トモキ・カメダに照準を合わせつつ、
井上尚弥にも視線を送るアンジェロ・レオは、トップレベルで“マルチタスク”をこなしている。
カメダは今のレオにとって最優先のターゲットだ。知名度こそ高くないが、レオは5月24日に日本でIBFフェザー級王座をかけてカメダと対戦する予定となっている。
いつも通り“ロードウォリアー(敵地に乗り込む王者)”として任務を果たせば、レオ(25勝1敗、12KO)は試合後すぐに荷物をまとめて帰国するのが常だ。しかし、もし勝利を収めた場合、30歳の彼はしばらく日本に滞在することを選ぶかもしれない。
日本は美しい国だ。だからレオは観光にも少し興味を持っている。そして、できれば井上尚弥に遭遇したいとも願っている。
「その試合がしたい。ずっと望んできたんだ」と、興奮気味のレオは記者ショーン・ジッテルに語った。「ずっと、ずっと望んでいたんだ。」
とはいえ、日本で井上尚弥(30勝無敗、27KO)と道を交えることは現実的には難しい。スーパーバンタム級の4団体統一王者である井上は、どこへ行っても人だかりができ、基本的には人目を避けて行動するスタイルをとっているからだ。
『
ザ・リング・マガジン』のパウンド・フォー・パウンドランキングで2位に位置する井上尚弥は、いわば“王座強奪者”として知られている。階級を次々と上げながら各団体のタイトルを奪い取ってきた。スーパーバンタム級ではもはや有力な挑戦者がほとんど残っていないが、それでも数人の対戦候補はおり、その後に階級を上げると見られている。
一方のアンジェロ・レオは、冷静沈着な性格の持ち主で、井上の台頭に対してもあまり感情を表に出していない。ただ、もし井上が自身の階級に上がってくるなら、両者の対決は「必然」だとレオは見ている。それは自身が保持する世界王座のためというよりも、むしろ両国間に横たわる伝統的な“ライバル関係”に起因している。
「メキシコと日本は、どちらも偉大なファイターを輩出してきた国だ」とレオは語る。「最近では日本がボクシングの黄金期を迎えていて、メキシコはこれまでずっと栄光の歴史を積み重ねてきた。間違いなく、これは“ライバル関係”と言えるよ。」