マーティン・バコレのトレーナーであるビリー・ネルソンは、先週サウジアラビアで行われたエフェ・アジャグバ戦の計量で、バコレが
300ポンド(約136kg)近い体重を記録したことに「体重計を見て信じられなかった」と明かした。
バコレ(21勝2敗1分16KO)は、2月に
ジョセフ・パーカーとの試合で2ラウンドTKO負けを喫した際、体重は約315ポンド(約143kg)だったと報じられている。しかし、その試合は24時間前の急なオファーで受けたものであり、コンゴ出身のヘビー級ファイターには事実上の“お目こぼし”が与えられていた。
昨年8月、
バコレはテレンス・クロフォード対イスラエル・マドリモフ戦のアンダーカードでキャリア最高のパフォーマンスを披露し、前日計量で284ポンド(約129kg)だったにもかかわらず、ジャレッド・アンダーソンを5ラウンドでKOした。
カネロ対スクール戦のアンダーカードで行われ、結果は多数判定ドローとなったエフェ・アジャグバ(20勝1敗1分14KO)との試合に向けたバコレの目標体重も、昨年8月時と同程度に設定されていた。しかし、実際にはバコレは299ポンド(約136kg)を記録し、スコットランド出身のネルソン・トレーナーにとっては衝撃的な結果となった。
「言い訳をするつもりは一切ない。俺はジムではマーティンと一緒にいるが、24時間365日見ているわけじゃない。彼が口にするものを完全に管理することなんてできない」とネルソンはザ・リング・マガジンのルイス・ハートに語った。
「2週間前にウェールズへ出発する時点で、彼の体重は20ストーン6ポンド(約130.6kg)だった。そしてその翌日にサウジに向かうと聞いていたから、てっきり簡単に20ストーン(約127kg)まで落としてくると思ってた。つまり、パーカー戦から35ポンド落とすという目標を達成できるはずだったんだ。」
「体重計を見て本当に信じられなかった……。ジムでは見た目も良かったから計量はしなかったんだ。でも、結果は299ポンド。そういう意味では本当にがっかりしている。」
バコレは
アジャグバ戦の立ち上がりで出遅れ、7ラウンド終了時点で勝ち取ったラウンドはせいぜい1~2ラウンドだったと見る声も多い。終盤にかけて巻き返しを見せたものの、判定で勝利を掴むには至らず、多くの関係者や観客の間では、アジャグバの勝利を支持する声が上がっていた。
スコアは、アジャグバに96-94、残りの2人のジャッジはともに95-95のドローだった。
ネルソンは、バコレが万全なコンディションであればナイジェリア出身のアジャグバをストップできていたと断言している。また、バコレの慢性的な体重管理の問題を解決しなければ、トップコンテンダーや王者としてボクシング界に未来はないとも語った。
「マーティンがどう思おうと、栄養士をつけることにする」とネルソンは付け加えた。
「この問題で多くの人が理解していないのは、マーティンがベジタリアンだということ。そして、彼は少し頑固なところがあって、イギリスの食事はあまり口にせず、アフリカ料理やコンゴ料理を好んで、グラスゴーの特定の店でそれを買っている。だから正直、俺にも分からない……でも、栄養士をつければ間違いなく助けになるだろう。」
「彼自身がもっと厳しく、自制心を持たなければならない。そして、アメリカ人のストレングス&コンディショニングコーチも新たに迎えるつもりだ。マーティンにとって大きなプラスになるはずだと思っている。」
「彼自身がそれを理解しなければ、未来はない。少なくとも、俺が信じている彼の本来の可能性ある未来は実現しないだろう。正直、がっかりした。ジムでは他の選手には見られないような動きも見せてきた。それなのに、今回のコンディション──あの腹を見て……俺にとっては今回のバコレのパフォーマンスは及第点に達していない。彼はあんなものじゃない、もっと遥かに高い実力を持っている。」
「もっと絞れた状態のマーティン・バコレだったら、アジャグバを止めていただろう。距離を詰めて、もっと多くのパンチを出せたはずだ。『コンディションが悪かった』と言う人もいるけど、彼は8、9、10ラウンドを明確に取っている。だからこそ、あの余分な体重を抱えていたのは本当に良くない。」