ロンドン──
アダム・アジムは、
クリス・ユーバンク・ジュニア対コナー・ベンのアンダーカードで行われたこの一方的な12ラウンドの試合の最終回に
カート・スコビーをストップし、世界タイトル戦線へと着実に歩みを進めた。
『The Ring』誌ジュニアウェルター級ランキング10位のアジムは、トッテナム・ホットスパー・スタジアムでの12ラウンドを通じてほとんど隙のない戦いを見せ、判定3者一致での勝利に向かっているかのように見えた。
しかし、鉄のタフネスを誇るスコビーに対し、残り51秒でついに突破口を開き、膝をつかせることに成功。その瞬間、勝利が決した。これでアジム(14勝無敗、11KO)は、2026年に向けて大きく前進したと言える。
2月にキャリア最高の勝利となったセルゲイ・リピネッツ戦以来の試合となったアジムは、序盤から長く強いジャブを軸にリズムを作り上げた。
ザウル・アブドゥラエフの欠場により急遽代役となったスコビーは、初回のほとんどでガードを固めて守勢に回り、残り15秒になるまでパンチを出すことすらしなかった。放った1発も空振りに終わった。
アジムは6月に試合予定があったものの、メキシコ人対戦相手が減量のためサウナを使用する姿が撮影され、
英国ボクシング管理委員会が試合を中止した経緯がある。しかし今回はブランクの影響を全く感じさせず、マサチューセッツからの来訪者スコビーを着実に追い詰めていった。
スラウ出身のアジムにとって、この試合は次第に“的当て”のような展開になりつつあったが、スコビーの堅いガードによりクリーンヒットは多くなかった。スコビーがほとんど手を出さないため、実質的には一方的な展開となった。
しかし3回にはスコビーがわずかに反撃の兆しを見せ、ボディへの右フック、さらに顔面への右をヒット。アジムは一瞬、試合らしい攻防に巻き込まれたが、スコビーの攻防意欲は逆にアジムにとって攻略の隙を生むことになった。
4回はリスクの高い駆け引きながら、手数は少なく、どのパンチにも力が込められていたものの、有効打は多くなかった。
スコビーがわずかながら攻めの姿勢を見せた後、アジムは5回終了までには完全に試合を掌握。小雨が降り始め、スタジアムが徐々に埋まっていく中、アジムは冷静に試合を進めた。
スコビーは流れを取り戻そうとしたのか、6回に再び攻めに出たが、アジムの強烈な左フックのカウンターを浴びる結果となった。
無敗のアジムは7回に手数を上げ、スコビーをロープへ追い込みながらボディへフックを連打。終了間際にはカウンターの大きな右をわずかに外す場面もあった。
8回もアジムはボディ攻めに徹し、右肘の下に左フックを沈め続け、着実にダメージを蓄積させた。スコビーは耐えてはいたが、攻撃の意欲は再び薄れていった。
9回も同様の流れで、アジムのボディフックが次々とヒット。スコビーは挑発するようにアジムを招き入れる仕草を見せたが、アジムの攻勢を止めることはできなかった。10回には頭部への攻撃に切り替え、終了間際には左フックがこめかみにヒットした。
11回中盤、アジムの右が鋭く入り、スコビーの足が一瞬硬直した。スコビーは必死にしがみついて倒れ込みを回避した。
しかしそれは、アジムにとって大きなフィニッシュへの前奏にすぎなかった。試合が最終1分に突入すると、アジムはついにそのプレッシャーを実らせ、スコビーをぐらつかせてから、一気にフィニッシュを狙いに襲いかかった。最終的に、アメリカ人のスコビーは片膝をつくしかなく、カウントが終わるまでに立ち上がることができなかった。