ジェシー“バム”ロドリゲスは、ボクシング界でも屈指の“好青年”として知られる。ファンにサインや写真を求められれば快く応じ、インタビューの依頼もほとんど断らない。そんな彼でも、時に苛立ちを見せることがある。
日本のスターに対して、ロドリゲス個人として特別な感情があるわけではない。ただ、
常に名前が並べられ、対戦の可能性について繰り返し問われる状況には、少なからず苛立ちを感じている。とはいえ、ロドリゲスもその構図が「この世界の常」だと理解している。両者の階級は近く、ファンが一つの問いにたどり着くのは当然の流れだ。
もし2人が戦ったら、どちらが勝つのか?
何度も繰り返されるその問いにうんざりしているロドリゲスだが、そう遠くない未来に、その答えが明らかになると信じている。
「あと1年か2年以内には実現すると思うよ」とロドリゲスはFightHype.comのインタビューで語っている。
ただし、その構想が現実となるには、いくつかの条件が整う必要がある。まずは7月19日に行われる、同じスーパーフライ級王者プメレレ・カフとの一戦に勝利することが絶対条件だ。そして、その先に進むためには、井上尚弥が122ポンド(スーパーバンタム級)にもう少しとどまっている必要がある。
ここからが少しややこしくなる。
ラモン・カルデナスとの一戦で、4団体統一王者としての地位を防衛したばかりの井上尚弥(30勝無敗、27KO)は、次なるステージとしてフェザー級への転級を視野に入れ始めている。
さらに、両者の体重差だけでなく、試合の開催地も今後の課題となり得る。井上の直近の試合はラスベガスで行われたが、キャリアの大半は日本で試合を行ってきた。
偉大なファイターの“ホーム”に乗り込むのは、誰にとっても簡単なことではない。判定の公平さやイーブンな条件が確保されるかどうか、不安はつきまとう。それでも、ロドリゲス(21勝無敗、14KO)は井上にホームアドバンテージを与えることに何の抵抗もないようだ。むしろこの対戦のためなら、地球の裏側まで飛んで行く覚悟があるファイターに見える。
「日本でやれたら最高だよ」とロドリゲスは語った。「日本の大ファンなんだ。あのファンの前で試合ができるなんて、本当にワクワクすると思う。」