ノッティンガム――現IBO王者で元IBF世界スーパーフェザー級王者の
アンソニー・カカーチェが、19か月のブランクを経て復帰する元WBA王者
リー・ウッドを迎え撃ち、イースト・ミッドランズのノッティンガムで開催されるクイーンズベリー主催の全12試合の興行でメインイベントを飾る。最終4試合はDAZNにて生中継される。
五輪メダリスト、実力派アマチュア選手、そして将来有望な若手ボクサーたちが揃い踏みし、激戦の夜が予想される。試合が進行するごとに、アンダーカードの結果を随時更新していくので、このページを随時チェックしてほしい。
なお、前日の
計量結果のレポートと合わせて、注目すべきストーリーラインも紹介している。たとえば、トロイ・ジョーンズとエズラ・テイラーによるイングリッシュ・ライトヘビー級タイトル戦や、ランキング上位のライト級サム・ノークスによるロンドン以外での初試合などが挙げられる。
以下が当日の結果である:
クーパー、キャリア最高の勝利でコンゴを下す
プロ初黒星から10か月後、オーウェン・クーパー(11勝1敗、4KO)は、クリス・コンゴ(17勝3敗、7KO)に対して、10ラウンド96-94の判定勝利を収め、今夜の中継試合のトップを飾った。
14か月前、当時無敗だったフロリアン・マルクを見事に判定で下したことで誰も相手にしたがらない存在となってしまったクリス・コンゴだったが、この試合ではもっと積極的な攻めが必要だった。
「クリス、待ちすぎだ!」という声がコンゴの陣営から繰り返し飛ぶ中、10~15人の関係者が緊張しながら見守り、チームコンゴのカメラマンたちも落ち着かない様子を見せていた。試合序盤は両者のジャブ合戦から始まり、中間距離での駆け引きが続く。
エコウ・エスマン戦で得た経験から多くを学んだであろうクーパーは、積極的に前に出て高いガードの後ろから攻め込み、可能な限り圧力をかけていった。彼の連打が決まるたびに、遠路はるばる応援に駆けつけたウスターのファンたちが大声援を送り、コンゴは本来なら24歳のクーパーを距離のある位置で抑え込むべきところを、ついそのペースに付き合ってしまう場面が続いた。
第4ラウンド開始直後、コンゴは鋭い右ストレートを決めたが、その後の追撃が続かなかった。その間にクーパーは左右のフックを打ち込んで圧力をかけ、コーナーに詰めた状態で両者がアッパーを打ち合う展開に突入。荒々しい打ち合いが展開される中、コンゴ陣営はまたしても「もっと早く仕掛けろ」と彼の消極的な姿勢に苛立ちを募らせた。
クーパーは第5ラウンド終盤に一連のパンチをまとめてヒットさせ、再び観客を沸かせた。コンゴはロープ際に留まり続け、自ら不利な状況に追い込まれてしまう。視覚的にも印象が悪く、ジャッジへのアピールにもならなかった。同じような展開は第6ラウンドでも繰り返され、クーパーは頭とボディをうまく打ち分けて優勢を保ち、コンゴは徐々に劣勢を強いられていった。
コンゴは近距離での打ち合いに応じる形になり、クーパーは細かいパンチを連打して確実にポイントを稼いでいく。時間が経つにつれて若いクーパーが主導権を握る展開となり、コンゴは左目上をカットし、クーパーの連打をかわしきれなくなっていた。さらに、コンゴの反撃のパンチもクーパーにとっては脅威とはならず、パンチ交換の面でも後手に回った。
「残り2ラウンドだぞ」とコンゴ陣営が第9ラウンド開始前に声をかけるが、クーパーはすでに優位を築いており、ここから形勢を覆すにはかなりの展開が必要な状況だった。採点が難しい接戦ではあったが、主審ケビン・パーカーのジャッジは96-94でクーパーに軍配を上げた。
ノークス、バラズを3回でストップ
サム・ノークス(17勝無敗、15KO)は、チェコ出身のパトリク・バラズ(13勝5敗1分、5KO)を相手に、第3ラウンドTKO勝利を収め、ノンテレバイズド部のメインイベントを締めくくった。この結果は、試合開始からすでに予感されていたような展開であった。試合開始直後からノークスは主導権を握り、早々にダウンを奪取。右ストレートやアッパーカットを自在に繰り出し、26歳のバラズのディフェンスを簡単に突破していった。
第3ラウンド後半、奇妙なシーンが展開された。ノークスがバラズをコーナーに追い込み、連打を浴びせていた際、レフェリーがノークスに「離れろ」と合図を送り、その直後にバラズは自ら倒れ込むようにしてキャンバスに崩れ落ちた。レフェリーはそのままカウントを開始し、10カウントに達したところで試合を終了。これにより、英国・英連邦・欧州の3冠ライト級王者であるノークスにとって、2025年のシーズンがついに始動した。
ウィリアムズ、6回戦で内容に課題
