まれただけで、完全なとばっちりだった。こっちはただリラックスしてたってだけ。人生ってそんなもんだろ? でもさ、あのボディガードが変なテンションで近づいてきて、俺の白Tシャツを破りやがった。黒人の白Tシャツは神聖なもんなんだ、知ってるか? だから俺はあのデカいヤツをひっくり返した。それだけの話。でも、まぁ……絵になる瞬間ってやつだな」
ジョージア州コニャーズ出身のノーマンによれば、事件が起こる前までは自分とヘイニーのやり取りは礼儀正しく、両者とも冷静だったという。だが、会話の中で11月の試合が決まった経緯について話が及んだ際、雲行きが変わった。ノーマン(28勝0敗22KO、1無効試合)は、元ライト級4団体統一王者のヘイニー(32勝0敗15KO、1無効試合)が「俺がチャンスを与えた」と語ったことに納得がいかなかった。自分は防衛王者だという立場を主張したのだ。
「最初はいい感じだったんだよ」とノーマンは続けた。「普通に握手して笑顔交わして、そんなもんさ。なのに向こうが急に敵意むき出しになってきたんだ。なんでかは分からないけど、もしかしたら緊張してたんじゃないかと思う。全部の圧力を俺らにぶつけようとしてるのかもしれないけど……でもな、結果は変わらん。結局、あいつはリングで寝ることになる」
この一件によって、ノーマンのモチベーションがさらに高まったかと問われると、彼はこう答えた。
「そんなもん関係ない。俺にとっては元から決まってたことなんだ」とノーマン。「ただそれを“確定させただけ”。もともとノックアウトするつもりだったからな」
ファンデュエルの最新オッズでは、ヘイニーとノーマンの勝敗予想はほぼ互角となっている。26歳のヘイニーにとっては、今回がウェルター級での初陣。一方、24歳のノーマンは、2024年5月にサンディエゴで行われた無敗のジョバニ・サンティリャン戦(10回KO勝ち)で戴冠して以降、今回がWBO王座の3度目の防衛戦となる。
Keith Idec は『ザ・リング』誌シニアライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)@
idecboxing にて発信中。