英国の新たなヘビー級ホープが、今週土曜の夜にプロの世界へと歩みを進める。
世界ボクシングU-19王者で、複数回の国内タイトルを手にしてきたレオ・アタンが、マンチェスターのAOアリーナで行われる
ジャック・キャテラル対ハーレム・ユーバンク戦のアンダーカードでプロデビューを果たす。デビュー戦の相手はブルガリアのミレン・パウノフ、4回戦での対戦となる。
5月にプロデビューが発表されたヨーク出身のティーンエイジャー、18歳のレオ・アタンは、初めてのプロ記者会見にも早めに姿を見せ、終始笑顔を浮かべていた。
「すべてが一瞬の出来事みたいだったけど、いよいよ試合当日が近づいてきた」とアタンは「ザ・リング・マガジン」に語った。「日に日にワクワクが増してるよ。ジムでの数字もどんどん上がってるし、スパーリングもトレーニングも順調で、すごく楽しいんだ」。
「今は信じられないくらい調子がいいし、早くみんなに自分の実力を見せたくてたまらないよ。」
ヘビー級はボクシング界を動かす原動力だ。そしてアタンのプロモーターであるマッチルームは、彼が今後長きにわたって興行の柱となる存在に成長することを明らかに期待している。
プロモーションの歯車はこれから本格的に動き出し、アタンには早期のインパクトを与えるための舞台が用意される。今後は世界中を飛び回り、数多くの経験とアピールの機会が与えられることになるだろう。
アタンに求められるのは、勝ち続けること、そして用意された道を着実に歩んでいくことだけだ。
もっとも、それは物事をあまりにも単純化しすぎている。確かに、アタンにはあらゆるチャンスと有利な条件が与えられるだろうが、ヘビー級ボクシングは危険で予測不可能な世界だ。リングに上がるたびに、常にモチベーションを保ち、万全のコンディションで臨む必要がある。
さらに彼は、他の階級のホープたちではまず経験しないような重圧を背負っていくことになるだろう。
「正直、全部が初めてのことばかりなんだ。だんだん慣れてきたけど、それでもなるべく考えすぎないようにしてる。自分がここにいる理由は、実際にリングの中でやることだから」と彼は語った。「こういう注目や話題は、あくまでおまけにすぎない。でも、リングに上がって自分のボクシングを見せれば、なぜここにいるのか、なぜこれだけ話題になっているのかを証明してみせるよ」。
「もちろん、プレッシャーは大きいよ。そこは勘違いしないでほしい。期待もたくさん寄せられているけど、それについて深く考えすぎないようにしてる。むしろ、自分にとっては恵まれたチャンスだと思ってるんだ。誰でもいいからって選ばれたわけじゃない。何かしらの理由があって、自分が選ばれたんだと思う。」
「彼らはきっと、自分の中に可能性を見出して、『この選手を育てられる』と思ってくれたんだろうし、僕自身も、トップまで行けると信じてるよ。」
近年では、若いアマチュアの有望株がプロでパンチを一発も打たないうちから「将来の世界王者」として称賛されることも珍しくない。そうした過熱した期待は注目を集める一方で、同時に極めて高いハードルを課すことにもなる。
ファンが求めているのは、「間違いなく成功する逸材」と言われたボクサーが、6ラウンドかけて経験を積みながら消極的な相手の前腕を打ち続ける姿ではない。彼らが見たいのは、自分たちの“未来のスター”がリングに上がり、相手を圧倒して打ち砕く姿だ。
アタンは、短いアマチュアキャリアの後半を、勝利のためにあらゆる手段を使う技巧派の相手たちとの試合に費やしてきた。プロとしてのキャリア初期は、生き残ることに徹する消極的な相手との試合が中心になるだろうが、トレーナーのアシュリー・マーティンはすでに、相手のディフェンスを崩して効果的なプロスタイルに適応できるよう、小さなテクニックの指導を始めている。
「どのボクサーに聞いても、きっと認めると思うよ。相手が初心者寄りのボクサーだと、こっちが予想しないような動きをしてくるから、逆にやりにくくなることがあるんだ。そういう相手に自分がちゃんと対応できるようにならないといけない。こっちが仕掛けても、思ったような反応をしてくれないこともあるし、その点では上のレベルのアマチュア選手の方が読みやすいんだ」とアタンは続けた。
「リラックスして、ペースを落として、狙って打つことが大事なんだ。アマチュアではインサイドに入るとすぐにブレイクされるけど、プロではそこからが勝負になる。まったく新しいゲームみたいで、そこにいろんな要素が加わってくる。それがまた面白いんだよ」。
「見ていて思ったんだけど、ボクシングにはまったく別の2つのスタイルがあるんだ。アマチュアスタイルは基本的にポイントを取ることが目的になっている。もちろん、そのスタイルに逆らってプロで成功している選手もいるけど、今の採点システムでは、特に勝つためには“タッチする”ようなパンチが多くなるんだよね」。
「プロでは相手にダメージを与えることが求められる。じわじわと崩していくような戦い方が大事なんだ。そういうスタイルを早い段階から身につけておけば、将来的に必ずプラスになると思ってるよ。」
最近のインタビューでアタンは「ザ・リング・マガジン」に対し、ボクシングを始めようと思ったことは一度もなかったと語った。しかし、
アンソニー・ジョシュアと
ウラジミール・クリチコによる激闘のヘビー級タイトルマッチを観て、心を奪われたのだという。
オレクサンドル・ウシクのような統一王者や、アンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリー、デオンテイ・ワイルダーといった元王者たちによる数々の激闘や圧倒的な個性が、ヘビー級の話題を常にボクシング界の中心に据え続けてきた。しかし、まだ若いながらもアタンは、自身の注目をヘビー級という階級だけに偏らせることなくバランスを保っている。
素早く俊敏な動きを持つヘビー級として、アタンはより軽い階級の選手たちが駆使する技術に対する理解を深め、そこから多くの刺激を受けてきた。
「今はヘビー級の試合も観てるよ。面白くてエンターテインメント性が高いからね。でも正直、自分のスタイルに取り入れたいと思う要素はあまり多くないんだ」と彼は語った。
「昔の選手だと、エヴァンダー・ホリフィールドみたいなタイプが好きだったけど、同時にもっと軽い階級のボクサーもよく観てるんだ。ヘビー級の試合はあまり観ない。というのも、自分にはスピードがあるし、軽量級のようなスタイルで戦うことで、その分を補えると思ってるから。アンドレ・ウォードとか、そういう選手の試合が大好きなんだ。」
「頭を使って相手を崩していって、最後に仕留める。そういう賢いボクシングをする選手たちが好きなんだよ。」