クリスチャン・ウワカとの試合で4回戦の判定勝ちを収めた後、ルイス・ウィリアムズ(3勝無敗、1KO)は6回戦にステップアップし、ヴィクター・シュヴァルコウ(5勝24敗、3KO)に60-54の判定勝ちを収めた。ただし、内容としては“惰性で戦っている”という印象も否めなかった。
試合はストップ&スタートを繰り返す流れで、両者ともクリンチが多く、ダレン・サージンソン主審がたびたび割って入る場面が見られた。13歳年上のベラルーシ人相手に、26歳のウィリアムズは自分の距離を保つのに苦労し、苛立ちを隠しきれない様子も見せた。
ボディに対して良いパンチを巻き込む場面もあり、一部では脅威を感じさせたものの、今回のような試合を崩しにかかるスポイラー型の相手に対しては、今後さらに対応力を高める必要がある。
シニア、デビュー戦でダウンを奪う
五輪フェザー級銅メダリストのチャーリー・シニアは、セサル・イグナシオ・パレデスとのデビュー戦で、早い段階でダウンを奪ったものの終始一方的な展開とはならず、忍耐強くプレッシャーをかけ続ける形となった。試合は激しい6ラウンド戦となり、最終スコアは59-54でシニアの勝利だった。
午後のカードで6試合目にして、この日初のダウンが記録されたのは第2ラウンド中盤。両者がパンチを交差する中、シニアが視界の外からの右スイングでパレデスを捉え、ダウンを奪取。この一撃にパレデスは怒りを見せ、その後は試合を荒々しく、そして極めて肉体的な戦いへと持ち込んだ。
アクバル、プロ初戦を完封
グラント・スミスのジム所属のもう一人の選手で、WBCのランキング1位である息子のダルトン・スミスもセコンドに就いた中、ブラッドフォード出身のスーパーウェルター級ハリス・アクバルが、勇敢なオクタビアン・グラティイ(8勝83敗4分、3KO)を相手に、記憶に残るプロデビュー戦でそのスキルを披露し、終始フィニッシュの気配を漂わせた。
第2ラウンドの中盤、グラティイがコーナーに詰められてコンビネーションを浴びていた際、ダレン・サージンソン主審は試合を止めてもおかしくない状況だったが、わずかに猶予を与えた。するとそのタイミングで、ルーマニアのベテランであるグラティイはなんとか危機を脱し、果敢にもアクバルに「もっと来い」と手招きして挑発した。
アクバルは最終ラウンドでもグラティイに再びダメージを与えたが、それだけでは十分ではなかった。プロ歴10年の老練なグラティイは打撃圏から巧みに距離を取り、最終的に試合はフルラウンド戦われて終了。判定は40-36でアクバルの勝利となった。
クーパー、今回もKOはならず
ジョー・ギャラガーの指導を受けるジョー・クーパー(4勝無敗)は、最新の試合でドミトリ・プロトクナス(8勝20敗1分、1KO)に対し、指示通りのボクシングを展開し、40-36の判定勝ちを収めた。クーパーは3か月前、アルチョム・スパターを2度ダウンさせながらも、長らく待ち望んでいたハイライト映像級のフィニッシュに結びつけることができなかった。
まだ19歳のエセックス出身の若手であるクーパーは、今後6回戦に昇格し、より多くのラウンドを使ってタフな相手を崩す展開に持ち込めるよう、着実にレベルアップを図っていきたいと考えている。
レイバース、14か月ぶりの復帰戦で勝利
ニコ・レイバース(7勝無敗1分、1KO)は、14か月ぶりの試合で40戦のベテラン、ダーウィン・マルティネス(8勝31敗2分、6KO)と対戦。序盤からボディに重いパンチを集め、近距離戦を制した。
後半に入り、マルティネスの手数が減り、第5ラウンドでは反則行為により警告を受ける場面も。ニカラグアのベテランは顔面にダメージを負い、ケビン・パーカー主審は60-55と判定した。
ダブルデビューの喜び
午後に行われた最初の2試合では、ジョー・タイヤーズとヒューイ・マローンが共にプロデビュー戦で勝利を収めた。
タイヤーズはマリオ・バレンスエラ・ポルティージョに39-37で判定勝利、マローンはヤクブ・ラスコウスキに60-54の完封勝ちを収めた。
アンダーカード結果
ウェルター級:オーウェン・クーパー 判定10R(96-94)クリス・コンゴ
スーパーライト級:サム・ノークス 3R KO(2:17)パトリク・バラズ
ヘビー級:ルイス・ウィリアムズ 判定6R(60-54)ヴィクター・シュヴァルコウ
フェザー級:チャーリー・シニア 判定6R(59-54)セサル・イグナシオ・パレデス
スーパーウェルター級:ハリス・アクバル 判定4R(40-36)オクタビアン・グラティイ
ミドル級:ジョー・クーパー 判定4R(40-36)ドミトリ・プロトクナス
フェザー級:ニコ・レイバース 判定6R(60-55)ダーウィン・マルティネス
スーパーライト級:ヒューイ・マローン 判定6R(60-54)ヤクブ・ラスコウスキ
ライト級:ジョー・タイヤーズ 判定4R(39-37)マリオ・バレンスエラ・ポルティージョ